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#10 イラストレーター・福田愛子「アドビ・ドリーマー」(2019.12.20&27)

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2019年最後の会議相手は初の2人登場です。

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ハイ、向かって右が「アドビ・クリエイティブ・レジデント2019-2020」に選出されたビジュアルアーティストでイラストレーターの福田愛子さん。そして右が「アドビ・クリエイティブ・レジデンシー」のプログラムマネージャーの川西亮太さん。もうこの時点で英語が苦手な人はアタマから火花が出てると思いますが、だったらその流れで言わせてください。我らがホントーBOYSカミガキヒロフミは、その愛子さんの師匠筋にあたる「アドビのメンター」という称号を日本で唯一持ってる存在なんです。そう、この右側の人がな!

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では、ひとつずつカタナカ用語を解説していきましょう。

まず「アドビ」。アドビっていうのは正式名称「アドビシステムズ」っていうアメリカのコンピュータソフト会社のこと。基本的にデザイン系のソフトに強く、デザイナーやカメラマンが普段仕事で使ってる「イラストレーター」「フォトショップ」「インデザイン」なんかはアドビ製で、「PDF」もそう。アートするのに役立つソフトを作ってる会社なんです。

で、そのアドビが若手クリエイター支援のためにはじめたのが「アドビ・クリエイティブ・レジデンシー」。応募して認められれば1年間のお給料と世界に羽ばたくチャンスが与えられ、自らの創作に没頭できるという夢のようなプログラム。5年前にアメリカではじまったのですが、今年から日本でもスタートして、その第一回目に選ばれたのが愛子さん。なんと世界に9人しかいない合格者のうちの1人ですよ! その選ばれし人が「レジデント」なワケです。

そこでなぜにウチのカミさんが関わってくるか? まず「メンター」とはなんぞやということから説明すると、レジデントは特典として「憧れのクリエイターからメンターシップ(アドバイスって感じ? メンター=助言者・指導者)を受けられる」というものがあって、カミさんは愛子さんから「メンターになって」って頼まれたんです。あー、やっと全部説明できた。

つまり今回の会議はクリエイティブにおける弟子の愛子さんが、師匠のカミさんを広島まで訪ねてきたということ。ところでどうして愛子さんはカミさんをメンターに選んだんですか?

2~3年前からヒロさん(注:カミさんのことね)のSNSをフォローしてて、存在は勝手に知ってたんです。その後アドビのレジデントになったときに対面する機会があって、「あ、IC4 Designの人だ!」って思って。ヒロさんは広島拠点なのに世界中にクライアントをお持ちで、私が目指すことをすでにやられてる方。あと、ドローイングスタイルも緻密で、私も割と緻密な作風なので、通じるものがあると思ったんです

メンターとレジデントの関係、それは週1程度ネットを介してミーティングを行うこと。相談は画風のことからプロとしての体験談、仕事の選び方からキャリアアップの方策までなんでもアリ。若い弟子を持ったカミさんとしても「得るものはすごくある。人に教えるためには自分が理解してないといけないから、自分の中での『棚卸し』みたいなところもある」と手応えを感じ、愛子さんに対しては「クセはあるけど、それが彼女の持ってる味。それをいいと思う人もいるし悪いと思う人もいる。今後はそのクセをどのくらい出していくかが課題だと思う」とエールを送る。それに対して愛子さんは

本当、そう思います。でも私、これまでは隠してたというか、クールぶってたところがあるんです。クライアントさんがスタイリッシュなものを好んでたので、カッコつけてた。でもヒロさんが、私がウィークポイントだと思ってたところを認めてくれて、チャームにした方がいいって言ってくれたことで、「私、このままでいいんだ」って取りつくろわなくなったんです

と、自分の殻を破るきっかけがつかめたよう。「謙遜しても背伸びしても、自分の核は表れるじゃないですか。だとしたらクリエイターは『そのもの』でぶつかっていくのが一番ラクかなって」とカミさん。同じ道を究めようとしてる者同士しかわからない感覚って、絶対ありますよね。

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そもそも愛子さんはレジデントになる前から、プロのイラストレーターとしてデカい仕事をバンバンやってた人でした。資生堂に伊勢丹にマガジンハウスにボルボにスバルに……そんな中でレジデントに応募したのはどうして?

商業イラストレーターから脱皮して、自分のクリエイティビティを前面に押し出したアーティストになりたいと思って。もっと広義なビジュアルアーティストになりたいんです。これまでは企業やブランドとのコラボレーションで自由にやらせてもらってきたけど、今は拡張現実(AR)とイラストを組み合わせるチャレンジングなプロジェクトにトライしています

福田愛子ワールドはこんな世界。ガーリーでひそやかにマッド、クラシカルなようでモダン。この画風を武器にさらに高みを目指しているのだ。

先日はロスで行われた15,000人集まるデザインの祭典のオフィシャルデザイナーに抜擢されたり、ブースのデザインの総合的な演出を任せてもらったりと、レジデントに選出されたことで刺激的な経験を重ねているという。今は「夢のような生活です。毎日がクリスマスみたいな感じ」と、クリエイティブ・ライフを満喫しているみたいです。

ちなみにこの「アドビ・クリエイティブ・レジデンシー2020-2021」シーズンのエントリーも現在開催中。ジャンルはビジュアルクリエイションならなんでもOKで、映像、写真、イラスト、ドローイング、ペインティング、デジタル、アナログ……目に見えるものならなんでも可。自分の作品と共に「1年間でどういうクリエイションをしたいのか」「1年後にどういう仕事をしたいのか」というレポートを書いて提出すれば、夢への扉が開くかも!

↓ ↓ ↓ ↓  さあ、ここからレッツトライ!ってわけよ  ↓ ↓ ↓ ↓

今年の締め切りは1/15(水)。もう一度書きますが、このプログラムは「世界中の悶々としたクリエイターの卵を集めて、選ばれた人にお金を出して育てて、卒業する頃には世界に羽ばたいてほしいっていうゼイタクなプロジェクト」(カミガキ)。マジで人生変えちゃうかもな話ですぜ。ちなみに去年の倍率は1,700人から9人……思ったよりもイケそうじゃないですか!? 宝くじ買うより絶対こっちの方がいいって!

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ではグローバルで戦う愛子さんに、世界で求められるイラストレーターの条件を聞いてみましょう。

やっぱりオリジナリティ=圧倒的な個性ですね。あと自分の軸。レジデントになって思ったのは、ただ単に上手いだけじゃダメで、どんな作品でも自分の哲学を言葉で表現できることが重要なんです。海外の人はそれができる。だからレジデントになると、2分間で自分のプロジェクトを説明するトレーニングを受けたり、プレゼン能力のレクチャーを受けたりするんです

感性だけじゃなくロジックも大事、と。そしてこの先の夢は?

海外で通用するアーティストを目指しているので、まずは自分のクリエイションを前面に押し出すことをやっていきたいです。4月にレジデントが終わった後は、NYにプチ移住しようと思ってて。ゆくゆくは自分のイラストを使ったクリエイティブ・スタジオを作りたくて。自分のイラストを軸に絵本や家具や壁紙を作るのが最終的な夢ですね

世界に飛び立つ人の話を聞いてると、こちらも大きな夢を持てるような気がします。可能性は無限大。「こうしたい」という夢の先にしか、夢のような現実は出現しませんよ! 最後に広島でもがくクリエイター諸君にアドバイスを!

臆することなく挑戦すること。そして自分のやりたいクリエイションを、他人の評価など気にせず楽しんで作っていきましょう。あと、どこに住んでいてもクリエイションはできること。東京とか地方とか関係なく、『自分』という国があるだけというか、アイデンティティを出した者勝ちだと思いますよ!

愛子さんの夢、そうしたクリエイターを孵化させようとするアドビの夢。やっぱり基本的なこととして、夢見るチカラが必要なんです。2020年、その小さくて大きい一歩が、本会議を通じてみなさんの元に訪れますよーに!

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2019.12.12@HFM

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