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めんどくさい合コンに、それでも私が行く理由。

友達から「合コンするけど、どう?」と連絡が来た。20代前半の頃は、よく合コンをしていた。でも年を重ねるに連れて、合コンに参加することがめんどくさくなってきた。

何がめんどくさいって、一から自己紹介して、ぎこちない会話をしながら、数時間で相手の人間性が分かる訳もなく、結局は顔と顔の勝負なわけで、顔がタイプの人がいたらまだ良いけど、タイプの人がいない場合の外れくじを引いた感じの落ち込み様は激しくて、だからといってそんなことを顔に出せるわけもなく、タイプじゃないけどもしかしたらこの人たちの友達とまた合コン出来たりして、なんて淡い期待を持つことでしか自分自身のテンションをあげれない。

この一連の流れがほんっっっとうにめんどくさい!と30歳になって感じ始めた。だから、あまり乗り気ではなかったけど、行ってきた。

誰かと結婚したいと思っているわけではない。ただ、誰かを好きになれば、彼のことを思い出として笑って話せる気がした。だから、一日でも早く恋をしたかった。そんな誰にも言えない感情を抱きながら、合コンに参加した。

男性陣が選んだ、オシャレなバーでの3対3の合コン。年齢は同年代。とても話しやすくて、優しい人たちだったけど、何一つ心が揺れ動かなかった。3人いるうちの1人は、話も面白くて、顔もカッコよくて、いわゆる女性にモテそうな人だったけど、全然トキメかない。もっと知りたいとも、側にいたいとも、触れたいとも思わなかった。

好みのタイプを言い合って、過去の恋愛を言い合って、好きな芸能人を言い合って、将来の結婚観を言い合った。好みのタイプなんて聞かれたって、彼みたいな人がタイプです!なんて言えるわけもなく、ありきたりな解答をした。過去の恋愛で、彼のことがまだ好きです!なんて言えるわけもなく、もう未練なんてないと作り笑顔で乗り切った。好きな芸能人なんていないし、将来の結婚観なんて、未来の私の隣には彼がいてほしい。ただ、それだけ。でも、そんなこともちろん言えるはずもなかった。

男性陣の1人が、タイプは女の子らしい人と言った。それに共感する残りの2人。私はどちらかというとサバサバしているタイプだけど、それを聞いてから、サバサバしてはいけないのだと思い口数を減らした。この3人の中で気になる人がいるかの問いに、いないなんて言えなかった。そんなことを言えば、空気を悪くするのは明らかだ。

思ってもいないことを言って、ありのままの自分を隠す。こんな所で恋をしたって、本気になんてなれやしない。

だから、早く帰りたかった。こんな無駄な時間を過ごすぐらいなら、早く横になりたかった。次の日は仕事だったから。

なのに、合コンは2次会に突入した。2軒目もオシャレなバーで、薄暗い店内は恋人同士で賑わっている。

あー楽しくない。つまらない。早く帰りたい。ずっとそんなことを思いながら、やっぱり頭の片隅では彼のことを思い出している。

彼とならどんな話でも楽しかった。くだらないことで笑って、落ち着ける場所がそこにはあった。共通の友達も多くて、よく皆でご飯を食べに行ったりもした。そんな時、たとえ席が遠く離れていても、優しい眼差しでいつも私のことを見守ってくれていた。その視線が分かるから、彼がいる空間はいつも居心地が良かった。ありのままの自分で、はしゃぎまくっていた。

そんな彼は、もういない。

誰にも愛されないことが恐怖なのは知っていた。

でも、誰も愛す人がいないことも、また、恐怖なのだ。

そんなことを、人を本気で愛して初めて知った。

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