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半世紀の次へ

半世紀も生きるって、子どもの頃は遥か遠くのことだと思ってた。
半世紀生きると、子どもの頃が遥か遠くの幻影になった。
思い出そうとしても、ぼろぼろと崩れていく。
代わりに、時間の速さばかりが気持ちを追い立てる。

20歳の頃に読んでた小説を今でも好きだったり、
30歳の頃と同様に、今も子どものことで悩んでいたり、
40歳の頃の、生きていくのに精いっぱいな自分が哀しかったり、
50歳になってもちっとも変っていない。

半世紀の後は、多分、もっと流れるように時が過ぎてゆくのだろう。
若者が乗る電車に乗り遅れた私は、枯葉の中を歩いてゆくのだろう。
気がついたときには、どうにも逃れられない死の瞬間を、突き付けられているのだろう。
もっともっと、生きていたい。

致死率100%の細い道を、歩いている。
残り半分、なんていうのはとてもラッキーな場合。
今より先のことなんて、わかりゃしない。
この瞬間を与えられたことをせめて感謝して、
もっともっと生きられることを確信して、
強く、笑って、笑って……

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