嫉妬から解放されるコツ|齋藤孝が読み解く『学問のすすめ』
現在では、インターネットなどいろいろな技術が発達しており、また社会変動も激しいので、妬み嫉みなどいろいろな恨み、怨望が、社会的な攻撃の武器になってしまう時代です。ですから、こうした怨望から心を離すことができれば、とても楽になるのではと思います。
妬みの感情から逃れるコツをひとつご紹介しましょう。それは、妬んでいる相手の人を、逆に褒めてしまうのです。すると急に気が楽になります。
女性にすごくモテているのでどうも気に入らない、という人がいたら、「ああ、正直いってあいつはカッコいいからね、まあモテて当然だワ」というふうに思うと、その分だけ気が楽になるのですね。「なんだあいつ、大したこともないのに、努力もしていないのに、カッコばかりつけやがって」と思うよりも、「まあ、女だったらあいつのほうへ行くよな」と素直に認めると、ちょっと楽になる。羨みから離れることができます。
成功した人は羨ましいし、妬む気持ちも出てきがちですね。そうしたときは、「あの人も、あれだけの努力をしたのだから、もっともな結果だろう」とか、「このタイミングで、あれだけのリスクをおかしてやったのだから、当然だろうな」などと考えてみるのです。
YouTuber(ユーチューバー)といって、YouTubeだけで成功して儲けている人がいますね。羨ましいと思うかもしれませんが、しかし、同じことを実際に自分でやるとなれば、それなりにいろいろ苦労があるわけです。自分でなかなかできないことをやっているのであれば、それは「批判したりけなしたりする対象にはならないな」というふうに、落ち着いて考えることができると、ストレスがずいぶん減るのではないでしょうか。
むしろ相手を称賛することによって、心の中の怨望を芽のうちに摘んで、楽になっていく。これはインターネット社会となったいまの世の中では、とても大事なことです。
また、SNSでも見られるように、いろいろな問題に対して、自分に直接関係ないことであっても、「ゆるせない」という人が増えていますね。正義感の皮をかぶった怨望、羨み、妬みが増えている気がします。
そうした妬む気持ちが、あまりにも強くなって、福澤諭吉が、「怨望ほど害のあるものはない」といっているにもかかわらず、社会の中で恨みや妬み、嫉妬心というものが膨れ上がってきている。気持ちよく日々を過ごすためにも、福澤諭吉の「怨望最大不徳説」は、なかなか傾聴すべきものではないかと思います。
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齋藤孝先生がすすめる嫉妬の解消方法、いかがでしたでしょうか?
福澤諭吉の「怨望最大不徳説」についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ本書をご覧ください。
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