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嫉妬から解放されるコツ|齋藤孝が読み解く『学問のすすめ』

本日、4月10日は「嫉妬の日」だそうです。
教育学者としておなじみの齋藤孝先生のご著書図解 学問のすすめ―カラリと晴れた生き方をしようから、湧きあがる嫉妬の感情にどう向き合うべきかを説いたコラムをお届けします。

現在では、インターネットなどいろいろな技術が発達しており、また社会変動も激しいので、妬み嫉みなどいろいろな恨み、怨望が、社会的な攻撃の武器になってしまう時代です。ですから、こうした怨望から心を離すことができれば、とても楽になるのではと思います。

妬みの感情から逃れるコツをひとつご紹介しましょう。それは、妬んでいる相手の人を、逆に褒めてしまうのです。すると急に気が楽になります。

女性にすごくモテているのでどうも気に入らない、という人がいたら、「ああ、正直いってあいつはカッコいいからね、まあモテて当然だワ」というふうに思うと、その分だけ気が楽になるのですね。「なんだあいつ、大したこともないのに、努力もしていないのに、カッコばかりつけやがって」と思うよりも、「まあ、女だったらあいつのほうへ行くよな」と素直に認めると、ちょっと楽になる。羨みから離れることができます。

成功した人は羨ましいし、妬む気持ちも出てきがちですね。そうしたときは、「あの人も、あれだけの努力をしたのだから、もっともな結果だろう」とか、「このタイミングで、あれだけのリスクをおかしてやったのだから、当然だろうな」などと考えてみるのです。

YouTuber(ユーチューバー)といって、YouTubeだけで成功して儲けている人がいますね。羨ましいと思うかもしれませんが、しかし、同じことを実際に自分でやるとなれば、それなりにいろいろ苦労があるわけです。自分でなかなかできないことをやっているのであれば、それは「批判したりけなしたりする対象にはならないな」というふうに、落ち着いて考えることができると、ストレスがずいぶん減るのではないでしょうか。

むしろ相手を称賛することによって、心の中の怨望を芽のうちに摘んで、楽になっていく。これはインターネット社会となったいまの世の中では、とても大事なことです。

また、SNSでも見られるように、いろいろな問題に対して、自分に直接関係ないことであっても、「ゆるせない」という人が増えていますね。正義感の皮をかぶった怨望、羨み、妬みが増えている気がします。

そうした妬む気持ちが、あまりにも強くなって、福澤諭吉が、「怨望ほど害のあるものはない」といっているにもかかわらず、社会の中で恨みや妬み、嫉妬心というものが膨れ上がってきている。気持ちよく日々を過ごすためにも、福澤諭吉の「怨望最大不徳説」は、なかなか傾聴すべきものではないかと思います。

* * *

齋藤孝先生がすすめる嫉妬の解消方法、いかがでしたでしょうか?
福澤諭吉の「怨望最大不徳説」についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ本書をご覧ください。

目 次
第1章 「社会」とのつきあい方
第2章 「学問」とのつきあい方
第3章 「他人」とのつきあい方
第4章 「自分」とのつきあい方

齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は、教育学、身体論、コミュニケーション論。『1日1ページ、読むだけで見につく日本の教養365』(文響社)、『友だちって、なんだろう?』(誠文堂新光社)等、著書多数。

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