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へうへうとして水を味ふ日記

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台湾と日本を行ったり来たりしている文筆家・栖来ひかりさんが、日本や台湾のさまざまな「水風景」を紹介する紀行エッセー。海、湖、河川、湧水に温泉から暗渠まで。
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2023年11月の記事一覧

京都の水盆で「台湾素食」のゆうべ|へうへうとして水を味ふ日記

「京都いう街はねえ、水のうえに浮かんでるんですわ」 昔、京都のとあるバーのマスターが台北に遊びに来て、いっしょに食事をしているとき、こういった。地獄の釜のふたがあいたような台北の夏の暑さ、そして骨にしみいるような冬の寒さが、京都を思いださせると話したときに返ってきた言葉だ。 京都では、大量の地下水が水蒸気となって地表に漏れでて、あの独特の暑さと寒さが生まれているという。帰って調べてみると、なるほど、京都の地下には大きな大きな水たまりがあって、その水量は211億トン、おとな