【超短編】倫敦(ロンドン)
チェック柄のマフラーを巻き、石畳は雨に濡れてほとんど倫敦なのに、霧のない明るい夜だから御堂筋だった。ネオンがけたたましく照らし煙草殻のすすけた黒さがそこらに染みつき、それもどぶ雨にさらされて側溝をめづまりさせていた。
これじゃあ目も当てられないね。がらくたの宝石をつかみ取りして煌めきを貪ったら、掌をあぶらに汚して角煮まんを食べよう。安物のヒールがアスファルトの隙間に引っ掛かって折れてしまった。夜じゅう開いているかぶれた喫茶店の、やたら低いソファー。両足をかかえるか、横に伸