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tipToe.楽曲解説Vol.7 – かすみ草の花束を

概要

・タイトル かすみ草の花束を
・ヨミ カスミソウノハナタバヲ
・楽曲番号 07
・作詞 瀬名航
・作曲 瀬名航
・編曲 瀬名航
・振付 足太ぺんた
・制作時期 1年生2学期編「secondDiary.」

コンセプト

2枚目の限定シングルにして初の全国流通盤「secondDiary.」収録。
同作収録曲のうち既に完成していた「ハッピーフレーバー」「クリームソーダのゆううつ」と異なり、シングルにリードトラックとして収録する前提で制作された曲。tipToe.1年生編は、「特別じゃない私の物語」→「夢日和」→「ハートビート」→「かすみ草の花束を」という順でメインストーリーが展開しており、この曲はその最終話に位置する。歌詞も「特別じゃない私の物語」の1年後の話として書いていて、楽曲もアイドル的な王道ストレートな雰囲気でありながら1年生編の全てを"回収する"1曲になっている。

楽曲

圧倒的なリードトラック感とその裏に潜むギミックがとても魅力的な曲。

色々あるのだが、例えばAメロの"小さい足で部屋を出る"などの部分は3人ずつに分かれて2つの旋律を歌っていて、この部分についてはどちらもハモりではなく"どちらも主旋律"という面白い概念が導入されている。他には2回目のAメロでリズムを一回壊したり、落ちサビの裏に「特別じゃない私の物語」のサビメロをこっそり入れたり、細かく聴くと発見が色々あるようになっている。

可愛くもシリアス路線でまとまった曲になっているが、最初はもう少し緩くて可愛い感じで、サビメロに関しては初期案を完全にボツにして現在のサビに差し替えている。

落ちサビの後の大サビでもう1回上がる二重構造の大サビは当初1回しだったが「まだいける!まだいけるでしょ!!」とお願いして瀬名君に2回し目を足してもらった。

ギターベースドラム全て生録音。
実は期限ギリギリまで制作していた為、本来であればコストなどの都合で何曲かまとめて楽器レコーディングを行うところがそれに間に合わずこの曲だけ別でレコーディングを行った。

個人的にこの曲のミックスがとても好きで「magic hour」再録の時にこの曲を除く全ての曲はミックスを見直したのにこの曲だけはエンジニアの平田君に「secondDiary.の時のバランスを崩さないようにして欲しい。」とオーダーした。

歌詞

特別じゃない私の物語で一歩踏み出した主人公が色々な出来事を経て、多くの人に支えられて前を向けるようになる。という話。歌詞にはこれまでの曲の歌詞の引用やそれを想起させる表現が多数盛り込まれている。

過去の曲を繋いでいくことや特別じゃない私の物語から始まる話の1年生完結編という決まりがある中で作詞をしていったので期限が迫るなか何回もリテイクして少しずつ完成させていった。かなり大変だった。

「かすみ草の花束を」という曲名なのに「かすみ草」は一切歌詞に登場しておらず、他のMVや楽曲をよく知っていると意味がわかる仕組み。特に「特別じゃない私の物語」と関連が深い曲で「かすみ草の花束」というキーワードは実は「特別じゃない私の物語」のMVから出ている。英語版タイトルは「A Bouquet for Youth」(青き日に贈る花束)。

一人称が"僕"なのは歌詞の表現上だけで主人公は変わらず女の子。実はこの曲と結びつきが強い「The Curtain Rises」で一人称が"僕"になっているのはこの曲の一人称が"僕"だからという隠し設定がある。

また、ボーカルも多人数を生かして落ちサビなど随所でどんどん重なり合っていく表現をしている。合唱曲っぽい。この曲は一緒に頑張れるメンバーやファンの方が複数人いるからこそ熱い曲で、それに沿うように実際に一人では歌うことができない。具体的には最低でも3人必要で、カラオケに入れても歌えないのではと思っている。が、カラオケには入ってる。誰か歌ってみて欲しいです。

サビの三原海のハイトーンボイスがいい味だしてる。

「ここで君と過ごした日々が僕を救ってくれるから。」という最後の歌詞がとても良いよね。tipToe.第1期の物語の起承転結のうち、起の物語はこれで終わり。ドラマやアニメでいうなら1クール目の最終話的な立ち位置です。

雑記

瀬名航君は自身にとっても初の全国流通作品だったので気合い入りまくりで、持ってるネタを全て投入すると宣言して作っていた。「一見王道で実はヤバイ」というtipToe.が目指すサウンドの1つの到達点と言ってもいい仕上がりで、本間もこの曲をかなり気に入っている。後日この曲のことを本間と瀬名君と振り返った時、本間は「1年生編で一番辛かった」、瀬名君は「わくわくしていた」という違う感想を抱いていた。

この曲にはボカロ版も瀬名航のセルフカバーという名目で存在している。

振り付けは足太ぺんたさん。とても可愛い振り付けでMVがいい感じなのは振り付けの力も大きいと思う。ちなみにぺんたさんは花咲なつみの憧れの人で、早朝の新宿でこの曲の振り付けをぺんたさんがして下さることをメンバーに伝えた時、つみ・真叶から変な声が出た。振り入れの時のつみの緊張っぷりは今でもよく覚えている。

「特別じゃない私の物語」で蒔いたかすみ草の種が「夢日和」で育ち、このMVでとうとう花束になる。オケにも歌詞にもMVにも隠しネタが満載で、MVを発表した当時、曲・映像から隠しネタを見つけるのがファンの方々の間で盛り上がっていた。MVでは前作から続く例の"かすみ草の鉢植え"に新メンバーの真叶とあみがサインを入れるシーンがあって、そこには当時tipToe.を離れていた成瀬のサインも入っていた。この曲が真の意味で完成したのはmagic hourで成瀬が戻ってきて6人で歌った時かもしれないですね。

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