見出し画像

『ビートルズと過ごした日々』 著:デレク・テイラー

 私はつい最近「ザ・ビートルズ BOX」を手に入れた。それを基に「PLEASE PLEASE ME」から「LET IT BE」までの13アルバムを一気に聴いた。そして、驚くべきことにそのアルバムのほとんどに聴き覚えのある曲が収録されていた。

 私は遠い島国であった日本にそれ程の影響を与えたビートルズというイギリスのバンドをもっと知りたいと思った。


 それから多少の日が経ち、家に一冊の書籍が届いた。それが今回紹介する「ビートルズと過ごした日々」であった。


 私はこの一冊の本からビートルズを深く知ろうと熱心にそれを読んだ。しかし、私の期待以上に大きな知識を得られることはなかった。本の中身は、ほとんど知らない外国人が登場し、金や名誉を求めて本書の著者であるデレク・テイラーやビートルズの事務所であったアップルに、夜の蛍光灯に群がる蠅の様に集まってきて自分を売り出したという話ばかりであった。

 しかし、私はビートルズに対する知識を深めることよりもデレク・テイラーという男に興味を持った。その男はいくつもの顔を常に持っていた。ある時は新聞記者であり、ある時は愛する妻の夫として子供を養う父として、またある時はビートルズの雑用であり、広告宣伝係であった。そして、常に同時にいくつもの作業をこなすのであった。

 ビートルズは世界中の英雄でありインフルエンサーであり、権力者にとっての強敵であった為にアップルで働くものは常人では到底、こなすことの出来ない業務ばかりであったということはこの本だけでなく、いくつもの記録からそれを知ることが出来る。


 そんな中でデレク・テイラーはアップルの業務だけでなく、他のバンドも手掛けていたのだ。

 私がこの男に、より興味を持った原因は文章の中に溢れる”正直さ”であった。人間には常に良い時も悪い時もある。しかし、それを隠したがるのが人間の性というものだと私は思っていたが、この本の中で男は常に正直だった。

 男は自分の実力と周りの要求の差に常に苦しんでいた。その要求に応えきれずに失敗した仕事も多くあったことが本の中に多く記されている。そして、LSDを使用したことやその時の情報も詳しく記されていた。それは本人のみならず、ビートルズやその周辺の人物が使用していたことも馬鹿正直に記されていた。

 当時からLSDは法による裁きに値する事柄であった。それをここまで包み隠さず書くということに現代の日本で暮らす私にはあまりにも大きすぎるインパクトを与えた。


 長々と文章を書いている為に私は何が言いたかったかを見失い始めたが、結論から言うとビートルズに対する情報は少ないがそれ以上にデレク・テイラーの半生を知ることは非常に面白いということを私は伝えたかったのだ。


 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?