読書体験が変わる新たな視点とは。「自分にここまでの小説が書けるのか?」
少し前に、拙いながら「神楽坂オーバーグラウンド:ポンコツ探偵と支配する女」というミステリー小説を書き上げました。
自分にとって小説を書くというのは、初めての経験です。
これはこれで楽しい時間だったのですが、逆に小説を書くということの奥深さを知り、なかなか次作に取りかかれないでいました。
そこで、小説を書くためのノウハウを伝授してくれる書籍に頼ってみることにしました。
手に取ったのは『「物語」のつくり方入門 7つのレッスン』という本です。
ただ、30ページほど読んだところで、もう壁にぶつかってしまったのです。
◎総じてレッスンは厳しい
そこには、こう書かれていました。
レッスンなので、その通りに作品を思いつくかぎり挙げてみました。
ところが、その先が大変なのです。
本書は50〜100本すべての作品に対して、以下の作業を行えというのです。
50〜100本の作品に向き合って、これら①②③の項目を埋めろと……。
◎これまでの自分だったら付き合わない
これまでの自分だったら「めんどくさ」「内容なんて細かく覚えてないし」「もっと手っ取り早くノウハウが知りたい」と考え、それ以上この書籍を読み進めることはなかったでしょう。
ただ、今回は違いました。
新川帆立さんの講演で、小説を書くなら「ひたすらインプットしなさい」的な話を聞いたことがあったからです。
本当のインプットとは、こういうことなんでしょうか。
要は書き手になりたいなら、ただの読者(消費者)のままでは、その先に進めないということと私は解釈しました。
いままでの自分はただ物語を消費して「面白くない」「自分には合わない」「何がいいたいかわからない」などと評していましたが、大好きだった小説の趣旨、特徴、良さですら①②③の言語化が全くできないのです。
そんなこともあって、ちょっと試してみることにしました。
最低でも50本の作品に対し、①②③の視点を持ちながら再読してみようかと。
すると、これがなかなかおもしろいのです。
◎なんでもない小説から新たな発見が!?
あらすじ自体は珍しくなくても、そこに組み込まれた仕掛け(伏線というのでしょうか?)が、どれだけその小説独自の世界を広げ、深め、読者を魅了してくれるものなのか……その一端に触れた思いがします。
同時に「自分にここまでの小説が書けるのか?」という畏怖の気持ちも強まりました。
しかも、これまで評価してこなかった作品に対し、(好き嫌いはさておき)書籍化されるだけのことはあるなと納得がいったりして……。
いまさらながら、プロの小説家のすごさが身に沁みます。
そのため、当面はインプットに専念しつつ、新たな作品づくりを目指せたらいいなというモードに切り替わってしまいました。
小説を書いてみたい側としてはなんだか遠回りしている気がしなくもないのですが、いまはあらためて本を読む楽しさを感じている次第です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?