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シンガポールと中国が作り上げる新たな未来?【広州知識城】

はじめに

广州知识**城‐Sino-Singapore Guangzhou Knowledge Cityとは **

南洋からの帰還、シンガポールとの共同開発

ともに作り上げる未来

知識城から日本は何を学ぶべきか

結びに

はじめに

中国が誇る1千万人都市【広州市】。今そこでは、大規模でかつ中国初となる都市開発計画が進んでいます。「私たちにとってはある意味里帰りといえます」そう語るのは広州人でもなく、中国人でもありません。シンガポール人のNicoleさんです。

彼女や多くのシンガポール人がこの広州にやってきたのは、シンガポール政府が主導する形で建設しているスマートシテイ【広州知識城‐Sino-Singapore Guangzhou Knowledge City】を開発するためです。今回はこの巨大プロジェクトについてお話しさせていただきます。

(ドローンによる知識城の全景写真。一つの都市が生まれつつあることがよくわかる)

广州知识**城‐Sino-Singapore Guangzhou Knowledge Cityとは **

知識城は広州の北で、中国南方の玄関口である広州白雲空港の近くに建設されています。広州の中心地からは現在、車では40分、地下鉄でも40分ほどの距離にありますが、すでに高速鉄道の建設が進んでおり、深圳や東莞、佛山といった周辺都市との交通も強化されつつあります。

(広東省‐大湾区の地理的中心部に、知識城は位置している)

かつてはのんびりとした60㎞平方の土地に、4万人の農家が住むのみでした。しかし2010年からの急速な開発で、知識城の居住人口は2019年で10万人を超えております。2030年には50万人が暮らせるまちづくりが現在も進行中です。

(開発の変遷、2010年時と2018年次)

都市の核となるビジネス基幹として、ドイツのシーメンスやシンガポールバイオテック協会などの外資系企業、テンセントや京東などのハイテクIT企業、さらには中国電信などの国営企業などがすでに拠点や研究施設の建築や入居を終えました。知識城を中心としたビジネス‐産業圏の完成はもうすぐです。

(知識城に入居、拠点の設置を進めている大企業)

南洋からの帰還、シンガポールとの共同開発

さて急速に成長しつつある知識城ですが、最大の特徴は【シンガポール政府‐中国政府】両国による共同開発、共同運営ということです。これは建設や企業投資のみではなく、市内のインフラ運営や各種行政についてシンガポール政府が積極的にかかわっているということです。

(広州市政府とシンガポール政府が、知識城の株式を50%ずつ保有しており、両国政府の合意のもと、各種プログラムが進みつつある)

現在市内にはシンガポールの教育プログラムに基づいて運営される公立校や、シンガポールの先端医療サービスを提供する病院や、さらには両国共同の研究機関が設けられています。

(シンガポールのハイテクスタートアップと、中国企業が入居するイノベーションセンター)

シンガポール政府は過去にも中国蘇州にインダストリアルパークを設立した実績がありますが、知識城の目的は大きく異なります。その目的とは何でしょうか?

広州市とシンガポールがともに作り上げる未来

以下は現地のシンガポール開発局のNee Pai Cheeさんの公式サイト内のインタビュー内容をまとめさせていただいたものです。

「シンガポールと広州市は元から深い縁で結ばれておりました。ご存じのようにシンガポールは華人が多数派であり、その中でも広州市を中心とする広東系の華人が多く活躍しています」

(2017年に広州知識城が中国国家プロジェクトに指定された際には、シンガポールのリー首相と、中国の李首相の間で会談が催された)

「私たちが中国に提供できる価値観は2つ。1つはシンガポールのコンパクトシテイの概念や運営を中国側と分かち合うことです。中国は大規模な都市化を達成しましたが、渋滞や高騰する不動産価格という大都市病に直面しました。」

(急速な都市化が進んだ中国であるが、それゆえ大都市病に苦しんでいる)

「シンガポールはスマートシティをはじめとする都市開発で、大都市病を解決してきました。今その経験を父祖の地で活用する機会を得たのです。」

(ガーデンシテイといわれるシンガポールを見習い、知識城も生活‐ビジネス空間と、緑地を組み合わせる都市計画が進んでいる)

「シンガポールが中国広州で得られるものも非常に多く有ります。それはビジネスモデルやイノベーションを育てる環境です。知識城に進出しているシンガポール企業は製薬や生物科学が過半を占めています。
シンガポールでは開発が出来ても,膨大な臨床試験データや市場への運用が難しい環境でした。これはシンガポールの人口の少なさが原因といえます。」

(シンガポールの創造性、中国の広大な市場と潜在能力が相乗効果を生みつつある)

「一方で中国,特に広東省広州では恵まれた人口を用いての医療データを収集出来ます。更に大湾区計画を始めとし,知識産業の成長が進んでいます。
シンガポール🇸🇬-中国🇨🇳でより一層未来のある関係を作りあげられるでしょう。」

知識城から日本は何を学ぶべきか

知識城の実例は、中国国内における国際プロジェクトの新成功例とみることができるでしょう。【中国という広大な市場の中で、従来の会社設立や商圏の拡大という民間主体のビジネスの規模を大きく超えた、2か国間プロジェクトの中で両国がいかに建設的な関係を築いていく】、これはシンガポールと同様に中国と密接な関係を築く日本にとっても、注目すべき事象となりえます。大湾区計画と同じく、日本社会も能動的な行動が求められます。

結びに

中国では水面下で進みつつある、都市開発や巨大プロジェクトが数え着ないほどあります。今後も現地の知られざる情報について発信させていただきます。

参考資料および画像元

http://www.ssgkc.com.cn/

筆者連絡先
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