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俺はただ帽子を被っただけだが

最近、帽子が装備として優秀なのではないかと思っているので書いておく。部屋にこもりがちなオタクこそ、外出する時は帽子を被るべきだ。

「今年の夏は辛い」

8月の始め、出勤のたびにそう思った。梅雨が明けて日差しが降り注ぐ。この日差しが容赦なく俺の頭を焼いた。夏は暑いものだが、ここまで辛い季節だっただろうか。この苦痛は耐え難く、何とかして対処する必要がある。

ある日ふと気がついた。今年の夏が例年より辛いのは、引っ越しをしたせいではないか、と。今年の6月、俺は引っ越しをした。これによって通勤路が変わったのだ。これまでの通勤路は日陰が多いため、通勤時に日差しで苦しむことは無かった。対して今の通勤路は日向が大半である。

環境省の熱中症予防情報サイトによれば、気温が約30℃の時、日向面は約50℃にもなるという。対して日陰となる木陰面は約32℃だ。俺が「去年までとは違う」と思っても不思議ではない。

20200927 木陰のある交差点(東京都江東区木場)

まちなかの暑さ対策ガイドライン 改訂版 平成30年3月 第1部 基礎編 図1.1

日陰が無いなら作ればいい。最初に考えたのは日傘だった。しばらく前から「日傘男子」なる言葉を聞く。

愛知医科大学客員教授・中部大学教授の佐藤医師によれば、真夏の昼下がりに日射しが当たる頭髪の温度は55℃前後まで上昇するのに対し、日傘を使えば40℃前後で済むという。日傘は路面からの放射こそ遮れないが、俺が一番感じている頭部への熱射は遮ってくれる。問題への対処という点では、完璧な回答だ。

しかし日傘には片手が埋まるというデメリットがある。基本的に両手はフリーにしたい性分なので、これは避けたい。なぜ日差しを遮るためだけに、2つしかない貴重なスロットを使わなければいけないのか。

そこで帽子である。対熱射という観点では日傘に劣るが、一番重要な頭部をピンポイントで保護することができる。両手を使うこと無しに。俺の要求仕様を満たすのは帽子が一番というわけだ。

そんなわけでロスコのジャングルハットを買った。これならキャップと違って全方向からの日差しを防ぐことができる。柔らかいので丸めてリュックに詰め込めるので、旅行の時にも持って行きやすい。サイズはXLにした。俺の頭のサイズは58〜60cmなので寸法通りならLサイズとなるのだが、調べてみるとロスコの帽子はワンサイズ大きめがいいらしい。結果的にはこのアドバイスに従って正解だった。ちなみにロスコにはこれと似た製品にブーニーハットというのもある。

こちらの方が安いのだが、俺が買ったジャングルハットの方が被りが深い。俺は日差し対策として帽子を求めているため、深さを重視したのだ。

20200927 帽子を被った_1280

さて実際に使ってみてだが、結論としては正解だった。頭に直射日光が当たらないだけで、ここまで通勤が楽になるのか、と。たぶんステータス画面を開いたら

【耐性】日光

と書かれているはずである。それくらい効果をはっきりと感じたのだ。こうなると帽子を被っておらず、日傘も無いのに日向を歩いている人が哀れにすら思えてくる。装備が貧弱であるばかりに、ただ道を歩くだけでダメージを受けてしまうなんて。そして思うのだ。「俺はただ、帽子を被っただけだが」と。

また、帽子が有用だったのは晴れの日に限らなかった。この帽子は防水・撥水ではないため、雨には役立たずだと考えていた。だが、傘を差すか迷う程度の小雨ではそうでもない。つばのおかげでメガネが濡れないのだ。つまり正しくは

【耐性】日光・小雨

である。

帽子は被ることで、焼け付くような日差しの下でも、今にも落ちてきそうな空の下でも、快適に行動することが可能となる。それでいて装備するコストはほぼゼロなのだから素晴らしい。なので最近出かける時は、とりあえず帽子を被るようになった。なぜ30年以上生きていて、これまで被っていなかったのか不思議である。

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