令和五年 年の瀬寝込の巻

 実を言うと、もれなく流感に罹ってしまいここ数日伏せっている。
 珍しく自分が主体となってお店を予約した忘年会はいけずじまい、死にそうになりながらも年末の飾り付けや掃除のクライマックスをこなすなど、ハードな年の瀬である。 

 だが、良いことが全く無いわけでもない。
こう数日間も伏せっていると、普段使わない頭を否応にも動かす。
年始にしなければならないことの書き出し、今年のプロフィール写真の撮影の詳細決め、取り置いて貰っている提物の購入時期、扁桃腺の手術の予定など。
その扁桃腺が肥大していることでしばしばこの寝込作業に入るわけだが、存外これはチャンスでもあり、徐に過ごす雑な日常に喝を入れてくれる。

 こうして寝て覚めて汗をかいた衣類を着替えては考え事、少量の食事、腹の肉が少し落ちてきたことに歓喜して、全身のラインを手で確りとなぞるといった様な奇行を繰り返し、飽きてきた頃には「渡る世間は鬼ばかり」を見て、これではいけないとまたダル・セーニョの如く考え事のフェイズへと戻るを繰り返していると風呂の時間があっという間にやってくる。
 とはいえそんな老後の様な生活だけではつまらない。
そこでありがたいことに毎日何かイベントが出来る。
自発的なもので言えば、幸い便利な世の中なのでネットで生活に必要な少し高いものを買ったり、風邪声での電話でもって元気になった後に行くところの予約を取ったりする。
他者からのものだと、知己がいつも中々出来ない通話に誘ってくれたり、冒頭の忘年会帰りの仲間がこれからブラゲーをやるので参加するかと提案してくれたりする。
ここは病床ながらも何か功績を残さねばと張り切るも、
所詮は一介の肉塊、せいぜいふざけた名前で登場すること位しか芸がなく、4、5分で慌てて考えたのが
「ガッツいちもつ」という体たらく。一応セリフがあり、それを連呼する仕組みとなっている。「包茎牧場」。

 翌朝、熱も引いた。
引いてから2日は安静と言われたので、先程のルーティーンの合間を縫ってこの様な今回の寝込の思い出日記というものをしてみんとてした。

 まもなく年も明ける。私は病気から解放された世界を存分に思い浮かべつつ、せっせと腹の肉をなぞりながらしたり顔である。だしぬけのダイエットに喜ばない法は無いじゃないか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?