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「畳み人」という選択 ー「本当にやりたいこと」ができるようになる働き方の教科書

本の紹介者:江草 嘉和 https://note.com/yoshikazuegusa


こんな人に読んで欲しい
・ 仕事の遂行力を鍛える方法を知りたい人
・ プロジェクト単位で仕事をすることが多い人
・ 組織に「欲しい!」と思われる人材になりたい人


1.「畳み人」と私の仕事観

 本書では、「畳み人」とは以下のように定義づけられている。

ビジネスにおいて「突飛なアイデア」という大風呂敷を広げる経営者やリーダーを「広げ人」と仮に定義するならば、僕が本書で定義したい「畳み人」は、仕事のアイデアを形にし、着実に実行に移す仕事人

 これが私の仕事観にとてもマッチする。コンサルタントという仕事をしているが、実は、議論はあまり好きではない。もちろん議論の必要性は認めてはいるが、それはあくまで、その後の実行が伴うことが前提だ。


 しかし現実、ビジネスの場で、議論自体が目的化されてしまうことも多いのではないだろうか。風呂敷をみんなで広げ、それに満足して、それっきりになってしまうパターンだ。

 一体、平成の30年の中で、無駄な議論に時間とエネルギーが浪費されたのだろうか。。。私は、企業にはもっと多くの「畳み人」が必要だと考えている。「畳み人」としてのロールを理解し、役割として、仕事のアイディアを形にして、実行に移していく人だ。実行にこそ価値がある、という働き方の観念が、もっと広まってもいいのではと思う。

 転職するとき、自分の仕事観を深掘りした。そこで出てきた、私の仕事観の中心にある言葉、それは「実務家」だった。

「戦略とはコモディティであり、実行こそアートである」
ピーター・ドラッカー

 今でも、アイディア自体ではなく、実行こそが価値を生むと考えている。

(私の最も好きな歴史上の人物は、大村益次郎だ!)

 本書を通じて「畳み人」というコンセプトで、私の仕事観を再整理できたことは、心地よかった。

2.よい「畳み人」になるために

 「畳み人」は、言うならば現場総監督。「広げ人」の理念を正確に理解して、それを分かりやすい形で、メンバーに伝えるだけでなく、目的を実現するためにメンバーが機能的に動くための、チームビルディング、マネージメントが求められる。

 本書では、優秀な「畳み人」になるための具体的な仕事術がいくつも紹介さている。私の印象に残ったものをいくつか、紹介する。

・広げ人の味方になれ、秘密もプライベートも共有しろ
・仲間を集める時は、スペックより「伸びしろ」を最優先に考えよ
・報告や説明にはくどいくらい主語をつけよ

 電通鬼十則のこちらを思い出した。

「頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ」

 優秀な「畳み人」とは、簡単に言うと、所謂「仕事ができる人」である。次代は変われど、業務遂行に求められる本質の部分は、変わらないということだろう。

3.「畳み人」を、選択する

 本書のタイトルにもあるが、「畳み人」は「選択」するもの、という意識は大切だと思う。つまり、ロールである。リーダーシップと同じで、生まれ持っての「畳み人」がいるわけではなく、ロールとして認識することで、誰もが「畳み人」の任務を果たせるようになるのではないだろうか。

 そして「畳み人」のロールを経験した人が、「広げ人」になれるのだと思う。正確には、「畳んでくれる人がいる、広げ人」に。本田宗一郎だって、孫正義だって、元々は一番の「畳み人」だったはずだ。夢を語れるリーダーは、自らが数多くのものを実行して、実現してきた人だと思う。


 なお、本書を読んでの一番の感想は、「弊社にも、畳み人が欲しい・・・」
思えば、会社を設立して半年、私が社員に対して最も口にした言葉は、「Output」だったような気がする。(あまり褒められたことではない。。。)

 自然と、畳み人を求めていたのだ。どうやったら社員が「畳み人」のような働き方をしてくれるようになるか。。。

 その答えは、私自身が「社員畳み人化プロジェクト」の畳み人となって、
本書で学んだことを実践していくではないかと思っている。


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