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Behind the Scenes of Honda F1 -ピット裏から見る景色- Vol.01

はじめまして!Honda F1 PR担当のスズキです。今回から「Behind the Scene -ピット裏から見る景色-」と題して、サーキットの現場からHonda F1に関するトピックをチームメンバーの目線でお伝えします。レース内容はもちろんですが、メンバーの仕事内容やレース運営の裏側、またレースが行われるサーキットや街に関してなど、普段TV等には映らない部分を、僕だけでなく様々なメンバーの視点からお伝えします。

―2008年以来の表彰台

さて、先週末、オーストラリア・メルボルンで行われた開幕戦は、Honda F1にとって2008年以来、2015年のF1復帰以降初となる表彰台獲得という素晴らしい結果になりました。マックス・フェルスタッペン選手、Aston Martin Red Bull Racingへの感謝は言うまでもないですが、昨年から一緒に一歩ずつ前進してきたScuderia Toro Rossoとも喜びを分かち合いました。研究所やサーキットの仲間たちが諦めずコツコツと地道に積み上げてきた努力には、本当に頭が下がる想いです。(やはり、急に速くなる魔法があるわけではないんです・・・)

僕は2017年から担当に就かせてもらっていますが、特に初年度は苦しいことが多い一年でした。そのころは、(Hondaの力を信じつつも)こんな瞬間を迎えられるとはとても想像できませんでしたし、それだけに喜びも大きいです。自分は広報担当ですので、パワーユニット(PU)を速くするために自分が何かできるわけではありません。ですので、ファンの皆さんも含め、本当にみんなに「ありがとう」と言うことしかできませんが、それでも本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。「夢の力」って、すごい。(とは言え、まだ表彰台の真ん中ではないので、涙は懸命にこらえました。次まで取っておきます)

-Honda F1のメンバー

さて、改めてですが、Hondaにとって今年は初めてScuderia Toro RossoとAston Martin Red Bull Racingという2チームにパワーユニットを供給するシーズンになります。両チームに同等のサポートを提供するため、レース現場の人数は1チーム供給までだった昨年に比べおよそ2倍、30名弱なりました。そこで、今回は簡単にHonda F1の主要メンバーを紹介していきたいと思います。(本人が読まないことを祈って・・・笑)

Hondaのサーキット現場を指揮するのは、昨年同様に田辺豊冶テクニカルディレクター。根っからのレース屋で、そのキャリアの多くをサーキットで過ごしてきた人です。昨年チームに合流した際も、異なるカテゴリーから来たにもかかわらず、すごいスピードで新しい現場を掌握、指揮する姿にエンジニア陣は舌を巻いていました。仕事中は常に冷静沈着で、瞬時に、でも突き詰めて判断を下します。(実は仕事の外ではユーモラスでにこやかな人です。今回の結果もちゃんと喜んでいましたよ。「これじゃ全然まだまだ!」とも言っていましたが・・・)

その下にいるのは2名のチーフエンジニア。本橋エンジニアがToro Rossoを、GeorgeエンジニアがRed Bullを担当します。本橋エンジニアは田辺さんとは第3期F1の途中からの関係で、右腕とも言える存在です。(見た目がちょっと怖いので、僕は最初ビビッて話しかけませんでした。でも実は心優しい兄貴分で、ほんわか系です。田辺さんからは「クマ」と呼ばれていますが、たしかにちょっとプーさんぽいかも)

Georgeエンジニアは、田辺さんとは1993 年のIndyプロジェクト以来、25年以上(!)の付き合い。こちらも長年一緒に仕事をしてきただけあり、阿吽の呼吸です。過去にはF1やNASCARなどのカテゴリーも経験し、レースエンジンを走らせるプロと言えます。仕事に対してはとてもストイックですが、日本人やHondaの仕事の進め方への理解も深く、メンバーにとっては頼れるリーダーになっています。(妙な日本語の単語ばかり覚えています。でも刺身は苦手。僕は彼とレースを廻りながら各国の文化の話をするのが好きです。)

サーキットから離れ、日本のHRD-SakuraでPUの開発を率いるのは浅木泰昭プロジェクトリーダー。昨シーズン就任すると、強いリーダーシップの下、開発の方向性を明確にし、PUのパフォーマンスと信頼性向上を図ってきました。田辺さんいわく「技術の勘所がわかる人で、こちらが多くを言わなくても理解してくれるのでとても心強い」そうです。(初めて話した際は「昔ながらのHondaエンジニアだー。頑固一徹・・・」という印象でした。でも親分肌で、部下に対して細かい気配りをしてくれたりという温かさがある人です)

技術面から離れたチームマネジメントやチーム/FIAとの交渉、マーケティング面などについては、4月からマネージングディレクターに就任する山本雅史(現モータースポーツ部長)が引き続き担当します。(実は、先週の金曜が誕生日でした)。ドライバーとしての経験もあり、マックス・フェルスタッペン選手のお父さんで元F1ドライバーのヨス・フェルスタッペン選手と、カートの世界大会でレースをしたこともあるんです。

”Hondaのレース”に対する強い意志と明確なビジョンで我々をリードする姿勢は、日本のメディアなどから浅木さんと並び、「昔気質のHondaらしい人」と言われます。逆にチームなどからは、そのオープンな人柄により「全く日本人らしくない」と言われ、厚い信頼を得ています。(誰とでもすぐに打ち解ける姿勢はむしろラテン系かもしれません。人たらしでモチベーター、そして硬軟使い分ける交渉人でもあります)

このような体制で今年のHonda F1プロジェクトは進みます。今回の結果はとてもポジティブでしたし、これを次につなげたいところですが、何が起こるかわからないのがレースの怖さであり楽しみでもあります。本コンテンツを通じて、そういった喜怒哀楽や現場担当としての想いも一緒に届けられたらと思っています。

(さて次回は誰が登場するでしょう・・・)

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