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大人になったものだ

臨床心理士をしている友人に「人の話聞くのが好きだから、カウンセリングとかやってみたい」と何気なく言ったら、ムッとされた。
返ってきた言葉は、

「思っているほど簡単な仕事じゃないよ。」

まったくその通りだ。

さらに大学生のころ、花屋でアルバイトをしている女の子に、「わたしも花屋でバイトしたい。楽そう。」とこれまた軽率にもほどがある発言をしたことを思い出した。

もちろん女の子は「たくさんのお花の名前を覚えて、特徴とか性質を説明できないといけないし、年中手は荒れるし、楽じゃないよ。」と少々不満そうだった。

多分8年前から変わっていない自分のクソ具合が改めて明るみに出たところで、更に思い出した。

10歳のときのハナシだ。わたしが通っていた小学校では当時、『二分の一成人式』という催しがあった。ハタチの半分の年齢にやる儀式で、学校の体育館に卒業式よろしく、舞台に学年全員が並び、親先生が見守る中、将来の夢を発表するというもの。

級友達が、サッカー選手だの花屋だのお菓子屋さんだの発表していく中、わたしは、

『社長か探偵になりたい』と大真面目にそれはもう大いにドヤりながら叫ん?だ。

別に夢の数に制限があったわけではないが、2つ発表したのは私だけだった。

そんなわたしをおとな達は微笑ましそうにみて、『きみならきっとなれるよ』とかなんとか激励してくれていた……と思う。

小学生のわたしと、大人になったわたしに特に違いはない。
言葉選びがまずかったとは思うが、どのときも、素直に興味があったから出た言葉だ。

でも周囲の反応が違うのは、わたしの立場と相手との関係が変わったからだろう。
今のわたしは仕事の裏側を想像できる。表に出てこない大変さや苦労を慮ることができる。

大人同士の会話なら、互いに慮り会えるからこそ、ムッとできるのだ。

子どもにはそんな配慮は存在しない。素直に思ったことを素直にだすことが当然だから、そもそもそんなやり取りにはならないのだ。

これが大人になったってことかぁ……。

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