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同情するなら

「同情するなら金をくれ」(ドラマ『家なき子』)という言葉は、僕ら世代では有名な言葉です。ドラマ見てなかった私も知ってますから…。その言葉を述べた俳優 安達祐実さんも今では、大人で子どもさんもいる。今となってはそんな言葉は知らないという方もいるかもしれません。

そんなことを思い出したのは、100de名著の録り置きを観ているからです。今月はアレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』です。4回すべて見てきたが…最終回はかなりぐっとくる話だった。

compassionコンパッション(同情)とempathyエンパシー(共感)という言葉について、compassionには「下の立場へ哀れみ」、empathyには「対等な感情移入」の意が含まれていると述べ、共感の重要性に触れている。多様な文化が共生できる社会のためにはまず他者の声を聞き理解する。その上で、わが事として理解すると述べていた。

この考え方は、現在自分が行っている読書会やデスカフェなどで行おうとしていることと全く同じだと感じた。過日もこのnoteに書いたが、一見専門家のような人々を重視しがちだが、それでは多様な意見を知ることはできない。そこからおそらく共生は生み出せない。多様な意見を虚心に聞き、自分事として考えることが、大切だと改めて感じた。

その上で、講師の沼野氏は、「アレクシエーヴィチが書いたことは現代社会に通じることばかり」とのべ「一番大きいのは男尊女卑」と述べている。『戦争は女の顔をしていない』であるから、女性目線であるのは当然だが、これから某研究所で行う会議でもジェンダー問題を取り上げる予定だ。

そこで大事なのは、やはり目線や立場を変えながら、自分ごととして受け止めることではないだろうか。それこそコンパッション(同情)でなく、エンパシー(共感)が必要だと感じる。

今回の名著は珍しくまだ存命の人物が著者でもあり、放送終了後に著者からのメッセージが載せられている。そこで述べられたのは

「人の命は物事を測るものさしであってはならない」「そしてこれが『戦争は女の顔をしていないの軸となる考えなのです」との言葉です。

「人の命は物事を測るものさしであってはならない」

実に重い言葉です。聞いた瞬間に目から涙がでました。命を大切にする、安全な世界、平和な日本にいると当然の言葉のように感じます。しかし、著者も含め人権がなく命の危険にさらされながら生きているひとびとがいる。

社会主義を捨て、資本主義へとイデオロギーが変わる中で、社会が拝金主義に変化していったとも述べているシーンもあり、今の世界を映す鏡にもなりうる実に考え深い名著だったと感じました。

今の社会に言うべき言葉は、「共生するには対話が必要だ」かな?やはり、できているとは言えないが・・・(笑)

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