SNSで本の表紙を載せた紹介は、「まだ」違法ですか?

2018/916 新規作成
2024/4/8 一番下に嬉しい話を追記しました

初めまして。TwitterではAという名前で本のデジタルPOPを書いている一介の読書好きな人です。(@hon10pop)※今はこのアカウントは更新しておらず、鍵垢です。

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なんでnoteを書こうかと思ったかというと、これから書くお題についてTwitterでは文字数が少なくて誤解を招きそうだと思ったからです。(noteで書いても誤解や賛否両論は起きるかもしれないけれど)

賛否両論というのはあるすでにデフォルトになっていることを変えるのに必要なことだと個人的には思っていますが、法に絡むところなので結構ドキドキしながら更新しています。多少の厳しいお言葉や批判はあるだろうとも思うので、覚悟しつつ書こうと思いました。

これを書こうと思った事の発端

8月下旬頃だっただろうか。いつものように読書垢を徘徊していたら「本の表紙や中身の写真を著作権所有者の許可なくSNSにあげることは違法。結構やっちゃっている人もいるけれど今後は気をつけましょうね!」という内容のツイを見つけました。(特定されるとツイした人に迷惑がかかるので原文ママじゃないです)

その通りである言葉に、違和感というか、春ころに迷ったことを思い出したのでした。

私も気になっていた本の表紙の著作権

冒頭にも書いた通り、私は自分の買ったオススメの本の表紙を写真に撮ってipadにとりこんで紹介文を書き加えてtwitterにあげています。春にアカウントを開設した時、やっぱりこの著作権問題を気にして一通り調べたのでした。

ただ載せるだけでもアウトらしい。たまたま入り込んだ背景としてなら良さそう。加工してあげるなんて冒涜...?

まあ、そうだけど、でも。

葛藤があって少し悩んだけれど、私はこのままアカウントを開設して、せっせとPOPを描き続けました。

違法と知りながらTwitterに更新し続けている理由

それは、本が好きで、この本が売れたらいい。そして、違法と言われる「本の表紙をSNSにあげるのは著作権侵害」という考え方はもう時代とマッチしない考え方だからそろそろ変わる時期じゃないかと考えたから。おすすめすることによって読者を増やすことが少しでもできるのであれば、今、市場がどんどん縮小している出版業界の少なくとも足枷にはならないだろう。そう思って、更新し続けることにしました。

本の宣伝は正直、電車の中吊り広告や本や雑誌の広告スペースや出版社ホームページより、断然SNSでインフルエンサーが語ったものや、読書アカウントや読書メーターなどの世界で流行ったものや熱く語られた本の紹介の方がよっぽど人の行動を動かすと思っています。今、組織が人を動かすことよりも、個が動かす力が劇的に力を持ち始めています。

実際、ビジネス書なんかでは逆にSNSで拡散を狙いうまく多くの人の手に届けていたりもします。みんな、「この人いいな」って思った人が「いいよ」って言っているから読んでみたいと思うことも多いのです。SNSではその本だけを宣伝する目的のものは好まれません。発信者の「らしさ」を本のツイート以外でも感じながら、その本を知るのことで逆にリアリティがあがり、買いたいと思われるのです。また、何かしらの共通点がある場合(例えば同じ読書アカウントの世界にいる、など)は、全く関係ないマスに向かって発信されたものより、実際の行動率をあげることができます。

Twitter読書アカウントの世界

ここはとにかく優しい世界なんですよね。もしかしたら、他の趣味垢もそうかもしれないけれど、「読書好きと繋がりたい」と呟ければ、みんながこぞっといいねしてくれ、本について呟ければフォロワー外でも共感の言葉をくれ、TLを追っていると「もうこの人、この本好きすぎて完全に持ってかれてるな」みたいな人とか見かけて、別に一言も買ってください、なんて言われていないのに買わずにいられなくなってしまう。だって、本気なんだもん。密かなブームだって発生します。一般的にはベストセラー!というほどじゃない本が発掘されて流行ることも。(でも本当に面白い本率が高い。多分、「狙っていない」からこそできるのだと思います)

本が好きな人たちが作り手を尊敬して、ネット上で戯れ、楽しむ姿を可視化する、Twitterの読書アカウントの世界が、私は好きなのです。

一度決まったルールは永遠じゃない

話を元に戻して、そもそもなんで違法なのか。

ざっくりとした解釈ですが、法律や民のための決まりごとは、基本的には平和のためにあると思っています。つまり、誰かが嫌な思いをしないようにするために、決まりを作ろうって話です。

「SNSに本の表紙をアップした時、誰が嬉しくで誰が悲しいのか」を考えた時、著者も出版社もたくさんの人に目にしてもらったほうが嬉しくないでしょうか。そもそもきちんとお金にならないと創作活動が続けられない。娯楽が多様化した現代において、きちんと創作物にかかったコストを回収することは極めて重要なことになります。それを考えると、読者が次の読者を生んでくれるときに使うのなら、一概に「表紙をSNSに載せるのは違法」と片付けるのはとても勿体無いことじゃないでしょうか。

悲しい方の視点でも考えてみます。著作権は「文化の発展に寄与する」という趣旨で、つまりは「ある人の創作を勝手に売ることができると、創作者に経済的なリターンがなくなる可能性があり、創作者は生活に困ってしまう。リターンがない仕事に誰も就けないので、創作者人口が減ってしまい、文化が失われていく」という話です。

そこから考えると、果たして本当に「SNSに本の表紙をアップしたら違法」は目的と合うのでしょうか...?

インターネットのなかった、SNSのなかった時代に決まったルールを今も「ルールだから」と適用すると本来受けられるべき恩恵までがなくなってしまいます。今の時代は、「本が売れないと創作者人口が減ってしまい、文化が失われる」方向に進んでいるように感じます。

作家さんは、出版社の方は教えてほしい

もしも作家さんや出版社、著作権をお持ちの方で「表紙の写真をSNSにあげてもいいよ」という方は積極的に教えて頂きたいと思いました。

私も、実際に加工してアップした小説に作家さんから直接いいねをもらった時、安心したのを記憶しています。(もちろん作家さん=著作権所持者とも限りませんが)

第三者は宣伝を宣伝でなくす力を持っています。本人が言うと宣伝でも、第三者が言うと感想になるのです。

本や創作の世界をみんなで守る

私たちは楽しい読書時間や為になる知識や感動する瞬間、素敵な追体験ができるのは創作をしている人たちのおかげです。でも、今、その創作で食べていけない人が増えています。(世の中の仕組みは変わって来ているし、娯楽は増えたし、例え素敵な創作ができても、それをうまくマーケティングに乗せられていない人もいる)

私はこれからも多くの人の創作に触れて行きたいし、本を手に取りたい。お金がそこまでない学生の時はBOOK OFFや古本屋さんにたくさんお世話になったけれど、社会人になった今はなるべく印税が創作者に戻るような買い方をしています。

みんながみんな、たくさんはかけられないだろうけど、本ってめちゃくちゃ安い投資だし娯楽だと思うので、「これいいよ」って本の表紙をSNSで見せることを違法と言わない日がくれば良いと、個人的に思っています。

最後に

色々問題はあるんだと思うのも重々承知です。いろんな考えの方の人がいるでしょうし、物事は良い面と悪い面は必ずあるはずなので、正解はないと思います。そんな中で偉そうに色々書いてすみません。ですが、多分、今後、この本の世界を救う比率はきっと「個人の伝える力」が増えてきます。だから、どうか、これが違法と言われることが無くなることを私は願っています。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。乱文失礼しました。

2024年4月追記

このnoteを書いてから少し歳月が経ちましたが、願っていた時代が来そうです。私は今も、本や読書が大好きです。

版元ドットコムとopenBDプロジェクト(版元ドットコム、カーリル)は、版元ドットコム会員以外の出版社に、書誌・書影の読者など第三者への利用承諾をお願いしている。このほど、版元ドットコムサイトで承諾申込受付ページを公開した。
同サイトでは昨年8月から、書籍の紹介ページに当該書籍の書誌・書影情報の読者などによる利用が可能か否かを表示している。版元ドットコム会員社と利用承諾のあった出版社の書誌・書影には「利用可」と表示し、それ以外の出版社については版元ドットコムで諾否できないとして「利用不可」と表示している。
ここで利用を承諾する「読者など」とは、同サイトによると「読者個人/著者/書店(員)/図書館/本をめぐるサービス開発者」。本の紹介や感想がホームページやブログ、SNSなどでしばしば発信される昨今、書誌・書影がそこに含まれることによって、より多くの人に、より深く当該書籍を知ってもらえるようにしたいとの考え。

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