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ICT化、DX化に対応できる組織作りの重要性


▷登場人物のご紹介

◎語り手
お名前と役職:
園田 希和子 様(理事長)
村脇 正啓 様(総務部長)

◎聞き手
名前:中浜 崇之(なかはまたかゆき)
ものさしを合わせる介護福祉士として特養やデイサービスで現場職や管理者として勤務。『自分らしく死ねる社会を創る』をコンセプトにテレビ東京『TOKYOガルリ』やTBS『好きか嫌いか言う時間』への出演や『週刊東洋経済』や『夢を育てるみんなの仕事300』(講談社)に取材記事が掲載されるなど、介護福祉についてポジティブな視点で発信している。

インタビュー時のお二人

▶︎記事の要約

旭生会では他施設の見学等を行いながらICT化、DX化を進めようとしていたが、オーガナイザーが必要だと考えほむさぽを導入。法人内の組織改革を行いつつ、ほむさぽからは客観的な意見をもらえることで、様々な選択肢を視野に入れる事ができるようになった。また、ヘルプデスクサービスによって職員が仕事に向き合う時間を作れるようになり、外部の専門職に依頼する事が組織内の良好な人間関係に寄与していると考えている。



ICT化、DX化におけるオーガナイザーの必要性

中浜(以下、中):
今日はよろしくお願い致します。
ほむさぽを導入して1年ほどとのことで、導入の経緯やどのようにICT化、DX化に対応しているか等をお聞きできればと思います。

園田(以下、園):
村脇(以下、村):
よろしくお願いします。

中:
まずは、ほむさぽ導入前についてお聞きしたいのですが、施設としてICT化、DX化はある程度すすめていたのでしょうか?

村:
法人全体でいえば、どちらかというと遅れている方だと思います。唯一3年前に作ったグループホームではIT機器の導入を行ったのですが、特養などは開設から30年近くになるので、今年Wi-Fiの整備をやろうという段階ですね。

日常のご様子

中:
そんな中、ほむさぽを導入する事になったきっかけはあるのでしょうか?

園:
ほむさぽさんと契約する前は、総務にいたパソコン等IT機器の取り扱いに関して詳しい職員に聞いていたのですが、その職員が異動で総務からいなくなってしまったことがきっかけでした。


IT機器関係の困りごとで頼れる人がいなくなってしまったのですね。

園:
そもそも詳しい職員がいるいないに関わらず、IT機器関係の困りごとを職員に尋ねるという事は、その人の業務を止めてしまうという事なので対策が必要だと考えていました。また、部分部分でソフトやIT機器の業者は入っていましたが、「全体」を俯瞰した上で、最も弊社に相応しい「部分」のカスタマイズをするという視点視座でアドバイスをして頂けているわけではないと感じ、ICT化、DX化におけるオーガナイザーの必要性を強く感じていたという点もほむさぽさんを導入する理由でした。

村:
また、ICT化、DX化に向けてここ7〜8年でいろんな法人に何度も見学に行かせていただいて、うちの法人に合う形を模索していました。ですが、そうやって見学に行っている間にも最新の製品が出てきてしまう上に、ICT化、DX化の経験がほとんどない私たちが考えるには限界があると感じていました。そこで、経験値を含めてアドバイスをいただける人を探している際に、理事長の繋がりでほむさぽさんに出会ったという流れもあります。

中:
ほむさぽを初めて知った際の印象はいかがでしたか?

村:
コンサル的な立ち位置になるという事もあり、初めて会った際は斜めから見ていたところもありました。ですが、お話してく中でこちらの考えに寄り添いつつ支援していただけそうだと感じたことに加え、今後のICT化、DX化の全体像を描く際に様々な経験のもとにアドバイスいただけるということがすごくありがたいと思いました。
また、経営層のオーガナイザーとしての支援だけでなく、ヘルプデスクという現場も助かるサービスがあるという事も、導入を決める理由の1つでした。

展示会に参加し自法人に必要なサービスなどを探しに出かけた際

生産性向上委員会の立ち上げ

中:
ほむさぽ導入後は、どのように話を進めていったのでしょうか?

村:
最初は私と理事長、そしてほむさぽのスタッフさんで数か月話し合いを重ねていました。その中で、介護報酬改定によって生産性向上推進体制加算が新設されるという話があり、組織としての課題ともマッチしていたため、早めに生産性向上委員会を立ち上げて委員会としてやっていこうという流れになりました。

中:
委員会の立ち上げはどのように行われたのでしょうか?

村:
もともと、何かを始める際にはプロジェクトチームをよく組んでいたため、先ほどの加算にも沿いつつ実際に話を進めていけるよう、特養の従来型とユニット型を統括する責任者1名、そしてそれぞれの現場に入っている介護職員を1名ずつで計2名、グループホームの現場に入っている介護職員を1名、そして私という計5名をコアメンバーとして生産性向上委員会を立ち上げました。
法人としての全体図を認識してもらいつつ、自分の部署に戻った際にはコーディネーターとして動いてもらえるようメンバーを育てる場にもなっています。

中:
責任者ではなく、現場の介護職員の方がコーディネーターになるんですね。

村:
そうですね。一応理事長も含め、各部署の役職者がオブザーバーとして会議へは自由に参加してもらっており、メンバーがした提案に関しては責任を持ってフォローするようにと伝えています。


委員会の様子

中:
委員会では現在どのような活動をしているのでしょうか?

村:
どういうところを解決していきたいのか、解決のためにどんなツールがあるのかを、ビーブリッドのスタッフさんにも入ってもらって考えていっているというところですね。先日東京で行われたケアテックスでも、実際に見たい機器をあらかじめ伝えて委員会のメンバーと一緒に回っていただいたりもしました。

中:
委員会としてはどのくらいの頻度で会議をしていますか?

村:
2週間に1回のペースで会議を組んでいます。またこの委員会を機に、現場の職員が認識する機会が少ないICT導入のための補助金等もすべて見せようと思っています。そのため、補助金を利用して今年はWi-Fiの整備を行い、様々な機器を見て選定し、来年度には大規模修繕に伴うICT導入を行って第1 フェーズを終わらせるよう整備をすすめるという、先を見越した計画についてもしっかりと話をしています。

中:
その会議にはほむさぽも入っているのでしょうか?

村:
入ってもらっています。他にも補助金等の使い方に関してなど不定期でアドバイスをいただくこともあります。会議以外でもイレギュラーで迷った際はご相談させていただいていますね。

中:
ICT化・DX化の話し合いに、ほむさぽが入ったことによってどのような変化がありましたか?

村:
私は、ICT化、DX化が進んでいる事業所に見学に行くと、そこのシステムや機器、ソフトが良いと感じ、選択肢が絞られてしまいがちでした。そのため1台のスマートフォンで全て完結する方が良いと考えていたのですが、ナースコールとインカムが同時に鳴った場合スマートフォンがどちらを拾ってくれるか分からないため、インカムは外出しするという選択肢をほむさぽさんが提示してくれたんです。そのように自分の知らない選択肢をあげてくれるというのがとてもありがたいですし、どの選択肢でもメリット・デメリットの双方を教えてくれるため、とても選定の参考になります。

園:
知識と情報量がオーガナイザーのすごく大事な所だと思うのですが、横で彼の動きを見ている限り、安心してお任せできるなと感じています。信頼の上で、様々なご相談ができる存在がいてくださることはやはりありがたいですね。


活用している機器
活用しているご様子

組織の改革

中:
少しお話戻りますが、生産性向上委員会を立ち上げる際に組織としての課題ともマッチしていたとおっしゃっていましたが、どのような組織的な課題があったのでしょうか?

村:
特別養護老人ホームの方が少し行き詰まっていて、離職者も多くなっていたというのが課題でした。そのような組織でICT化をすすめてもうまくいかないと思うので、生産性向上委員会を立ち上げたタイミングで、組織の再編やICT導入以外で行える生産性向上等も行っていく事にしました。

中:
組織の再編となると法人自体が大きく変わると思うのですが、変わることに怖さや負担に感じる部分は無かったのでしょうか?

村:
理事長がこの法人に来て15年程なのですが、15年間でこまめにリニューアルはしているので、他の施設よりは怖さをあまり感じないですね。

園:
皆さんは、変わるという事自体に怖さを感じているようですね。ですが、私は「これからは変化の時代になるため、法人もどんどん変えていこう」と腹をくくって来たんです。そのため、変わるのが当たり前の組織風土になっているとともに、新しい事に対して「できない」ではなく「するため方策を考える」人たちが今育っていると思っています。

中:
組織の再編とICT化、DX化はどのように影響しあうと考えますか?

園:
ICT化、DX化をしっかりとすすめていくには、組織自体がしっかりしていないといけないと考えています。逆に言うとICT化、DX化が組織の再構築に貢献しているという事になると思います。

村:
実は生産性向上委員会でも「ICT化やDX化を進め生産性を高めること」が目的なのではなく、「それによって何を成したいのか」という話をしています。その中で成したい事は「介護の質を高める事」であり、弊社における「介護の質」とは何なのかという話を各事業所でしていこうという段階になっています。

中:
手段と目的を明確にしているんですね。

村:
そうですね。今月ちょうどキックオフとしてグループホームで、「介護の質をあげるとはどういうことなのか?」「どのような時に介護をするのが楽しいのか?」等を付箋に書いてもらい、そのような時間を増やすためにICT化、DX化を進めようと話す場を作りました。この場は順次別の事業所でも行っていく予定でして、その目的をしっかりと持ったうえで、ほむさぽさんのような専門家に目的も理解していただきながら伴走していただけるので、ご縁があってよかったなと思っています。

中:
園田さんは理事長として、目指す組織の具体的なイメージはあるのでしょうか?

園:
それこそ、ICT機器を導入した際に組織の末端まで使いこなせているという状況が良いと考えていて、漫然と使うだけではなく、日常の支援に滞りを出さずにプロセスやデータを積み重ねながら使いこなしていくというのは、高い能力が必要だと思うんです。そのようにエビデンスを持った科学的な頭脳の介護を行うためには、人間関係やコミュニケーションから生まれる信頼関係が土台として重要でもあるので、ICT機器を意識的に使いこなせている組織というのは、1つの目指している組織ではあります。

中:
介護の仕事をしていると専門知識や技術を身に着ける機会はありますが、組織として人間力を育て強くしていくというお話なのかなと聞いていて思いましたが、いかがでしょうか?

園:
そうですね。幹部会でも、スキルはもちろん大事だけれど最後は人間力になってくるという話はよくしています。弊社では人間力と仕事力50/50で人事考課がされるようにしていて、人間力に大きな意味と価値があると考え、それを育てるためにはどうしたらいいか常に考えている法人だと思っています。

仕組みを組織で作り上げている

ヘルプデスクの利便性

中:
コンサル以外で利用しているサービスはありますか?

村:
ヘルプデスクは特に現場の職員が頻繁に使用していると思います。ヘルプデスク導入前、ICT機器についての相談は本部の事務職員が電話で対応しており「パソコンが立ち上がらない」や「何かおかしい」という相談まで受けていました。電話でのやりとりはどうしても時間がかかってしまうため、短くても10分〜15分、長くて1時間くらい対応しなければならないという事もありました。

中:
事務職員の方も自身の業務がある中で1時間対応するのは、なかなか大変ですね。

村:
事務職は収入を生む部門ではないですが、職員の働きをお金に変えて働きがいを作る部署であると考えています。その事務の仕事をなるべく効率化して最小人数でやろうとした時に、事務職員でなくても対応できる仕事は結構あるなと感じていました。それがヘルプデスクを使用することで「ほむさぽに聞いてみて」と言えるようになり、事務職としてはとても助かっています。

中:
体感的にどの程度事務職員の方への問い合わせが減ったと思いますか?

村:
そこまでICT機器やソフトを導入している方ではないと思うのですが、以前は2日に1回ぐらいは相談が来ていたという感覚でした。それが現在は1週間に1回あるかないかになっていると思います。また、現場にいるパソコンに詳しい職員への相談も激減しているようです。

中:
ほむさぽのヘルプデスク導入当初、現場の職員の方々は外部に電話する事への抵抗感は無かったのでしょうか?

村:
私たちの法人の職員は意外と抵抗無く使用してくれるんですよね。

園:
先ほども話をしましたが、組織としての土台を大切にしたからこそ、そういう新しいシステムに抵抗なく取り組める職員が育ったのだと思っています。

村:
これまで職員としては問題が機械なのかソフトなのか、どこにあるのかがわからない為、業者へ電話がかけづらかったのだと思います。その点、ほむさぽのヘルプデスクは職員への説明が簡単で「機械やソフト関係の事で困ったら電話してみて」と言うだけでいいんですね。ヘルプデスクを使用することで、本部の事務職員に電話するよりも早く解決するはずですし、職員としても早く解決すれば早く帰れるというメリットもありますし、そういうのも含めて初めて導入するものに関して、簡単に説明でき、メリットを提示できるという点はとても重要だと思います。

中:
確かに説明がしやすいという事は、理解しやすいという事でもあるでしょうし、職員の方が自身の仕事に向き合う時間も増えますね。

村:
そうなんです。本当に私としては助かっていて、ヘルプデスクにお任せできた時間で新規事業のことを考えられますし、悩んでいる職員の面談に入れるんですよね。そういう意味では、ヘルプデスクだけで対価は返ってきていると思っています。

いつでも相談できるように

専門職が外部にいる重要性

中:
外部の専門職と手を組むという事は、今後重要になってくると思われますか?

園:
非常に大事です。ほむさぽさんのスタッフの中に、施設長など介護現場で様々な立場や経験を積まれた専門職の方が居る、という安心感はとても大きいです。介護に関する制度や介護自体にも精通されている上でのICT化やDX化に関して話ができる事がとても信頼に繋がっています。

村:ヘルプデスクにしてもコンサルにしても、外部にお願いできるというのはすごく大事な事だと思います。ヘルプデスクに関しては、例えばIT機器関係で困ったことがあって詳しい職員に聞いた場合、お互いの忙しさや精神状態によっては、人間関係に悪い影響を与えることがあると思うのですが、相談相手が外部の方になれば専門職という事もあり丁寧に対応していただけるため、組織内の人間関係に影響しないというメリットがあります。

中:
コンサルに関しては、外部にお願いする事でどのようなメリットがあるのでしょうか?

村:
まずICT化やDX化を進めるにあたって、どうしても理事長へ提案する人物というのは限られてしまいがちになります。理事長自身も詳しいわけではないため、その提案がどの程度信頼できるものなのかがわかりづらいのではと思います。そんな中、どんな職員よりもはるかに経験があり、組織内の人間関係や役職等に左右されない外部の方に相談できるというのは、大きなメリットだと思います。

園:
どこの施設も多かれ少なかれそういう場面はあると思います。職員が一生懸命提案してくれているというのはわかるのですが、私たちの時代になかった物ばかりなので何が正しくて何が間違いなのか、どちらがいいのか等わからないというのが正直な所です。だからこそ外部に情報と知識と技術を持っている専門の方がいてくれるというのは、経営者にとっては本当に心強いです。

村:
逆に提案した職員側からすると、外部の専門職の方の意見によって自分の提案の信憑性が増す事になるので、新たに信頼を得られるというメリットもありますね。

中:
外部の専門職と手を組むことは、組織内の良好な人間関係に寄与しているという事なのですね。今日はお時間いただきまして誠にありがとうございました。

インタビュー時も一緒にいてくれた施設のアイドル

◾️聞き手、中浜のあとがき

どのような組織であれば、理事長が掲げていらっしゃる理念や目的が実現可能なのか、丁寧に職員さんたちに発信し、同じ方向性を持ってサービスを提供していることがインタビューを通して感じられました。
お客様にとってより良いサービス提供のための手段としてのICT化ではあるが、その過程における職場環境づくりの重要性を学ぶことができました。
一朝一夕にできるものではない事は承知の上で、職員にもお客様にも喜ばれる事業運営を行う視点や行動力は、真似させていただきたいと感じるポイントでした。

社会福祉法人 旭生会 ウェブサイト
http://www.asahigaokaen.com/


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