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CL決勝からフットボール21-22シーズン総括

2022年5月29日 CL決勝から、21-22シーズンの欧州フットボールについて振り返る。
同日行われたチャンピオンズリーグ決勝は、レアルマドリード対リバプールの顔合わせとなった。試合は前半リバプールがレアルマドリードを押し込む展開になったが、後半にレアルマドリードは、バルベルデのクロスにビニシウスが合わせる。これが決勝点となり1-0でレアルマドリードが優勝を果たした。

・21-22シーズンの総括

今シーズンは国内リーグでは序盤クーマンバルサの成績不振、メッシのPSG移籍など、クレにとっては苦難のシーズンとなった。一方で、プレミアリーグでは、C.ロナウドが復帰するなど、大胆な補強を行ったマンチェスターユナイテッドだったが、結果的にはCL出場権外でのシーズンフィニッシュとなった。また、リバプールとマンチェスターシティはかなりハイレベルなフットボールを繰り広げていた印象を持った。

・グアルディオラとクロップ

近代フットボールの戦術トレンドとして、ポジショナルプレーが挙げられる。その体現者がマンチェスターシティを率いるペップ・グアルディオラ氏だ。
一方、ポジショナルプレーに対抗するために編み出されたカウンタープレスを敢行するのは、リバプールの知将、ユルゲン・クロップ氏である。
この2チームは当初こそ、対照的なチームだったが、シーズンを重ねるにつれて、マンチェスターシティがハイプレスを繰り出したり、リバプールがチアゴ・アルカンタラを迎え入れ、中盤でのポゼッション指向を高めるなどシティのリバプール化・リバプールのシティ化が進んでいる。

・そしてアンチェロッティ

そんなフットボール界隈で独自路線を貫くのが、カルロ・アンチェロッティ率いるレアルマドリードである。
彼らは、CLの決勝・準決勝でリバプール・マンチェスターシティをそれぞれ下している。
しかしその内容はハチャメチャである。
どちらの試合も、ひいき目なしで見れば、レアルマドリードは劣勢だった。しかし、試合が終わった時に勝っているのはなぜかレアルマドリードなのだ。
特に準決勝のシティ戦では、1stレグ4-3とシティに1点リードを許す。さらに2ndレグでは後半73分にシティに先制され、トータルで2点差をつけられるものの、アディショナルタイムに途中出場のロドリゴ、エースベンゼマで3点を取り逆転するなどという、スリリングでドラマチックな試合を演じている。

・マドリー主義と追随勢力

そんなレアルマドリードの謎の強さを人々はマドリー主義と形容する。その正体は誰にも説明できないが、戦術的側面から見れば、グアルディオラにもクロップにもない独自の考え方が存在している。
アンチェロッティはグアルディオラのように選手を故意にピッチに配置しようとしないし、組織的なプレスの指示も見て取れない。しかしその代わりに選手各々が局面に応じた最適解を常に出し続けている。またキーパー、クルトワのセーブとFW陣の勝負強さは異常ともいえるほどで、「ゴールを守る&ゴールをとる」というサッカーの最も根源的な能力に長けている選手がそろっているという強さがある。
マドリー主義について、それだけは説明できるが、それ以上の説明はできない。

同じような視点から第2のレアルマドリードになりうるのは先日ムバッペと契約更新したPSG(パリ・サンジェルマン)であろう。カタール政府の肝いりで莫大なオイルマネーを背景に補強を重ね、新たなギャラクティコ(銀河系軍団)になろうとしている。
ただし、PSGがレアルマドリードになるには、決定的に歴史が足りていないのではないかと思う。今後PSGがどう歴史を重ねていくか楽しみだ。

そして、おめでとう!マドリード!

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