【ありがとうタイムズマート】武田店長インタビュー[その3]

※本記事初出:2020年9月

<注>本記事は『聖地らぼらとり』旧サイトからの移植記事です。以下の内容は、すべて2020年9月時点の情報に基づいています。


癒やしの場であるタイムズマート

ーーこれまでタイムズマートを長く経営されてきて、思い出や印象に残っていることはありますか?

店長:
タイムズマートを訪れるアニメファンには色々な方がいて、中には日々大変な思いをされていて、つらい気持ちを少しでも癒やそうと思ってお越しになる方もいらっしゃいます。そのような方々はそれぞれ悩みをお持ちで、ご自身の悩みについて自らお話してくださる方もいらっしゃいますから、そのような時には積極的にコミュニケーションを取るようにしています。私は、『ヤマノススメ』が飯能にやってきて以来、ファンの方々とお話を続けてきましたが、このアニメは、そういった大変な状況に置かれている人々の存在についても教えてくれたのです。

「人生は長さより幅」という生き方

店長:
先ほどお話した「損得より善悪」(→参考記事)と並んで、私の生き方を表す言葉がもうひとつあります。「人生は長さより幅」です。人生どんなに長くても、人間として楽しく生きていられるのは80年、長くて90年くらいだと思いますが、一方で、人生には幅という考え方があって、たとえば、テレビのチャンネルを回して、「あ、これも面白い」「あれも面白い」というように、どんなものでも面白いと見られるような人は、それは何に対してでも興味があるということで、人生の幅がすごく広いのだと思います。幅が広ければ、同じ80年を生きるにしても、人生が豊かになるじゃないですか。私も、本来興味の無かったものに対してなるべく興味を持つような生き方を一生懸命していますし、そこに加えて器用貧乏ときているので、独学でPhotoshopやIllustratorなどの使い方を覚えて、グッズやPOPを自前で作ってみたりもしていました。いざ作り始めると面白いものですよ。

幅を広く持っていると、つらそうな人生を過ごしている人を見て、「この人は大変だなぁ」という感情が生まれてくるわけです。自分が良ければそれで良いんだ、という考えの人もいるかもしれませんが、私は、人を蹴落としてでも自分が良い思いをしようとは思えないのです。一方で、だから商売がうまくいかないという一面もあります。昔は競争をすれば何でも一番でなければ嫌だったのですけれどもね。

お仕事中の武田店長

「病は気から」

ーー他にもこれまでの思い出などがあればお聞かせください。

店長:
これについては良い面と悪い面とがありますが、先ほどのこだわりの話とも通じることとして、私は「病は気から」と思ってずっとお店をやってきました。私は現在眠れない状態が続いているのですが、もし「病は気から」という考えを持っていなかったとしたら、いま自分の置かれているこの状況を前にして、精神的にどうにかなってしまっていたかもしれません。それを「病は気から」と言い聞かせ、痛いものも「痛くない痛くない」と思って、本当に痛くなくしてしまう、そのようにやってきました。

ーータイムズマートはここ数年ずっと無休で営業されていますよね。(新谷注:インタビュー実施時点(2019年12月))

店長:
冗談抜きでこの8年間、完全に休んだ日は10日も無いかもしれません。もうそれが普通になってしまっているのです。その根本には、経済的に厳しく、一日も休めないという思いがあるのです。