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犬は逃げ 私は家を追い出された ~ここから向かう夢の二拠点生活へ~

2024年7月 
「秩父への移住」を現実的に考えなければいけない出来事が起きた。


事の始まりは、我が家に来たばかりの元保護犬が散歩中にパニックを起こし、首輪が抜けて逃げ出してしまったことだった。

そこから大勢のボランティアさん達の協力を得て昼夜問わずの大捜索が始まった。


愛犬はどこかで怯えているのではないか?
炎天下で飲食も出来ずに熱中症になっていないか?
我が家で引き取らなければ、こんなことにならなかったのでは?

不安や後悔、自責の念に押しつぶされそうになる。

さらに、大勢のボランティアさん達が一生懸命に動いてくれている。
感謝の気持ちと同時に、申し訳なくて 申し訳なくて 心苦しい…

それだけでも辛い出来事だったのだが、それだけでは終わらなかった…

詳細は省くけれど、心のバランスを崩していたのは私だけではなくて夫も酷い精神状態に陥っていた。

そんな中でお互いの意見の相違から激怒する夫。
あれよあれよと話し合いは最悪の展開に…

「離婚も考えている」と告げられ、私は着の身着のまま家を追い出され実家に身を寄せることになった。

「そんなことで離婚になるなんて…」と信じられない様子の母。
そりゃそうだ、誰が聞いても同じような反応をするだろうと思う。

犬が原因の離婚なんてあまり耳にすることはないからね…

愛犬が逃げ出してから家を追い出されるまでの3日間は、まるで激流に飲み込まれたかのようだった。
気が付けば遠くまで流され、それはまるで現実から切り離された別次元の世界にでも漂着してしまったかのような気分だ。

そして、恥ずかしいことに、この時の私の通帳残高は10万円ほど…
しかも無職…失業保険の待期期間中…

自宅から1時間ほど離れた実家は狭い借家で、私が出戻る部屋の余裕もない…

「どうなる~Tomomi!!!」


犬、仕事、住まいを同時に探さなくてはいけない、この窮地。


だけど、不思議とこの先の展開にワクワクしている自分もいた。

「どうにかなる!」

漠然とそう思えた。

そして
   考える
     「今、私は何をするべきか?」

第一は愛犬の捜索活動のポスティング!
その先に思考を巡らせる。

「愛犬が戻ってきても住まいがなければ引き取れない!」

そうだ。そうだ。家を探さにゃならない。

とはいえ、無職の貯金なし子…
加えて…47歳

これまたお恥ずかしいことに
…正社員経験ほぼほぼなし…

絶望的?
いやいや、そうでもないのです。

「人手不足だし、選ばなければ仕事はあるっしょ」
それくらい楽観的に捉えていた。

ただ、いくら働かなければいけないとはいえ
犬との時間が犠牲になるほど働きずめはイヤだ。

ならば家賃という固定費を抑えるしかない!

高齢の両親のことも考えると、実家から車で2時間圏内。
その範囲で家賃3万円で検索をする。
いくつかヒットした中で気になったのが

2.5万円 秩父の一軒家!

物件の写真は掲載されていたなかったのは気になったけど…
「民泊として利用するのもおススメ!」
 「こだわりのインテリア」
  「ガレージ・アトリエ倉庫付き」

紹介文を信じてみようと翌日には内覧に!

不動産屋さんに教えてもらった住所に到着して気がつく。
物件の外観を知らないことに…

到着した目的地は、広い庭の奥に佇む大きな古民家が!
古民家住まいに憧れがある私の心から夢が溢れ出る。

ここで民泊も出来たら素敵すぎる!
  縁側の前に芝生のドックラン
   楽しそうにはしゃぐ愛犬を眺め
     縁側でお茶を飲む

最高の未来しか思い浮かばない!!

ん?

いや、ちょっと待って…窓開いてるし
何やら住人のいる気配がする…

玄関先で呼び声をあげると、奥からお婆さんが現れた。
立ち話をするうちに分かったことは
この家は私の探している物件ではないこと。
お婆さんは1人暮らしをしている。
広い庭と家の管理は大変で引っ越したいが、周辺に空き家がない。
もし他に空き家があるなら情報を教えて欲しいと頼まれた。

その場で不動産屋さんに連絡をし、物件の外観写真を送ってもらう。

届いたメールの添付写真を開く…

淡い期待を抱いていた私の心はグワシャと瞬殺された…

しかし、あきらめの悪い私は
「この写真は改装前なのかもしれない」
そう自分に言い聞かせ改めて現場に向かう。


写真と寸分たがわぬ物件が待ち構えていた。

家の周りに大量に散乱している空き缶やらスプレー缶
写真を撮った瞬間から1ミリも動かされた形跡もない。

しかし、あきらめの悪い私は
「家の中は綺麗に改装されているのかもしれない」
そう自分に言い聞かせ改めて玄関の引き戸を開けようとした。
(玄関=工事現場にある仮の事務所の扉。上半分が曇りガラスで下半分が鉄板みたいのがはまっている)


・・・

   鍵かかってるんですけど (´;ω;`)

                   ・・・

再度、不動産屋に電話。
鍵を管理している人は連絡のつかない時間なので、私がどうにかするしかないと…
勝手口とか窓とか、どこか開いてるところを見つけて入れと…

行くしかないでしょ!
ここまで来て中を見ずに諦められない!!

恐る恐る腰高まで生い茂った雑草をかき分けながら
横向きでようやく通れるほどの細い通路を進む
蜘蛛の巣に絡まりながら、やっとの思いで家の裏手に辿り着く。

紹介されていた
「ガレージ・アトリエ倉庫」と思われる場所に辿り着き
勝手口のドアノブを回す…
防犯対策万全だ…

フッ、まぁいいだろう。
予想内の展開だ。
勝手口のドアのガラス部分から中を覗く。

この家は嫌な予感を裏切らない…

「こだわりのインテリア」
           「こだわりのインテリア」
  「こだわりのインテリア」

     どこ? (+_+)?

…不動産屋よ、紹介文を即刻書き替えるべきだよ…


意気消沈して車に乗り込もうとした瞬間、閃いた。

さっきのお婆さんに挨拶をして帰ろう!

本日、二度目の訪問。
「あら、どうだったの?」と温かく向かい入れてくれた。

話をしていると、お婆さんが昔、家を探していた時に近くの地域の山間部に空き家があったとの情報をゲット!

お土産にもらったウチワを片手に意気揚々と車に乗り込む。
「こうなったらトコトン行けるとこまで行きましょう!」
西を目指して車を発進させる。

10分ほど車を走らせると、お婆さんが教えてくれた地域に辿り着く。

・・・
やって来たはいいけれど、この先どこに向かえばいいのか分からない…
なんせ行き当たりばったりの旅だから・・・

しかし、どうにかなるのが人生。

昼食に寄った蕎麦屋で会計の時に何気なく空き家情報を尋ねてみると
従業員の皆さんが本当に親身になって聞いてくれて
「商工会の人なら何か情報を持っているかも!」
と店主さんから商工会の場所と担当の方を教えてくれるミラクルが!

そして、教えてもらった商工会に到着。
するとなんと、蕎麦屋の店主さんが連絡を入れてくれていたのですよ!
(さらに感動!)

商工会の方も本当に親切に色々と相談に乗ってくれて
組合員の方々に空き家がないか情報を流してくださることに!!

人間って優しい。
秩父の人って優しい。
漆黒に染まった私の心が優しさで癒されていく ( ;∀;)

この日は、さらに商工会の方にもう1か所紹介してもらった場所を訪ね
私の住まい探しの旅を終え帰宅しました。



ここからは後日談

猛省していると夫からの謝罪メールをきっかけに
離婚の危機は回避され、愛犬も無事に保護され
ようやく平和な日常を取り戻した我が家。

だけど
私の心はウズウズと訴えかけてくる。

秩父に住みたい!
自然に囲まれた眺望のいい場所で生活をしたい!
出来るなら民泊も経営してみたい!

この望みを打ち消すなんてできない!!

それにこの先、今回と同じように突然追い出されることが起きたら…
両親が亡くなっていたら…
本当に路頭に迷う…

そう考えると、自分の居場所も欲しい。
もちろんその為には自分で物件の費用は支払う覚悟!
 …賃貸でね

   …予算は3万円くらいかな

          …無職だけどね

まぁ、そんなことは置いといて…

私の気持ちと望みをドキドキしながら夫に伝える。
「いいんじゃない」
意外にもあっさり承諾してもらえることに!

リタイア後の移住は視野に入れていたけれど、まさかこんなに早く動き始めるなんて。
人生なにがきっかけで動き出すか分からない。

これが私たちが二拠点生活に向けて動き出したきっかけの話。


ご縁をいただいた商工会の方とも繋がりを持ちつつ。
自分たちでも物件探しをスタートさせた今日この頃です!

夢の2拠点生活は果たして叶うのか!?

これからどんな展開が起きるのか!?

せっかくだから記録に残してみようと思います。





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