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「痛くない革靴」を教えてくれた人

初めての経験が尾を引いて、それ全体を「苦手」と思い続けてしまうということはどの分野でもあることです(克服して今は好きですが「日本酒」が僕にとってはそれでした)。

「革靴」もそのうちの一つではないでしょうか。
「慣れないうちは足が痛い」「慣れても足が痛いし疲れる」
こんな感想を持ったことがある方は少なくないはずです。

僕は幸いそれで苦手意識を持つことはありませんでしたが、我慢し続けてきました。
「寺田さん」と会うまでは。

DSCF2270のコピー

彼です。
オーダー靴のブランド『delightful tool』を主宰する靴のスペシャリスト。
僕は寺田さんの靴を「男前なのに痛くない靴」と自分の中で呼んでいます。
もう少し丸っこい形をした『trippen』や『forest shoemaker』のような「歩ける」革靴も愛用しています。

でも、これだけ「いかにも革靴」の見た目で、これだけ「歩ける」靴はdelightful toolが初めてでした。

合同受注会の開催中止

そんな寺田さんのdelightful toolと、4月11日、12日に合同で受注会を開催すべく準備をしてきました。
『開いて、広げて、紐解く』と題した受注会に向けて、自分たちの事をいろんな角度から知ってもらおうと読書感想文を公開する試みをしていました。
実際お会いした時に個人のキャラクターも知ってもらって、少しでも安心してオーダーしていただけるようにとの思いで始めた取り組みです。

しかし、この状況では受注会を中止せざるをえず、じゃあ代わりに何ができるのかを二人で考えてきました。
出た結論はやっぱり「自分たちの今の気持ちと考えを知ってもらう」事でした。

いま伝えたい私のオーダー体験記

対面でのみオーダーをお受けしてきた自分たちにとって、今の状況は本当に考えることが多いです。
オーダーシャツができてもオーダー靴ができないことがあります。寺田さんも悩んでいると思います。
それがなぜなのかを知っていただく意味でも、寺田さんの靴がどうやって作られていくのかをまずは紹介させてください。
ここでは「僕の場合」を書きますので、ぜひ参考にしてください!

1. イメージを伝える
1.と書きましたが、自分がまずできることはこれが全てのような気がします。
いくら普段オーダーを受けている立場でも、革靴に関しては素人です。何がわからないのかわからない。
なので、正直に詳しいことはよくわからないと認めて、寺田さんに導いてもらおうと思いました。

仕事で1日立っていても、膝立ちになって足の甲を曲げてももいいようなもの。なるべくハードな印象になりすぎないもの。カジュアルな感じに。
色は赤茶っぽいのにしようと決めていたので、それを伝えました。
2. 素材を選ぶ
寺田さんは、数ある革の中からそのイメージに合いそうなものを、理由も交えながら提案してくれました。
その中から一番気に入ったものを選び、紐や金具などもアドバイスをもらいながら決めていきます。
あとは靴の底を支えるソール。見た目のイメージだけ伝えて、材質などは完全にお任せしました。

そうして出来上がったのがトップの茶色の革靴です。
かっこいい。
自分としては、靴のコバ(ソールが靴の周りからぐるっとでっぱっている部分)のミシン目を粗めにざっくりとしてもらったのがポイントかなと思っています。
程よくカジュアルな印象がでて、すごく気に入っています。

フィッティングに関しては、足の計測をした数字を基にサンプルの試し履きをして、「これからよく履きそうかどうか」という感覚的なところを基準にどう調整するかを決めてもらいます。
数字も大事ですが、こういう感覚が靴にとっては特に大事なんだな、というのを寺田さんとのやり取りで知りました。
そして、当日は感覚が合った靴も、履き方によっては合わないように感じてしまうことも。

合う靴と、正しい履き方

人間、左右対象にはできていなくて、足のサイズも左右で違う人がほとんどです。
そりゃ履き口にクッションのない革靴は既製品では合いませんね。スニーカーならまだ包み込んでくれるクッションがありますが、革靴はそんな包容力ありません(失礼)。

正しい「履き方」
これを適当にやっているから痛いというケースも実はあります。
かかとをしっかり靴につけて、紐をしっかり結ぶ。靴の中で足が動くと擦れてしまうので、緩みにくいようにしっかり(苦しくない程度に)固定するのがポイントです。

偉そうに説明してますが、全部、寺田さんが教えてくれたことです。

ちなみに、寺田さんは「作り手」ではありません
寺田さんのディレクションのもと、神戸の職人さんが作る靴を、必要としている人に正しく伝える役割を全うされています。

僕はシャツを作るも伝えるもしていますが、こんな伝え手が身近にいたらどんなに心強いだろうと思うことがあります。それだけ寺田さんからは作られている靴への愛を感じますし、多くの方に「合う靴を履いて気持ちよく歩いて欲しい」という思いやりを感じます。それは今のこの状況でも変わらないと思います。

4月11日(土)20:00〜インスタライブします

『会えない時のオーダーメイド/シャツと靴の場合』

本体なら会場で皆さんとお会いするはずだった日に、この状況で二人がどう考えていて、何をしようとしているのかを話します。

話は自ずと「オンラインでできること、できないこと」になると思います。
誰かの役に立つかはわかりませんが、「会えない時のありかた」について考えるきっかけになればいいかなと思います。

ご自宅でゆっくりされている時のお供に、短い時間でもご参加いただけると嬉しいです。ご質問も大歓迎ですので、お気軽にコメントください!

それでは4月11日 20:00にお会いしましょう!

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私のイチオシ

オーダーという業態を選んだ時点で「無駄なものを作らない」が頭にありました。これまでもこれからも、ちゃんと袖を通して着倒してもらえるシャツ作りを続けていきたいと思います。