ヒルナンデス!非公式テーマソングができるまで(5)
音楽面の話。
いわゆる「渋谷系」的なサウンドを作ると決めたわけだが、なんといってもメインテーマは「みんなで笑おう」なので、おしゃれすぎるのもちょっと違う。
渋谷系のコピーではなく、エッセンスを取り入れつつも、あくまで楽しい現代のポップスとして成立させるべきだと考えた。
この辺のバランスはアレンジの腕の見せ所であり、考えていて本当に楽しい。
まず根幹となるドラムとベースだが、これは完全に現代的なロック・ポップスのサウンドにした。
そして、メインのコード楽器にはピアノを選択。
渋谷系はそのルーツの一つに「ネオアコ」と呼ばれるジャンルがあり、ギターをメインに据えることも多いが、ヒルナンデス!らしいキュートさの演出にはピアノが最適と考え、ギター(アコギ)は隠し味程度に留めた。
代わりに渋谷系っぽいおしゃれさを演出しているコード楽器がアコーディオンや、後ろの方で鳴っているハモンド・オルガン。
そしてなんと言っても、カウンター(歌と異なるメロディを演奏する)のトランペットである。渋谷系では非常に多用されている。このカウンターのラインが、我ながら絶品!
そして華やかさをプラスしているのが、鉄琴とチャイム。イントロの入りで鳴る、いわゆる学校のチャイムのメロディ(ウエストミンスター・チャイムと言う)は、「さあ、お昼だよー!」という合図を表現するのにこの上ないと思った。
さらに、要所要所でハープやティンパニなどオーケストラ楽器を加え、豪華さを演出している。
そして、これらをどのように組み立てていくか。
ウキウキ感、ある種のハイテンション感が必要なので、リズム体、特にドラムはフィルインなども含めアグレッシブにしている。またサビの4つ打ちなどは完全に現代のJ-POP的なリズムと言える
(サビのビートは、これまた星野源さんの「GAG」をオマージュしている。星野源さんも洋楽的・都会的なおしゃれ感を纏ったJ-POPなので、参考にさせて頂く部分は多かった)。
その上でどうおしゃれさを感じさせるかと言えば、ハーモニー(コード)を工夫するのが一番。
たとえば、ただのCというコード(ドミソ)に、もうひとつ「シ」の音を重ねてCM7とすると、とたんにすこし憂いを帯びたような、おしゃれな響きになる。
こういう、いわゆるセブンスなどのコードを多用することで、テンション高めのポップスっぽい曲調の中に、都会的でおしゃれなニュアンスを加えることができるのである。
(続きます!)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?