新人シナリオコンクール 佳作受賞作
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2021年 シナリオ作家協会主催
新人シナリオコンクール 佳作受賞作
「かたゆき」のシナリオデータ(最新版)になります。
2時間の映画シナリオとして書き下ろしました。
お時間のあるときにでも読んでいただけましたら幸甚です。
本作の生まれた背景
コロナ禍初年、雪不足だった冬。
目を閉じていたら雪の中を歩く二人の少女が出てきて、本作が生まれました。
時代の節目&人生の節目を迎える人間の姿と、
雪国の生活風景を映像化することを目指しました。
……きっとあの頃、特別ではない、そんな話。
あらすじ
昭和63年の富山の冬。
大学進学を控えた戸川柾は大人びた雰囲気の同級生、西原恵里と急接近する。
周囲に忠告されるが、優等生の殻を脱ぎ捨てたばかりの柾は気にしない。
一方、恵里はアル中の父、均のDVに耐え、売春をして日銭を稼いでいた。
そんなことも露知らず新時代に胸躍らせる柾。
上京前に恵里を訪ねた柾は、酔った均を誤って殺めてしまう。
深夜、二人はかたゆきの上を歩き、山奥へ均を捨てに行く。
ライターからシナリオライターへ
シナリオを書こうと思ったのは
『恋人たち』(橋口亮輔監督)という映画のラストシーンに出てきた
「東京の下町の、水辺から見る青い空」がきっかけでした。
交差する首都高の隙間から見える「青空のショット」に衝撃を受けました。
取材で水路をクルーズしたときに見上げた、自分が知っている画角だったのです。
同じものを見ているはずなのに、感覚が随分と違う。
なぜ、こんなに救われた気持ちになるのだろう。そう思いました。
それは、そこに到達するまでに観てきた人間ドラマが背景にあったから。
それらは全て、脚本に書かれているものです。
人間の感情と行動が積み上がったものが映像になり、誰かの感情を動かすー。
これまで観てきた映画で感じたものと異なる、生々しい何かがありました。
そのタイミングで、以前、子役で出演したことがある映画のシナリオが実家から送られてきたのも自分の背中を押しました。
よし、シナリオというものを書いてみよう!
シナリオ事始め
シナリオを書くためには、新しい外国語を習得するように
普段と異なる脳を動かす必要がありました。
眠っている脳の機能を起こし、無理やり稼働させるイメージです。
しばらく、シナリオセンターで学びながら、取材して記事を書く日々。
インタビュー、紀行文、コラムとジャンルが多岐に渡り、頭の中が大混乱。
ライターで求められるものとシナリオで書くものは、文章の生息域や頭の使い方が違いすぎたようです。
想像していた以上に頭がパニック状態になりました。
やがて、宇宙空間で解き放たれた宇宙飛行士のようにふわふわと脳内を遊泳するようになり、その違いを拒否せずに受け入れるように。
すると、文章以外のことでも、できないことができるようになり、できたことができなくなるという事態に……。
なんと、味覚までも変化しました。
数年かけて、脳のハードディスクが入れ替わった感じです。
これからのこと
これまで関わってきたトラベル、出版関係の仕事を
昨年末にようやく店じまいしました。
現在は映像制作集団gに所属し、
配信、テレビなどの企画に携わる日々を送っています。
私が見た「青い空」を、誰かに届けられますように。
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