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コンテクストデザインの誤読 -手法編-

コンテクストデザインの概論実践について書いてきました。今回はコンテクストデザインとはどうやるのか、手法について書こうと思います。

これはあくまで私の誤読です。きちんと理解したい方はTakram渡邉さんのnoteをご覧ください。

必要なものは補助線

コンテクストデザインで重要になってくるのは補助線です。補助線、コンテクストデザインの特徴である「読み手が書き手になる」(詳しくはこちら)ときに重要な役割を果たします。読み手が書き手になるとはつまり、デザイナーや芸術家ではない非表現者の人が表現者になることを意味します。普段自分から表現をしない人にも、表現をしてもらえるようにするのです。

そのための補助線には、いくつかの性質があります。これらを順をおって説明していきます。

まずは補助線の具体例

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写真は龍安寺の石庭です。龍安寺は意図してコンテクストデザインをしたわけではありませんが、通ずるところがあります。

龍安寺の石庭を見た人は、各々何か感じるでしょう。静けさを感じる人や水を感じる人、歴史を感じる人、はたまた退屈な人。正解はありませんが、それぞれの感情が思い浮かぶ。これこそ非表現者が表現者になるということです。

龍安寺の石庭における補助線とは、石とその配置にあります。もしこれが、石の人物彫刻であれば、石庭ほど様々な想いを馳せることはないでしょう。このように、非表現者が表現者になれる補助線を引くことがコンテクストデザインでは大切になってくるのです。

補助線の引き方

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まずは引き方からです。補助線はあくまで添えるように引きます。弱く引くことで、それぞれの文脈を生み出すことができます。

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一般的なデザインと比較するとわかりやすいと思います。一般的なデザインはプロダクト一つとっても、パッケージ、販売方法、広告など広くデザインすることでプロダクトのブランドを強固にしていきます。デザインのゴールがあって、そこに向かわせるために様々な手を加えてブランドという補助線で囲い込んでいきます。

しかし、コンテクストデザインは違います。あくまで補助線は弱く一時的です。途中からユーザーにプロダクトを放り投げることで、考え方感じかたはユーザーそれぞれになります。

補助線の作り方

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次にその補助線をどう作るかです。補助線を作る上では負の要素が必要になります。

不足・余白・不完全…様々ありますが、これらの要素を作ることで表現者を生み出す補助線を引くことができます。(それぞれの詳しい説明は渡邉さんのへ)

龍安寺の石庭は不足です。何を表すにも石だけでは説明不足です。渡邉さんの作品でいうと、一冊の本を売る森岡書店は不完全ですし、単語が並べられた手紙のFLORIOGRAPHYでは、文章として欠如が生まれています。

これらの負の要素は相互的に作用するので、これはこれとも言い難いのですが、負の要素があることで非表現者が表現者になるための余白が生まれると言えます。

負の要素の使い方

そして、この負の要素には2つの使い方があります。(このパートはサブゼミを踏まえた私の考察です)

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①負の要素があるものを作る
先ほど例に出したように、一冊の本屋、単語だけの手紙など負の要素があるものを作ることで、補助線を引くことができます。

②負の状態になったときに始める
これはサブゼミでした発見です。1人の学生の作品に「さよなら図鑑」というものがありました。これは、ものを捨てる時にそのものとの思い出を図鑑にするというものです。ただ自分の身の回りものの図鑑を作れと言われたら飽きそうですが、「ものを捨てる」という負の状態だからこそ、記録に残したくなる、自分から表現したくなることができるんだと思います。
私が作った宅配ヤギも、「借りパクした」という負の状態から始めるものであります。

補助線の種類

補助線には負の要素が必要なことをお伝えしました。そして、この補助線を引くには大きく2種類あると考えます(こちらもサブゼミを踏まえた私の考察です)

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①表現するハードルが低いもの
非表現者が表現しやすいものは、慣れ親しんでいる「文章を書く」「本を読む」「対話する」などだと思います。FLORIOGRAPHYや森岡書店、私の宅配ヤギもここにあたります。

②日常の行動の延長にあるもの
こちらもサブゼミで発見したものです。1人の学生の作品に、To do listと花瓶をくっつけたものがありました。アイデアはシンプルですが、花を見る流れでTo do listに目が行き、タスクを確認できるという綺麗な流れができている作品でした。To do listは三日坊主で難しくても、花を見る流れでタスクを確認できるというのは、いい補助線が引けていると思います。

また、ユニークなものではトイレットペーパーにショートエッセイが書かれているというものもありました。こちらも、本を読むのは大変でも、トイレの中で、しかも使う分だけの量なら読んでしまうという、日常の行動の延長にある滑らかな補助線だと思います。

非表現者を表現者にするというところで私は頭を悩ませていましたが、簡単なものを作らせるのではなく、行動の延長上で行わせるというのは、今回のサブゼミでの発見でした。

最後に

以上が私なりの補助線の解釈です。重要なことは以下の2つです。

・補助線は添えるだけ→ハードルの低いものor行動の延長
・負の要素を作る→負の要素があるものor負の状態になった時

今回は今までの回に比べてかなり私の誤読が多かったです。この記事を読んで、こう考えた、こうしたらできたなどあればぜひ聞いてみたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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