見出し画像

医療行為は医療機関でなければ行ってはならない。
これは、当たり前すぎて意識していないことではあるが、
医師であれば、なんとなく理解していることである。

なので、医師は、医療機関の外で、医療行為を行おうとはしない。

ただ、医療機関というのはわかりやすいが、医療行為とはなんだろうか?

平成17年7月26日に各都道府県知事宛に医政局長から通知された医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)によると

法律上の解釈としては

医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害 を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

とすると、医療行為の成立要件としては、

医師の医学的判断
医師の医学的技術
人体に危害を及ぼうおそれ

があるものと考えられ、社会通念ともそこまで反しないが、
拡大解釈は可能であるため、医療行為でないと言い切るのが難しい例がいくらかある。

例えば、散髪や爪切りは、医療行為になる可能性はあるが、これは健康な人に行う分には、例外として認められている。

では、相談業務はどうだろうか?医師に相談をしたら、それは、医療面接と見なされ、病院外では行えないのだろうか?

私の常識としてはそんなことはない。もしそうなら、医者は個人的な相談が、全くのれないことになる。

もっと現実的な具体例としては、産業医面談では、企業内で医師が相談業務をおこなっているが、あれは医療行為ではないから、企業内でできていると考えられるし、オンラインで医療者に相談するサービスも最近増えてきているが、あれは医療行為ではないとうたって行われているし、事実そうだろう。

私も、医者が診断や治療を目的に相談に乗れば、それは医療行為になる可能性はあると考えられるが、そもそも診断は医師にしかできない行為であるため、医師自身が診断をしないで相談を行うことは可能であるし、もし診断が必要な場合には、医療機関を紹介することで対処するのが普通であろう。

なので、医師が病院外で相談業務を行うことは、全く問題ないとは思うのだが、お役所に問い合わせれば、医療行為である可能性がないとは言えないという回答にならざるを得ないのもまたわかる話である。

医者が診断や治療が目的としていなければ、相談業務を行ってもそれは医療行為ではないという認識で法律上も問題ない。というのが今の所の結論である。

一方で、その事について、確実に保証しなければならないような事態が生じるならば、産業医や、オンライン相談の例などを提示しつつ、丁寧に確認していく必要がある話ではあると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?