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土作りへのこだわり「AKI農園」

富山県滑川市東福寺で当社の堆肥を使っている ぶどう農家神谷彰宏さんにお話を聞きました。

祖父の後を継いで東福寺でブドウを作って3年が経ちます。畑には木が120本近くあり、シャインマスカットや藤稔などおよそ30種類のブドウを作っています。

うちの農園の近くにはSLで有名な東福寺野自然公園があります。もともとこの一帯は、公園を訪れる人向けの観光農園が7軒あり、多くの人で賑わっていたんです。ですが、時代の流れや生産者の高齢化などを理由に廃業が相次ぎ、今も現役でやっているのは私の農園を含めて2軒のみです(もう1軒はりんご農園をやっておられます)

私はもともと大工だったんです。でも仕事をしているうちに「自分が本当にやりたいことって何だろう?」と考えるようになり、自分を見つめなおそうと各地を転々と旅しました。そこで出会ったのが有機農業でした。九州で無農薬でお茶を生産している方と出会ったんです。話をするうちに「自然と人間が共生できる社会って素敵だな!」と思うようになり、その方の元で有機農業を勉強させてもらいました。

祖父のブドウ畑を引き継ぐという話になった時も、「有機」でブドウを作るというこだわりは譲れませんでした。正直、周りからは無謀と言われました。実際、初めの1年間は病害虫の被害にかなり苦労をしました。いきなり慣行農法から有機農法に切り替えることに無理があったんです。そこで2年目以降は無農薬にこだわるのではなく、じっくりと土作りを行って、病害虫に負けないブドウを作る戦略にチェンジしました。土壌改良効果に優れるバーク堆肥を投入し、微生物が生き生きと躍動する土壌を目指しました。
成果はすぐに実感できました。1年目に苦労した虫の被害は軽減し、葉の色も以前に増して濃く、生き生きとするようになりました。何よりもブドウの甘味がグッと増したんです。とあるプロの方からは、ブドウの産地で有名な山梨のものよりも甘いという評価を頂き、自信になりました。来年はバーク堆肥に加え、カニ殻と魚粉を混ぜたお手製のボカシ肥料も試してみたいと考えています。これによってブドウの甘味が更に増すんじゃないかなと、今からとても楽しみなんです。
私が目指す農業は、自然はもちろん、地域とも共生する農業です。新規のお客さんを求めることも大事ですが、それ以前に、祖父の時代から変わらず買いに来て下さる地元の方々に喜ばれるブドウを作りたい。最後はやっぱり人と人ですからね。人との結びつきを大事に、地域で愛されるブドウ園になりたいですね。

2020年11月16日  
                   「土」づくりマネージャー 立野