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もしも、てるてる坊主をたくさんつくったら、、


私は雨女でした。


何が意気込んだ時はいつも雨。
運動会では半分の確率で中止または延期となり、
修学旅行の滞在中は必ずどこかで雨が降り、
文化祭も雨。友達と買い物に出かけるときも雨。雨。雨。雨。

「他にも雨女もしくは雨男がいるのでは?」


いいえ。
私は転勤族でいろんな小中学校をまわりましたから。。

私がいた時だけ、
ピンポイントで雨が降っていたのです。



それもこれもあの”てるてる坊主”がいけなかったのだと思います。
小学2年生の頃でしょうか 。


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私は友達からてるてる坊主の作り方を教えてもらい、早速、家で作ることにしました。
二枚重ねのティッシュを一枚ずつ剥がして、
片方はくるくるまるめて
丸めた方をもう片方のティッシュで覆います。
そしてて丸いところを持って「くるくるっ」とねじって、輪ゴムで結んで、スカートのような裾を整えます。
最後にサインペンで「へのへのもへじ」の
顔を書けば、ちょっとふてくされた顔の
”てるてる坊主”が完成します。

他の顔も作ってみようと思い、5個くらい作りました。キラキラ目や、ウインク目などのてるてる坊主ができました。
数日後、何か大切な予定があったのですが、
作ったてるてる坊主のおかげで見事に晴れました。雲一つない快晴でとても嬉しかったことを覚えています。


それから、小学生の私はてるてる坊主を増産しました。晴れて欲しいのではなく、ただ単に作りたかったからです。

五十体くらい作ったところで、セロテープで
てるてる坊主同士をくっつけ、窓ガラスに貼り付けます。(もちろん顔は外に向けました)
てるてる坊主たちが青空を見ています。
たくさんのてるてる坊主たちを見て、私は満足しました。


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その年の夏は猛暑になりました。
今日も晴れた、また今日も晴れた。
私は嬉しくて仕方ありません。
夏休み中盤に差し掛かると
ニュースで水不足への懸念が話題となりました。
このニュースを聞いた時、私は心配になるどころか、得意げに、てるてる坊主の力だわ!と喜んでおりました。
このてるてる坊主には不思議な力がある。小さい頃の頭の中はメルヘンでしたから、そのように思ったのです。

ところが、日照りが続いた影響で、物価が高くなり、水不足のニュースばかりとなりました。
ダムの水もあとわずか、毎日暑い日差しがじりじりと照りつけます。



そんなある日、親から「そろそろコレ外していい?」と言われました。
私も流石に効きすぎたと思い、50体ものてるてる坊主たちを外すことにしたのです。


すると、翌日から雨が降りました。


多くの人が安堵し、日照り続きだった田畑に雨が降り注ぎます。
ニュースでは、恵みの雨と言われていました。


そして、この時からです。

私が雨女となったのは。


何をするにも雨。意気込む日には必ず雨が降りました。
それもこれも、
てるてる坊主を作りすぎたからでしょうか。



一方、長い傘をもった時だけ晴れるという不思議なジンクスもつきました。
長い傘を持つと、雨予報だとしてもきれいに晴れるのです。



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最初は違和感をもったものの、
やがて慣れていきました。
そのジンクスゆえに私は一度も傘を開いた経験がありません。
今ではそのジンクスに従い、
本当に晴れてほしいと願う時は、開く予定もない長い傘を持っていきます。




もし、

雲一つない晴天の日に
綺麗な傘を腕にひっかけている人を街中で見かけたならば、、



それは私がもしれません。





※これはフィクションです。