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露(つゆ)


「露(つゆ)」

誰にも言わずにおきましょう

朝のお庭のすみっこで

花がホロリと泣いたこと

もしもうわさが広がって

蜂のお耳へ入ったら

悪いことでもしたように

蜜を返しにいくでしょう




この詩は小学校2年生の時に覚えた詩。
金子みすゞの詩だ。
担任の先生が好きだったため、クラスで何故か暗唱するブームが起きた。
幼い時に覚えた詩は意外と記憶に残るもので、
大人になっても諳んじてスラスラと言える。


大人になって詩の場面を想像すると、
申しわけなさそうに蜜を返すハチの姿ってなんて愛おしいんだろう。
ファンタジーな発想が面白い。


もしかしたら、こんな小さなドラマが
私の周りにも転がっていたりして。


たんぽぽの最後の綿毛が
離れることに怯えていると、
それを聞きつけたあり達が
綿毛に声援を送っていたり・・・


春先に、夏と間違えて出てしまったせみが
寒さに凍えそうになっていると、
不憫に思った風が
雲を吹き飛ばしてあたたかい太陽を出してくれたり・・・

ファンタジーな想像が膨らんでいく。


そういえば、露(つゆ)の詩が好きだった
あの先生は今もご健在だろうか。
金子みすゞの作品の中では、「露(つゆ)」はどちらかというとマイナーな詩だ。
有名どころの「私と小鳥と鈴と」ではなく、
なぜ「露(つゆ)」がお気に入りだったのか。

今更ながらに聞いてみたい気もする。