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妊婦の生活


お腹が大きくなり、目に見えて妊婦であることが分かるようになった。
その中で、有り難かった話を書き留めておこうと思う。


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物事は体験して初めて本当にその人の立場にたって考えられるようになるんだよな。

今までは、お腹が大きい妊婦をみても「動きにくくて大変そうだ」と思うだけで、実際どのように大変なのか掘り下げて考えたことはなかったが、今なら分かる。

日に日に大きくなるお腹の重み。お腹には1ℓのペットボトルを抱えたくらいの重さがのしかかっている。
ホルモンによる骨盤のゆるみで、足腰がぐらぐらする。
子宮が大きくなることで、胃が圧迫され、小分けに食べる日々。
そして、呼吸の息苦しさ。
少し歩いただけ、階段を登っただけで息がきれる。
同様に膀胱も圧迫され、トイレが近くなる。
内側からの赤ちゃんのキックにパンチでややお腹が張ってしまう。

普通にしているように見えるが、息を吸ったり、吐いたりする初歩的な活動から、しんどいのだ。



そんなある日、仕事帰りの話。

ホームで電車を待っていたら、人がたくさん並んでいた。
(いつもなら、ここまで混まないけれど、今日は人の流れが違う。コロナの影響か?)
3駅先の駅まで立てば座れると思い、端の車両へは移動せず、やや人が多めの電車に乗車した。
案の定、乗車した時点では2席ほどしか空かず、すぐに近くの人が座った。
しかし、特に苦だとも思わず携帯をいじりながら立っていた。
そして、3駅目。人が降りていく。
(座るチャンス!!)
座ろうと動き始めたところ、前の人が予期せぬ動きをして座席まで行けず、近場の人が座った。
(他にもまだ席は?)
(あった!)
最後の空席に、背の高い男の人と私が同じタイミングで近づいた。一瞬お互い立ち止まり、男の人がじゃあ遠慮なくと座ってしまった。
今日の服装はぎりぎり肥満体質の人か妊婦か見極められない服装だから仕方ない。
(一瞬譲ってくれるかと思ったが甘かったか。)

ひとまず、ドア付近に移動しようと思ったところ、
「どうぞ」
大島優子似の女性から声をかけられた。
「いえいえ、ありがとうございます。大丈夫です。」
「もう、立っちゃったんで。どうぞ」
「、、ありがとうございます」
反射的に断ってしまい、しまったと思っていたところ、再度勧められ、有難かった。

その後、彼女はさっと見えないところへ行ってしまった。断った後、間髪入れずにやや強引に席を勧めてくれた女性。
彼女のおかげで、残り10駅、体への負担をかけることなく過ごすことができた。

有り難かった。



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私は、現在、2度目の妊婦を経験している。
あの電車の一件より、周りから親切にしてもらった時、遠慮するのはやめた。
「助けていただき、ありがとうございます」
「とても助かりました」
と、感謝と喜びを伝えるようにしている。


そして、再び仕事復帰した時には、
大島優子似の、、
あの女性のようにふるまい、妊婦を助けられる立場になれたらと思う。