シード期のエクイティファイナンスにおいて知っておくべき最低限のポイントやバリエーションの評価

シード期とは、起業家として成功した投資家から、会社設立後しばらくした後に、投資を受ける時期です。

シード期に投資を受けているベンチャー企業の特徴や、バリエーションや資本政策の留意点について纏めてみました。

シード期で投資を受けているベンチャー企業の状態を「起業家の人柄」、「チームビルド」、「財務状況」、「ビジネスモデル」別に纏めてみました。

キャプチャ

キャプチャ1

「起業家の人柄」
→ここは、エンジェル期とあまり変わらない気がします。
お金はないけど、夢はあるというが大前提。言葉だけではなくて、フットワークが軽い。約束は守る(決められた期限や約束は絶対)。仲間を巻き込む力がある

「チームビルド」
→エンジェル期と違って、CTOやCSO(営業責任者)等仲間が存在していること、もしくは、シード期の調達が済めばジョインしてくれている仲間がいることが重要です。IT系ベンチャーの場合、CTOを社内もしくは、パートナーとして存在していることは必須です。

「財務状況」
→売上がすでに上がっているとベターですが、
・テストマーケティングは出来ている
・サービスの導入される企業がある。
という状態でも投資を受けているケースが多いです。
しかしながら、エンジェル期と違って、構想段階であったり、β版等が何もない状態では投資が厳しいことが多いです。

「ビジネスモデル」
→バイオベンチャーは別ですが、最低限β版はいると思います。また、そのβ版を使って、
・使用中のユーザーが既にいる
・試用の顧客見込み先
といった状態であることが重要です。

VCの担当者に以下に良い情報を多く提供できるか

シード期で調達先としては、VC(ベンチャーキャピタル)が見込まれます。
VCの投資プロセスは、投資担当者が投資先から得た資料に纏めて、投資委員会で投資するか否かを決定する場合が多いです。投資委員会にベンチャー企業が直接出席するケースもありますが、シード期の調達だとベンチャー企業が出席するケースは多くないので、投資を決定するメンバーにベンチャー企業が直接アピールできない場合もあります。
出席できない場合、投資担当者が資料や熱意が投資決定に大きく左右されるため、VCの投資担当者が資料に書きやすい情報を多く提供することが重要です。
特にテストマーケティングや売上先の情報は重要です。
テストマーケティングや売上先は大手企業の方がより良いです。
可能なら、相手先にVCからサービスについての、ヒアリングをしてもらう機会を設定することも重要です(VCから提案がある場合があります)
これは、サービスを使っている第3者の情報というのはすごく良い情報だからです。
必要なら、ヒアリング先とは事前に打ち合わせをしておいてもよいかもしれません。

シード期のバリエーションも経験と相場観

エンジェル期の資金調達における相場観は、
調達額・・・1,000万~3,000万
バリエーション(以下,Var)・・2億円~4億程度
が多いです。
東京だとこれ以上の場合もありますが、
上記で示したシード期の企業の状態で、Var4億~5億円にしている資本政策を見ますが、かなりのVarというイメージです。それと同時に、次の資金調達が厳しいとも思います。

ハイバリエーションも危険

それは、シード期にバリエーション4億~5億を付けた場合、シリーズAでそれ以上の価値を付けることになります。その時に企業に成長していればよいですが、なかなかうまくいかないのがベンチャー企業です。うまくいかなかった時に資金調達の可能性を残す上でも、Varをそこまで上げすぎないことも考慮すべきです。また、シード期4億の価値を付けてしまうと、国内M&Aの間口を狭めてしまう可能性が高いです。さらに、シード期で調達をする場合のVCの決裁権限において、企業価値2億円以下だと、投資委員会ではなく、部長決済のみで投資決済ができるVCも多く、Cashを早く入れたい企業は、Var2億円でとどめていくのもポイントです。

シード期のバリエーションは需要と供給であり、理論的ではない。

エンジェル期もそうですが、シード期のVarも決して、理論的に求められるものではないです。また、最終的には、需要と供給の問題であり、Varが2億円でも、4億円でも投資しくれるところがあれば、それで決まります。
一般的に、Varは、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法や類似業種比準法を用いられますが、ベンチャー投資においては、シリーズB以降から求めらるケースがあるというくらいで、あまり使わないと思います。


以上、シード期におけるエクイティファイナンスにおける知っておくべきポイントを纏めてみました。
次の記事では、VC調達でよく使われる、優先株発行時の留意点等も書いていきたいと思います。
長文となりましたが、拝読頂きました方には感謝申し上げます。

ありがとうございました。

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