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テニス肘の正しいストレッチ方法

みなさん、こんにちは。

今日は、テニス肘(上腕骨外上顆炎)でお悩みの方に向けて、

治療のすべてを完全解説いたします。

まずは自己紹介をさせてください。

私は慶應義塾大学医学部を卒業後、整形外科に入局し、10以上の病院で数多くの手術を執刀し研鑽を積んできました。現在は某国立系病院に勤務している20年目の指導医です。基礎研究にも携わった医学博士でもあり海外論文など最新の知見に基づいた治療を日々行っております。上腕骨外上顆炎は毎週3~5人は診ているので数えてはおりませんが、計算上は4000人ほどの治療経験があります。

それでは早速はじめていきます

テニス肘の治療は自宅でできる

テニス肘の治療は病院でしかできないと考えてませんか。

実は違います。テニス肘の治療は基本的に自宅で自分で行うものです。

その理由は、テニス肘はオーバーユーズが原因だからです。

これが理解できないと治療の考え方が理解できませんので、ぜひ先に上記の「テニス肘の原因・メカニズム」の記事で勉強してください。

結論からお話しすると、治療の考え方として重要な順に

1.負担を減らして安静にすること
2.炎症を鎮めること
3.痛みを和らげること
4.注射
5.手術

になります。

意外に思われたかもしれません。

でもこれが真髄なのです。なぜこの順番で大切なのかを理解していきましょう。

では順にわかりやすく説明していきます。

負担を減らして安静にすること

まず最初にそもそもの原因が筋肉の使いすぎだと説明しました。この筋肉を使い続けている間は、治療をいくら行っても治りません。

逆に完全に使わないようにすれば100%治るのです。でもそんなことはできません。なぜなら、日常生活でも頻繁に使う筋肉だからです。完全に使わない状態で過ごすことは難しいでしょう。


なので、治療において最も重要なことは、いかに負担を減らすかということなのです。ここは大切なので強調しておきます。


では負担を減らすためには具体的にどうすればいいのでしょうか。


結論からいうと以下の3つです

・支えること
・筋肉を休めること
・ストレッチすること

負担を減らすべきなのは、主に手首を上に反る(背屈)運動についてです。この筋肉は打撃系のスポーツ(テニスやゴルフなど)では球を打つ瞬間に使われます。日常生活ではドアノブ、瓶空け、雑巾しぼりなど、家事や手作業で使います。

なので、まずはこの動作をできる限り減らすように常に意識することです。


スポーツにおいてはサポーターを使用して手首を支える、フォームを改善する、荷物は逆の手で持ったり肩にかける、日常生活においては、雑巾や瓶は反対側に回す、ドアノブは逆の手を使う・逆に回転するなどです。地道な積み重ねですが10%でも負担を減らすことが大切です。そうすれば徐々に痛みの悪循環から抜け出せるようになります。


また有名な装具治療として、テニスエルボーバンドがあります。外上顆から少し離れた位置で筋肉を押さえることで外上顆に筋肉の引っ張る力が生じないようにできます。

炎症を減らすこと

上腕骨外上顆炎という名の通り、外上顆には傷がついた後、炎症が発生しています。炎症はサイトカインという物質が生じてさらに炎症を起こすため、炎症を抑える治療は必要です。湿布や、ロキソニンなどの鎮痛消炎薬にその効果があります。

痛みを和らげること

痛みは辛いため、この治療を希望されて受診される方が多いのですが、痛み止めは対象療法といって、痛みは和らぎ楽になりますが、あまり根本的な治療にはなりません。もちろん多くの鎮痛薬には抗炎症効果もある(カロナールにはありませんが)ため、炎症を下げることはできますが、痛みがとれたぶん、かえって無理をして負担が増えると、悪化してしまう危険性もあります。

なので、痛み止め単独で治療することは推奨できません。

注射(ステロイド)治療について

ノイロトロピン、キシロカイン、ネオビタカインという局所注射で、麻酔に使い治療です。疼痛は劇的に改善しますが、効果は一時的です。ステロイドには、強い抗炎症効果がありますが、やはり対象療法になりますので、負担を減らすことができていなければ、改善は見込めません。またステロイドは漫然と使用していると、皮膚や骨にダメージが蓄積するので、繰り返し用いることは禁忌です。打つと劇的に改善するため、希望される方も多いのですが、この注射の中毒のようになってしまい、最終的に皮膚に潰瘍ができてしまった患者さんのお話を耳にしたことがあります。

上腕骨外上顆炎の手術について

99%の患者さんには手術は不要と断言します。上記の治療をしっかり行えはほぼ100%治癒するからです。手術は前述の治療を十分に行ってきたにも関わらず、痛みが1年以上続いている場合、疼痛によって困っている場合にのみ考慮されます。

上腕骨外上顆炎の正しいストレッチ方法

腕橈骨筋や手指伸筋を最大限まで伸ばすことで、柔軟性を得ておくことが重要です。特に入浴後や、作業にとりかかる前に行っていただくと有効です

具体的には

・肘は完全に伸ばす
・手関節を掌屈(手のひら側に手関節を90度曲げる)
・手を最大まで内まわしする

です。一つずつ解説していきます。

まずは普通に肘をまっすぐに伸ばしてください。

次に手首を下に曲げてください。この動作により、筋肉が少し伸ばされる感じがすると思います。

次に、指先が外に行く方向に、十分回してください。専門用語では回内運動と言います。これがターゲットにしている筋肉が最も伸ばされる姿勢になります。肘にも引っ張られる感覚が伝わっていると思います。

これを勢いをつけずに大きく、強くしっかりと1分くらいかけて行うようにしてください。入浴後、作業前、運動前に行っておくと筋肉への負担が減ります。

そもそも筋肉によって引っ張られることが原因なのに、ストレッチをしてさらに引っ張ってもいいのでしょうか?

という質問が聞こえてきそうです。

これに対する答えですが、

要するに、ゆっくり行うストレッチは筋肉が柔軟になるいい運動、勢いがつくような早い運動や、繰り返しの運動は、筋肉や骨の表面に傷がつく良くない運動になるということです。

これが私が長年、整形外科外来で多くの患者さんたちに指導してきた実績のあるストレッチ方法です。

ぜひ、このストレッチを試してみてください。

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