見出し画像

日プの亡霊が成仏するために今さら振り返ってみる【PRODUCE 101 JAPAN】

〝推し”のいる生活のありがたみを私に教えてくれた、日プこと『PRODUCE 101 JAPAN』(※)の本編配信が8/19をもって終了してしまった。

※韓国発のアイドルオーデション番組の日本版で、101人の練習生の中から国民プロデューサー(視聴者。通称‟国プ”)の投票によってデビューメンバーが決定。選ばれた11人は現在、グローバルボーイズグループ・JO1として活動している。


配信終了を目前に、これで見納めならばと久々に番組を見返してみたのだが、いつ見ても色あせない名シーン、やっぱり輝いて見える推し、今さら気づくノーマークだった練習生の魅力……やっぱり日プが好きすぎる。涙

この尊さの断片だけでもどうにか残さねばと、ありえん量のスクショを撮りためながら迎えた配信最終日。何かの手違いで消えないでくれないかなと願ったが、翌日の00:00になった瞬間きれいさっぱりなくなってしまった。円盤化のアナウンスもない。もう完全に日プロス。どうにも 君のいない場所は 空気が薄くてさ・・・

YouTubeの公式チャンネルを残してもらえたのが唯一の救いで、9月になった今でもたまにパフォーマンス動画や未公開シーンなどをふらふらと見にいく亡霊と化している。この喪失感に区切りをつけるためにも、日プの何にこんなに魅了されたのか、今さらながら振り返ってみたいと思う。

はじめの印象とじわじわハマりだすまで

日プとの出会いは、大型台風が関東を直撃した際、家でやることがなかったらとすすめられたのがきっかけだった。本家のプデュシリーズも未見、男性アイドルにハマった経験もなく、異文化にふれるような思いで見始めた当初の印象はこんな感じだった。

〇実力の差とその可視化がえぐい
Aクラス〜Fクラスに分けられ、クラスごとに違う色のTシャツを着る徹底ぶり。これにはけっこうびっくり。下のクラスの練習生の大半は未経験者なので、バックダンサーやってきました!芸能活動してました!みたいな実力者たちや、さらには世界で活躍するという目標に追いつくために、どんだけの努力が彼らに必要なのか…スポ根漫画と違ってこちとら現実生きとんのやで!?涙


〇男の子たちがえんえん泣いている

課題曲でのレベル再評価発表で驚いたのは、クラスの通知書を見た瞬間に泣き出す人、チームメイトの評価が下がって自分のことのように泣きだす人……すごい泣くじゃんみんな!! その後も、チーム内のパート争奪戦に敗れて泣き、トレーナーに怒られて泣き、パフォーマンスに納得がいかなかくて泣き、そして自分や仲間が脱落して泣き……とにかく感情のまま泣く。そんな自分をカメラの前でさらけ出す。これまでのジェンダー観をぶち壊していて、思わぬところで令和みを感じる。


〇男の子たちがわちゃわちゃしている

お互いのことを「かっこいい」「可愛い」と褒めまくり、スキンシップ多め。これまたジェンダー観とか背負い投げな様子が新鮮すぎる。


こんな調子でひとしきり驚いてしばらくすると、

〇実力の差とその可視化がえぐい
 →成長が気になる
〇男の子たちがえんえん泣いている
 →胸をうたれる
〇男の子たちがわちゃわちゃしている
 →なぜかずっと見ていられる

……彼らを見守りたい気持ちがすっかり芽生えていることに気づいてしまった。

ちなみにポジションバトル開始前までの推しは、圧倒的に豆原 一成くん(顔が好きすぎてそれだけでAなのに実力もAクラスという末恐ろしさ)。ほかには佐藤 來良くん(レベル分けテストでの安定したボーカルと表情管理の天才ぶり)と宮島 優心くん(自分の強みを把握していて可愛さに振り切る潔さ)も好きで、シックスパックスの歌うま筋肉お兄さんたちを箱推ししていきたい気持ちもあり、この6人が固定pickだった。

推しメン増え杉謙信 尊み秀吉どうしよ平八郎の乱

はじめは11pickの投票に「あと5人誰にしよ〜」とかのんきに迷っていたが、ポジションバトル(ボーカル、ダンス、ラップのポジション別の課題曲を披露するチームバトル)が始まるともう推しが増えすぎて、「11」という数字が練習生だけでなく国プにとってもいかに残酷なものかを思い知ることになる。

私の場合は『Lemon』1組の歌唱力には涙腺が限界突破し全員推すと決めたし(特に、ハモリが素晴らしかった秦 健豪くんや、やわらかな声質で拙さすら味わい深い大水 陸渡くんはそれまで認知すらできていなかった)、『HAPPY BIRTHDAY』1組の床波 志音くんには「歌の神に…選ばれし子……」となり、鬼リピしすぎてもうこの2曲は本家よりも日プverで脳内再生される。


ダンス部門で注目したのはやっぱり『OVER THE TOP』2組の本田 康祐くん。自分の練習時間やソロの見せ場を削ってFクラスの練習生をチーム勝利に導き、個人でのダンス部門1位も獲得した本田のアニキは、誰もが認めるポジションバトルのMVPだと思う。別番組だがキューブをあげたい。


そして私は見つけてしまった。豆原くんという圧倒的1pickをも凌駕する推しを。オリジナルラップ1組の岡野 海斗くんである。ラップのセンスの良さとベビーフェイスに「この子今までどこにいたの…すきかも…」と見入っていると突如やってきたキラーフレーズ「俺はプデュのシンバだ」。そこで見せた自信たっぷりの表情に、ビビビビィッッと細胞がイカれる音がした。最推し爆誕の瞬間だった。ハッピーバースデー 片思いの俺。


練習風景→パフォーマンスが始まる瞬間の高揚感

ステージを重ねるごとに応援したい練習生が増え、自分の11pickの枠が全然足りなくなっていく一方で、国プの投票で順位が決まり、デビューにつながる椅子の数は101人→60人→35人→20人→11人と減っていく。
「勝ち残らなければならない」という気持ちから、チーム内でのセンターやポジションにかける思いも強くなっていくのだが、その中でも印象的だったのは、個人順位よりもチームとしての勝利を優先するような場面。

たとえば、グループバトル『Why? (Keep Your Head Down)』チームで、互いのプライドがぶつかり合いながらもメインダンサーとしてステージのクオリティを高めることに徹した佐野 文哉くんと今西 正彦くんや、『LOVE ME RIGHT』チームで、オールラウンダーとして成長するためラップを担当したかったが、悩んだ末にボーカルのスキルを活かしてほしいというチームメイトの意思を汲んだ中本 大賀くん(余談ですが、気持ちの整理がつかず練習に戻れずにいる中本くんに「揉めたん? そんなもんやろ」と声をかけた、別チームの安慶田 真樹くんが男前すぎるんよ)。

サバイバルである以上、自分が目立つポジションでアピールして票を稼ぎたいと思うのは当然なのに、葛藤しながらもチームに貢献する姿は人間くさく、かっこいい。切り取られたほんの一部ではあるが、ステージに立つまでの葛藤や成長を知ってから本番のパフォーマンスが始まる瞬間、練習生の緊張感や秘めた思いをこちらも疑似体験し、心からのエールを送る。パフォーマンスそのものも、もちろん感動的なのだが、あの瞬間の高揚感は今思い返しても胸が熱くなるし、日プの大きな魅力のひとつだと思う。

「サバイバルだから」と「サバイバルだけど」

日本人てそういうの好きね〜と冷めた目で見る人もいるだろうし、言葉にすると安っぽくて恥ずかしいのだが、チームの絆や友情が本当にまぶしい
まぶしすぎるのだが、中盤のグループバトルあたりまでくると、この過剰摂取なしには生活できなくなっているから恐ろしい。

たとえば、グループバトルの『FIRE』組。チーム決めのとりっこで選ばれなかったメンバーが逆指名できる場面で「人生変えたいです」と上位メンバーばかりのここに飛び込んだ、Fクラス出身・磨田 寛大くんを全力で支え、圧巻のステージを作り上げた(ちなみにカンタニエルと同じくダンス未経験なのに比較的ついていけちゃう河野 純喜が地味にすごい)。

また、コンセプトバトルで『DOMINO』チームから外され絶望していた大平 祥生くんを、あたたかく出迎え、すぐさま笑顔に変えた『やんちゃBOY やんちゃGIRL』組。これまた嘘みたいに安っぽい台詞でウケるのだが、「誰もが主人公」とか「この世界も捨てたもんじゃねえ」とか思わせてくれるほどに美しい現実がそこにあるのだ。

もちろんチームを超えた友情もプライスレスで、たとえば鶴房 汐恩くんはデビューが決定した際、バトルで同じチームになることはなかった岩崎琉斗くんと北川 玲叶くんへ名指しで感謝の思いを伝えていた。

「サバイバルだから」ライバルに勝ちもっと上を目指そうとしながら、「サバイバルだけど」チームメイトとの絆を深めたり、ほかの練習生をサポートし心から応援したりする。それぞれの個性が、時にぶつかり合い、時に寄り添い合うことで生まれるドラマやそこから感じる人間味こそが、日プの魅力だろう。

この「サバイバルだから」と、「サバイバルだけど」は、相反するようでいて自然につながっているように思う。各自がベストを尽くした結果をステージで発揮し、それで誰がデビューしても恨みっこなしという、互いへのリスペクトが根底にあるからだ。それぞれが自分がなし得る最高のパフォーマンスで勝負するために、自分の得意分野で悩んでいる練習生には力を貸すし、頑張りを近くで見ているからこそ、応援せずにはいられないのだろう。


2019年に彼らが出会い、そして彼らに出会えたこと

練習生たちは生まれ育ちもバラバラで、このオーディションを通してしか出会わなかった人たちだということを考えると、それだけで奇跡…ありがとう…という気持ちになる。さらに言うならば、練習生が全国から集い大人数で共同生活を送るという企画自体が、新型コロナウイルスという概念のない2019年だったから可能だったことだ。もしプロジェクトの始動が半年でも遅れていたら…と考えると、本当に森羅万象に感謝。

また、コロナの影響もあってか日プ配信期間が延び(本来はたしか3月で終了予定だった)、おうち時間で日プを一気見したという人も多かったようだ。終了が3月だったとしたら、リアタイ視聴時期からあまり時間が経っていなくて、私もきっとこんな熱量で日プを振り返ることもなかっただろう。落ちてしまった練習生のことを思うとJO1のデビューも初めは複雑な気持ちだったが、今は心から応援できるし、OWVORβITBoom Trigger円神BXWといった日プで出会ったメンバーたちのグループも続々デビューしていて、「この2人がのちに同じグループに…!」という視線で見るのも楽しかった。

逆に、いま芸能活動をしていないことが分かっている練習生の姿は、日プでの刹那的な輝きが余計に増して見えた(特に佐藤 隆士くん。爽やか優しいお顔立ちと伸びやかな歌声、しかも当時17歳の高校生ながらコメントがいつも客観的で落ち着いているところなど、一般人ではもったいないと思ってしまうが、毎日元気にごはんを食べてくれていたらもうそれだけで嬉しいです。。。)

応援することの素晴らしさ

私はこれまで日韓問わずアイドル文化に深くふれてこなかったし、バンドはずっと好きだったけれど、特定のメンバーを応援したことはなかった。だから「この人を推してます」と面と向かって公言したり投票したりという初めての体験に、たいへんはしゃぎ倒したなあと思う。そして、自分がその輪の中に入ってみて、オタクの皆さんの応援することにかけるパワーは、本当にすごいと思った。

特に語彙力。「〇〇しか勝たん」などのテンプレから、推しの魅力やキャラクターを形容するフレーズ(滋賀県出身の井上 港人くんの魅力が「琵琶湖よりも広くて深い」など)まで、バラエティ豊かすぎる。しかも的確。あんたら全員コピーライター講座受講済みなんか。

そのほか、特定のタグでTwitterトレンド入りを企画したり(「#安藤誠明を海に返すな」のインパクトは忘れられません)、推しの紹介画像/動画を作ったり、元はK-POPの文化だそうだが、街に応援広告を出したり、スローガンを配付したり。応援ということに関する行動力やスキルの高さに圧倒された。

応援は、力になる」と何かの広告で言っていたけれど、応援する側もめちゃくちゃ力になるなあと感じた。推しのいる生活ってこんなに楽しいのだと教えてくれた日プにはありがとうしかない。


そろそろ成仏

今回思い切ってnoteに登録し、自分のなかでの日プに対する思いを言語化することができてだいぶ気持ちに区切りがついた。

長くなってしまったが、まとめると日プにはまったのは、

・なんだか様子がおかしくて見守りたい
    ↓
・推しが増えすぎて困る
・練習風景→パフォーマンスが始まる瞬間も醍醐味
・葛藤と成長、友情努力勝利に涙
    ↓
・おまいらの出会いにありがとう、おまいらとの出会いにありがとう
・応援は(自分の)力に(も)なる

鬼ダサな要約でウケるがこういうメカニズムだったように思う。

欲を言えば、宮里はじめまして龍斗志に大笑いしたり、ポジションバトルでもグループバトルでも「知ってる曲が少ない」と言う白安藤くんの音楽遍歴にじわったりした話、菅井先生をはじめトレーナー陣が大好きな話とかもしたかったが、きりがないんで亡霊の小言はもうCUT CUT CUTということで。

全練習生の皆さん、Go To The Topしてもしなくてもかまわないんで、それぞれの幸せを心から願います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?