イトヨー・オール・マイ・ラヴィング
誰もがその名を知ると言っても過言ではない、超大手総合スーパー「イトーヨーカドー」。
我らが弘前市民はイトーヨーカドーについて、愛を込めて“イトヨー”と呼ぶ。
以前Xでフォロワーに問いかけたところ、イトヨー呼びするのは、どうやら青森県内でも弘前市民だけのようだった。
青森のローカルパン「イギリストースト」が全国区ではなかったと知ったときと、同じくらいの衝撃だった。
ちなみに、弘前市出身の芸人・シソンヌじろうさんも“イトヨー”呼びされている。さすがパイセンや…と改めて親近感を覚えた。
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弘前市民のイトヨーに対する愛は、本当に深い。
なんと「イトーヨーカドー 弘前店まみれ」という公式(?)ガチャガチャまで登場してしまったのだ。
開発したのは、地元企業の「アサヒ印刷」さん。
こちらの会社、イトヨー以外にも青森県内の名物お菓子やローカルバス、先ほども述べた青森ローカルパン「イギリストースト」などのガチャも製造している。
青森オタクにはグッサグサ刺さるものばかりで、控えめに言って天才なのである。
ちなみに、イギリストーストはサコッシュとマステが当たった。めっちゃ嬉しい。
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休日に親から「イトヨー行くか」と言われた日にはもう、大興奮である。
小さい頃、イトーヨーカドーはデパートだと思っていた(ガチめに)。イトヨーさ行げば、なんでもあるびょん。
バッグや靴、下着類、文房具などさまざまなものを、イトヨーに行くだけで一気に揃えられた。
何ならデパ地下だと思っていた地下食品コーナーはとても広く、いつもと違う惣菜やお菓子など買ってもらえる超ハッピータイムだった。
さらに、ゲームセンターや上階にある屋外遊具(トランポリンめっちゃ飛んでた)、ファミール(ハイカラな洋食屋)など、特別な体験ができるテーマパークですらあった。
一番気に入っていたのは、何といってもエレベーターガール。
私の幼少期のイトヨーにはエレベーターガールがおり、「上へ参ります」と手を挙げる姿に憧れを覚えたものだ。将来の夢になったときも一瞬あった。
ただ、その姿はいつの間にか消えていた。
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そんな愛と思い出が詰まった「イトヨー撤退」の速報が入ったのは、今年2月8日のこと。
「まさか、イトヨーが」きっと弘前市民の誰もが耳を疑ったことと思う。青森市民もそうだろう。
絶対に無くならない、ずっとそこにあるものと信じて疑わなかったものが、消えてしまう。業務時間中ではあったが、ショックでしばらく途方に暮れた。
早速幼馴染と連絡を取り合って悲しんでいたところに、母親からも驚いたと連絡があった。それだけ市民についてはビッグニュースであり、大事件であったのである。
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4月、弘前公園の満開の桜に合わせ、4日ほど帰省した。
その際に幼馴染とイトヨーにも立ち寄り、地下のフードコート内の「ポッポ」で昼食をとった。
ポッポはイトヨー直営の飲食店であり、たこ焼きやラーメンから今川焼き(青森でいうところのおやき)、さらに弘前店には全国でも珍しくクレープまである。なんでも屋さんなのだ。
幼馴染とイトヨーの思い出を語りながら、お好み焼きと焼きそば、ポッポ名物のメガポテトとクレープをいただいた。
今回は、何ならお花見と同じくらいポッポに行くことを楽しみにしていた自分がいる。
幼馴染は「どうかポッポだけでも残してくれ」と、来店のたびに「お客様の声」に投函しているのだという。それほど切なる願いだった。
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そして先日、ついに弘前イトヨーの閉店日が9月29日に決定という速報が流れた。
別れの日が提示されたことで、「ああ、本当に無くなるんだな」と、いよいよ閉店が現実であることを突きつけられてしまった。
たかが一商業施設の閉店で、号外や速報まで流れることはそうそう無いことだろう。
だが、イトヨーはそこまでするほど弘前市民に愛されており、あり続けることが当たり前と信じて疑わないような存在だったのである。
弘前市の公式サイトでは、現在「イトヨー弘前店の思い出・写真」を募集している。
市民らから寄せられた思い出や写真も見ることができるのだが、本当に多くの方に愛される存在なのだということを、強く感じさせられた。
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人でも物でも「いつもそこにある」ということは当たり前ではない。あるときに突然無くなってしまうことももちろんあるのだ。
今回のイトヨー閉店のニュースで、改めてそれを自分ゴトとして深く受け止めた。
親の存在はその最たるものだと思っていて、正に「親孝行したいときに親はなし」。あと何度一緒に桜を見られるだろうかと、近年はよく考えている。
いくら嫌だと地団駄を踏んだところで、覆らないことも世の中にはたくさんあるのだ。
まだ「そこにある」ときに、しっかりと大切さに気づけるか。
いつも感謝し、たとえ離れ離れになっても後悔が無いように愛を与えられているか。
無くしてから気づくのではなく、いつも「そこにある」ことの尊さを忘れず、しっかりと想いを伝えながら生きていきたい。
弘前イトヨー、Forever。
人生を共に歩んでくれて、本当にありがとう。
(閉店の瞬間のニュース流れたら、本当に泣くかもしれん…)
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