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真夏。真夜中の鎌倉を巡り歩く②―四万六千日と黒地蔵盆(回想2018/2019行程&ダイジェスト後編)|訪仏帳_#6

杉本寺(四万六千日)→覚園寺(黒地蔵盆)→長谷寺(四万六千日)と巡った前編記事の続きになる。

なお前編記事で指摘したように、コロナ禍の今年(2020年)の鎌倉・四万六千日と黒地蔵盆は、感染防止のため開門時間の変更や入堂不可、お手綱を設置しないなど、それぞれお寺で例年と違う対応がとられているようなので要注意。

また、この記事のように夜中に歩いて巡る風習があるわけではなく、あくまで個人的にしていることであり、安全面なども考えると、決してこの行動をおすすめするものではない。
8月10日の日中まで楽しめる行事なので、どうか無理のない形でのお参りをお願いしたい


早朝にお参りした安養院の四万六千日


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長谷寺から安養院へは2.2km、江ノ電、横須賀線と踏切を渡り、徒歩30分ほどの距離だ。
安養院でも四万六千日のこの日は、早朝5:00からお参りできる。

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5:15頃着。
こちらはいつも通り堂外からの拝観になるが、寺の歴史を物語るように阿弥陀如来坐像(室町時代)が手前、その背後に千手観音菩薩立像(坂東霊場の田代観音/江戸時代)と、二つの本尊が前後に並ぶ珍しい配置になっている。
さらにW本尊の左右には三尺ほどの馬頭・准胝・不空羂索・聖の各観音立像も。
以前、毎年冬恒例の「梅かまくら特別参拝」の機会に、本堂の中で拝観したことがある。

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それほど大きなお寺ではないが、杉本寺・長谷寺とともに坂東の札所であり、境内の本堂裏手の崖や石仏、重要文化財の宝篋印塔など見どころも多い。

安養院は5:40頃退出。
次は朝の護摩供養を目当てに再び杉本寺へ。
以前は安養院から杉本寺へは釈迦堂切通しを通って行けたのかもしれないがが、一昨年(2018年)に通ろうとしたら崖崩れで通行禁止になっており、結局かなり遠回りするはめになった。

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杉本寺の朝の護摩ですっきりする


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というわけで安養院から杉本寺へは普通の道で2.1km、徒歩30分ほどの距離だ。
鎌倉市街を流れる滑川。
街の中とは思えない渓谷のような景色だ。

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杉本寺の四万六千日の護摩は6:00から。
一昨年、昨年も少し遅れて6:15前後の到着になったが、この日が何曜日かで当然集まる人の多さも違う。
一昨年(2018年)は金曜日、昨年(2019年)は土曜日だったので、一昨年は本堂に入って座って間近に炎を拝めたが、昨年はすでに堂内はいっぱいで戸口から少し眺めて終わる前に退出した。

護摩は一昨年の感想になるが、本当に煩悩を焼き払ってくれてるかはともかく、炎をじっと眺めているだけでもなにか浄化されていくような、すっきりした気分になるのは確かだ。

また早朝の杉本寺は、少し妖しくもあった真夜中の雰囲気とは一変し、爽やかなような、でも燃え残った灯明などを見ると、まだ寝起きのけだるさもあるような不思議な感覚があった。

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覚園寺で朝粥をいただく


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杉本寺から夜と同じ経路で7時過ぎに再び覚園寺に到着。

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覚園寺の黒地蔵盆の朝の楽しみは、境内に移築された江戸時代の古民家で、この日だけ地元のお店が出張して提供する朝粥(有料)。
ほのかに中華風味で、ニラ饅頭や杏仁豆腐とのセットもある。
爽やかな甘みの杏仁豆腐は特に美味しい。
味わい深い古民家で、朝の境内を眺めながらの朝食はとても贅沢だ。

そしてもちろん、夜中とはまたかなり雰囲気が変わる薬師堂の諸像や黒地蔵の朝の顔を拝む(写真は前編記事の夜の写真と同じく受付の外の愛染堂)。
この二つの顔が同じ日に数時間のうちにどちらも拝めるのは貴重だし、夜の灯り、朝の自然光と、仏像はとにかく「光」の違いで大きく変わり、それぞれの良さがあることをいつも実感する。

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覚園寺では、時期は少し遅いが朝だけに蓮を見るのも楽しい。

8時半前に退出。
この時期のこの時間はもうかなり暑い。
日中の暑さではこの一連の行程は歩き通せないだろう。
やはり大半を夜のうちに巡るからできることだ。


まとめ


これで、一昨年、昨年と2年連続で目的の4か寺のお参りを果たすことができた。
この後は余力があればせっかくの鎌倉なので、もう少し楽しん帰ったりする。
一昨年は、整備が進んで水が張られた鎌倉時代の浄土庭園の遺構である永福寺(ようふくじ)跡、昨年は鎌倉国宝館へ立ち寄り、午前のうち鎌倉を後にした。

以下、2019年の一連の行程と、この行事当日の開門時間等(あくまで2019年時点のもの)をまとめておく。

<鎌倉・四万六千日/黒地蔵盆 歩き巡り行程>
2019.8.10[土]0:00頃〜8:30頃

JR鎌倉駅 23:43着
|  2km/徒歩約30分
①杉本寺(四万六千日)0:15頃〜1:00頃(以下、滞在時間)
・開門 0:00(8/9 24:00)
|  1.2km/徒歩約20分 (途中で一時休憩)
②覚園寺(黒地蔵盆) 1:40頃〜3:00頃
・開門 0:00(8/9 24:00)(~12:00で閉門)
|  4.3km/歩徒約1時間
③長谷寺(四万六千日)4:00〜4:45頃
・開門 4:00(8:00まで拝観無料)
・「御身影」の授与あり
※当日の鎌倉の日の出4:57(2018年のデータ)
|  2.2km/徒歩約30分
④安養院(四万六千日)5:15頃〜5:40頃
・開門 5:00(9:00まで拝観無料)
|  2.1km/徒歩約30分
⑤杉本寺 6:15頃〜6:50頃
・大護摩供 6:00~/大法要 10:00~
|  1.2km/徒歩約20分
⑥覚園寺 7:10頃〜8:30頃
・朝粥 6:00〜
(鎌倉駅へは2.4km/徒歩約30分 )

オプション
鎌倉国宝館
・開館 9:00
(覚園寺から1.5km/徒歩約20分)

コロナ禍の今年、2020年は各お寺で時間変更や規模縮小、制限を設けての例年とは違う形での開催と告知されている。
でも今だからこそ、観音さまやお地蔵さまへの祈りもより強いものになるだろう。
自分も今年はお参りを自粛するが、今までいただいた御朱印や御身影を眺めつつ、離れたところから思いを馳せることにしたい。


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[当記事の訪仏日 2018.8.10/2019.8.10]
掲載情報は基本的に参拝・拝観・鑑賞当時のものです。
最新の拝観情報、交通情報等は各所公式サイト、問い合わせ等にて確認のうえおでかけください。

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