模試をサボって海に行った話

前の話を書いてて、思い出したことがある。(読む必要はない)

高校3年の11月5日。

この日は学校で模試があった。この日までにも何度も模試を受けさせられていて、大した勉強もしていなかったから当たり前だけれど判定は上がらず、何回やっても同じだし受けたくない、嫌だ。そんな気持ちでいっぱいのまま家を出た。模試、本当に嫌だな。自転車で学校に向かう道の途中、海があった。海を見て止まった。海を見ていたら心が鎮まる気がして、受験期は海に行くことが多かった。模試が始まる時間になって、連絡が怖くてスマホの電源を切った。土曜だから家には母がいる。水橋から市の境界線をすこしこえた滑川の海岸。そこは富山湾を一望できる位置にある。すこしそれた岸に新湊大橋が見える。そういえば新湊大橋ができてから、登ったことがないな。学校に行っても家に帰っても地獄なんだから、新湊大橋に行こう。そういうわけで(どういうわけだ)新湊大橋の方へ沿岸沿いをひたすら走った。

少し自転車を漕ぐと浜黒崎のキャンプ場がある。そこは砂浜だった。せっかくだしと、自転車を置いてとりあえずローファーのまま砂浜を歩く。本当に頭が悪い。波が来て、ローファーごと濡れた。濡れてしまったものはしょうがないのでローファーも靴下も脱いでちょっとぱしゃぱしゃして遊ぶ。今さら家には帰れない。どうしたものか。この日は11月と言いつつ寒くなかった。むしろ暑いくらいで、秋特有の低い太陽の日が眩しかった。チャリ漕いでたら乾くやろ。と、浜黒崎から西に続くサイクリングロードを、カゴにローファーと靴下を広げて裸足でペダルを漕いだ。田舎だからそんなに多くの人には出くわさず、裸足でも楽勝!だぜ!と元気にペダルを漕いでいたんだけど、なんとサイクリングロードが途切れた。このサイクリングロードが新湊大橋まで繋がっていると思い込んでいたのと、さすがに車も走る道を裸足で自転車を漕ぐのは恥ずかしいし危ないよな、と少し絶望。靴下は若干乾いてはいたものの履きたくなるまでには乾いていなくて、仕方なく近くにあったセブンイレブンで靴下を買うことにした。コンビニは目移り商法が本当にうまいよね。靴下と、お菓子にこつぶグミと、そして無印良品の落書き帳を買った。新湊大橋を渡った先には海王丸パークがある。海王丸パークというのは、その名の通り「海王丸」という船が現役時の姿のまま海の上で公開されているパーク。海王丸を描きたい。だから、落書き帳も買った。さて、靴下を履き替えて(ローファーは湿っている)海岸の方へ戻って、いざ進まん。と思ったんだけど、なかなかうまくいかなかった。まず、本当の海岸は多くが工場の敷地になっていて、どうしても内陸の道路を通らないといけない。それから、工場が多いから、というのもあるのだろうけど、トラックのような大きな車が通る、歩道のない道が多かった。

怖いし疲れたしで、適当に住宅街に入っていく。通りかかった神社の木が、大きくて、とても立派で、描きたいと思った。そうだここで少し休憩しよう。カラスや、なんかわかんないけど小鳥たちが飛んできて、虫がいて、大きな木。すごく澄んでいた。落ち着けた。

それからまたひたすら漕いだ。銭湯があったり、学校や幼稚園があったり。せいぜい自転車での移動距離なはずなのに、通ってくる町ひとつひとつが全然違う。楽しかった。ハチクロの竹本君がママチャリで北海道に行く話を思い出して、ちょっと状況が重なって(規模は全然違うけど)わくわくしたりなんかもして。やっと新湊大橋。あいの風プロムナードといって、新湊大橋の、自動車が通っているの道路の下に、歩行者専用の道がある。橋の下に行くと、エレベーターの入り口があった。エレベーターからの景色は最高だった。エレベーターというか、ここから先の景色は本当に最高続き。橋からは、目的地の海王丸パークが見下ろせて、いつも見ない方角からの海は本当に綺麗で、広くて、青くて。工場とか、町とか、全部見えて。楽しくて仕方がなかった。

海王丸パークに着いたら、お弁当を食べた。母が作ってくれたやつ。そういえば今日模試だったな。罪悪感を感じながら弁当を食べる。学校とか母からたくさん連絡が来てたらどうしよう、ドキドキしながらスマホの電源を付けた。びっくりするほど何の通知もなかった。拍子抜けして、逆にさみしくなって、はやく海王丸の絵描いて帰るかって。新湊は風が強かった。カップルに「風強くて大変そう」と言われながらもなんとか海王丸を描いて、また自転車を漕ぎ始める。みんなは模試終わったかな。本当に模試なんてあったのかな。だって無断欠席なのに連絡ないし。変な気持ちのまま帰路へ着く。

その日は画塾の日だった。画塾行ってから帰ろう。おかしなもので、来るときは先が分からなくて長く感じた道も、帰り道は驚くほど短く感じる。画塾に行って、絵を描いた。

今思うと、地図アプリも開かずによく行ったなと感心しちゃう。スマホの電源を付けるのが怖かったんだよね。検索してみると片道22㎞あった。

どうでもいいけど書き出したかったこと。ゲロ袋。
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