終末のフール

高校生の頃、読書感想文のために買って読んだ本。本棚に眠っていたものを、再び目覚めさせた。読書感想文紛いの文章を書いてみようと思う。

小惑星が地球に衝突すると言われた8年前、世界は混乱で溢れていた。そこから5年が経ち、「ヒルズタウン」のある町には静寂が訪れていた。過去には100世帯が住んでいたが、今ではすっかり減ってしまった。そんなヒルズタウンの住人が、小惑星衝突まで残り3年を前に、それぞれの胸の内が描かれる。
学校も仕事もなくなり、ただただ毎日を必死に生きる人々。町が静寂を取り戻したとは言え、いつ暴漢に襲われるか、いつ殺されるか、わからない世界。なんでもありの世界。これが現実に起こったら、私はどんな行動を取るだろう?小惑星が衝突する。ありえないことではないな、と思う。この本を読んだからこその結果であろうが、おそらく家で隠れてやり過ごしている気がする。食料はもちろんほしいが、外に出れば大崩壊世界が広がっているのだ。そんなところに乗り込んだって、必ずしも食料が手に入るとは言えないだろう。いつの日か訪れる静寂への期待を胸に、じっと耐えよう。そして、静寂が訪れたなら、外に出て、音楽を聴いて、まだ知らない場所を探しに行こう。多少の恐怖は許容しよう。最期のとき、少しでも幸せな人生だったと思えるように。
大丈夫。この世界は、まだ、生きている。

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