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ついにお歳暮をもらってしまう

広告業界(クリエイティブ)は、プロダクションからお歳暮をもらうことがあります。会社宛ではなく個人宛。ぼくも30代半ばに広告代理店に転職して、その冬にCMプロデューサーから「お歳暮送りたいので住所教えてください」と言われました。前職ではそんな慣習は一切なかったので、驚いた僕は思わず断ってしまいました。で、1社断ったら次の会社も断らないと不公平だなと、そのままずっともらっていませんでした。みなさんせっかくのご厚意をすみません。

なんで断ったのか。よく医者や教師は大学卒業していきなり先生と呼ばれるから偉そうだと言われたりしますが(そんなことないと思うけど)、まさにそれを広告代理店に来て感じたからです。大人数の打ち合わせに行くと、ジュースやお菓子をプロダクションの人が買ってきてくれてます。ごはん時や長い打ち合わせはお弁当とかも。最初にこれ体験したときは「なんと気がきく…」と感動したのを覚えています。が、終わった後です。お菓子のチョイスがダメ、途中でジュースなくなって追加するタイミングがおそい、気が利かない、打ち合わせがうまくいかない、と広告代理店クリエイターのダメ出しがはじまりました(今はこんな人あまりいないですが)。仕事に対して「この映像のクオリティじゃダメだ!」と声を上げるのはよしとして、そこで怒るかねと。

そのほか“昔はCMプロダクションにこんな無茶を言ってやった武勇伝”を、ことあるごとに聞かされて。そうはなりたくないという思いが積み重なって「お歳暮もらったらおれもそっち側になってしまう」と思わず断ってしまったのでした。しかしまぁ、プロデューサーからすればお歳暮は慣例みたいなもので。今年、数年ぶりにお歳暮オファーがあってやんわり断ったら「なんで断るの?」と、あまりにピュアな目で見てくるのでいただくことにしたのでした。

そしてついにお歳暮が届く。いまいちどドキドキしております。そしてきっと、ぼくも代理店の偉い人になっていくなかで、知らず知らず横柄な感じになっているのだろうなぁと感じています。気をつけねば。

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