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22年間の実家暮らし、最後の夜

1週間前、給料1.5ヶ月分を不動産屋に振り込んだ。一人暮らしをするための初期費用である。

私は実家が都内にあって、職場も同じく都内である。だから、往復3時間ちょっとかかるけれど、実家から通勤できなくはない。親との関係性だって別に悪くはない。側から見れば、私はすごく恵まれているのだろう。

それでも、親元を離れて、一人で暮らすことに決めた。なぜなら、実家暮らしを言い訳に色々なことを諦めてしまいそうだから。出社する日は、在宅勤務の日より3時間早く起きる。定時で上がっても電車を3本乗り継いで家に帰る頃にはくたくたで、ご飯を食べて眠るのがやっとである。休日も、親の行動に気を遣いながらの生活なので、掃除・勉強・映画鑑賞等のやりたいことが、やりたい時にできない。

それくらい我慢すれば良いのかもしれない。「悪くはない」生活なんだから、実家にいて貯金をする方がいいのかもしれない。でも、今の生活を続けていたら、数年後には家事も料理も大してできない、通勤時間の長さを言い訳に勉強の時間を取っていない、休日もぼんやりと無駄に過ごしている、からっぽな独身OLの一丁上がりな気がした。

だから私は、貯金の大半を叩いて、「悪くはない生活」から「最高の生活」へと変えることにした。

そう決めてからは早かった。一週間インターネットで物件を調べ続けて、翌週の内見では2軒目であっさりと契約した。在宅勤務中のお昼休みに、近くの役所へ行って手続きをしたら、3歳から住んでいた我が町の転出届がものの10分で発行された。一人暮らしというどこか遠い生活は、想像よりずっと簡単に実現できた。(話は逸れるけど、細かい私用を簡単に済ませられるのが在宅勤務の醍醐味だなと思う。)

もちろん、不安は尽きない。決して給料が良いわけではない会社なのに、社会人一年目から一人暮らしをして貯金はできるのか。(恐ろしいスピードで貯金が減っている)不動産屋には治安の良いエリアだと言われたけれど本当なのか。(ついでに言うと近所がお墓なので霊的なのも気になる)家事や勉強はちゃんとやれるのか。(これは自分次第か)


あとは、実家に残される両親の心配が日に日に募る。私の一人暮らしを反対する両親に対し、「自分の人生を歩ませてほしい」と説得したけれど、実家を離れる直前になって、それは自分のことしか考えていないと反省するようになった。
もちろん、親と子の人生は別物であるという私の考えは変わらないし、一人暮らしを始めることへの後悔は全くないけれど、単純に子どもが2人とも巣立ってしまって(我が家は弟が先に独立した)、寂しいだろうなあと思う。この一週間、私の好物ばかりが食卓に並んでいたのがその証だ。だから、こまめな連絡や定期的な帰省をしようと思った。意識的に親孝行をして悪いことは絶対にないはずだから。


22年間育ててくれた親元で過ごす最後の夜。これまでの記憶が蘇ったり、新生活への不安と期待が募ったり、感情がぐちゃぐちゃなので文章もまとまっていないけれど、今の思いを残したかったので今回はこれで良し!

今夜は星野源のFamily Songを聴いて眠りにつきます。


自分を好きになるために使わせていただきます