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Roots and Routes Vol.7 インタビュー 北村めぐさん - 将来に悩める若者たちへ!

はじめに

Roots and Routesプロジェクトは、今を生きる社会人の人生のRoots(ルーツ)を探りることで、これから進路選択をしていく学生のRoutes(道)のヒントを提供したいという思いで始まった、HLABの新プロジェクトです。 “人生選択”に悩まされる私たちの同年代の人たちの一つの道標になるような記事をみなさんにお届けします。

今回のインタビュアーは、HLAB大学生運営委員のKatherine BarnesとAlexander Alversonで、北村めぐさんにお話を伺います。


北村めぐさん
ニューヨーク大学の4年生。専攻はメディア・文化・コミュニケーション(MCC)、副選考は心理学。アメリカと日本に住んだ経験をもつ。

北村めぐさんのHLABでの経験は、高校生参加者として2016年に始まりました。その後、2017年に大学生運営委員として参加し、翌年ニューヨーク大学に一年間在籍した後に、大学生メンターとして再びHLABに戻ってきました。様々な関わり方でHLABを経験しためぐさんにとってHLABがどのように彼女の体験を形作り、今日の彼女に影響を与えたのかを探ります。

インタビューでは、めぐさんにこれまで経験した様々な成長過程について共有していただきました。特にご友人から、ご両親やメンターから、そしてご自身の経験から学んだ教訓に基づいたお話をしてくださいました。

ご友人からは、学問やキャリアのゴール設定の仕方に加え、違うゴールを掲げる人々のバランスをどう保つかについて学んだそうです。

めぐさんの両親とメンターからは以下の2つの重要なアドバイスをもらったそうです。
1)独自性は各個人を特別なものにする。
2)不快感や困難を感じるとき人は最も成長する。

しかし、その中で最も学びが深かったものは彼女自身の経験からくる教訓だと教えていただきました。学問とプライベート双方における試練や苦難は、自身の生活をコントロールする感覚を養うために非常に重要な上に、多様な学問分野に触れることも大切だと感じさせてくれたそうです。


まずは、めぐさんのお人柄を読者の皆さんにお伝えするために、カジュアルなアイスブレイク質問をさせていただきます!

Icebreaker Questions

生まれ変わるとしたらどの動物になりたい?
→「ナマケモノかな。私はアクティブで社交的だとは思うんですが、たまに熱を使い過ぎてしまうことがあって。なのでナマケモノ特有の落ち着きがほしいです(笑) 彼らはエナジーを温存しながら生きていて、他の動物がどう見ているかなんて全く気にしてないんです。そういうところがちょっと好きです(笑)」
 
もしどこでも移動できるとしたらどこに行きたいですか?(コロナ関係なく!)
→「実はずっとポンペイに行きたいと思っていました。2013年にずっとバスティーユというバンドのポンペイという曲を聞いていたのですけど、それがきっかけで歴史を学びまして。あと曲が本当にロマンチックで素敵で。私は感情的になりやすいタイプではなかったんですけど、ポンペイの歴史と何が起きたかを聞いた時は大きな衝撃を覚えました。あと単純にピザが好きです!(笑)」

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今までこれほど強く学びたいと思ったことはなかった

ーKatherine: まず簡単に自己紹介していただけますか?

私はニューヨーク大学(NYU)の次期4年生で、メディア・文化・コミュニケーション(MCC)を専攻し、心理学を副専攻にしています。大学では、いわゆるJCAという日本文化団体ののリーダーも務めています。アメリカと日本の両方に住んでたのですが、小学校低学年から高校までは日本の学校に通っていました。その日本の高校はキリスト教系の女子校でした。性格的なことだけでなく、英語が少し話せたので、他の子たちとは違うとは感じていたんですけど、結局あまり馴染めませんでした。友達がみんな日本に残って進学する中、私は海外への大学進学を決めました。

あと、私には双子の姉がいて、彼女はいつも私の心強い味方であると同時に、私をもっとやる気にさせてくれるライバルみたいな存在でもあります。2人とも結局アメリカの大学に行くことになって、彼女はCarleton Collegeに進学しています。私自身、今勉強していることが好きで熱中していて、コミュニケーション理論を学ぶために大学院への進学を計画しています。高校では、本当に勉強したいことがなかったのですが、NYUに来てリベラルアーツプログラムに参加した後、自分の専攻を見つけて恋に落ちました(笑)こんなに学びたいと思ったことはなかったので、その直感を信じて勉強を続けていきたいと思います。

「馴染めていない」は褒め言葉

ーKatherine: 素敵な自己紹介をありがとうございます!次に、【これまでの人生のターニングポイントを3つ教えてください。】

1つ目の転機は、2016年に高校生として東京のHLABサマースクールに参加したことです。HLABに行く前は、学校以外の課外活動をあまりしていなかったので、学校以外の友達もあまりいませんでした。そんな私にとって、HLABはとても刺激的な環境でした。それまで、あまり周りに馴染めなかったので「はみ出し者」や「部外者」だと思っていたんですが、HLABに来て、みんなが個性的だということがわかりました。とても居心地が良くて、同時に本当に刺激的な環境でした。プログラム中、メンターの一人と話をしたとき、学校の人たちが私のことを「場になじめないから変な人」と言ってくるとを話したんですけれど、彼は「それは褒め言葉だと思っていいよ。それはめぐが他の人とは違うということで、すごくユニークであるってことだよ。」と言ってくれたんです。今でも彼の言葉を思い出すことがあります。

2つ目の転機はNYUに来たことです。日本人は大きな夢を持たない傾向がある気がします。代わりに小さな目標は掲げているのかもしれません。私もその一人で、大きな夢を見たことがありませんでした。だから、アメリカに最初行ったときには、自分が何者なのか少し分からなくなってしまいました。日本にいた時の私は 「はみ出し者 」でユニークな存在に感じていたんですけど、NYUに行った時は自分はただの日本人でしかいなかったので、1年目は自分を見つけるのに苦労しました。そこで、HLABでの経験を振り返り、さっきのメンターが「自分自身のユニークさを見て、それを常に大切にしなさい」と言ってくれたことを思い返して、なんとか自分の声を見つけようと意識するようになりました。今もう大学に入って3年経ちますが、少しずつ自分の居場所を見つけて、自分の声を見つけることができようになりました。今までは人と比べてしまうことが多かったんですけど、今は本当にやりたいことがあるので、自分の興味や情熱に今後も向き合っていきたいと思います。

3つ目の転機は、私が今現在経験していることです。父がよく幼い頃私に「痛みや不快を感じるときに人は最も成長する」と言ってくれました。「それは成長痛のようなものだ」と。実際、今、私自身快適に生活を送れている訳ではないです。というのも、何が起こるか予測がつかなくて、どこに行けばいいのか見当がつかないし、卒業したら何をしたいの分からなくて、気持ちが少し浮いてます。なので、これをきっかけに自分を鍛えようと思いました。自分の体は完全に自分でコントロールできるものなので(笑)とあるTikTokのインフルエンサーが「自信を内側からつけるのは難しい」と言っていました。でも、自信がすでに自分の中にあるのであれば、内側からではなく、外側から鍛えればいい。だから、私は筋トレを始めて、より健康的な食事をするようになりました。日本では、筋トレは利己的なものと思われがちです。確かに、筋トレは自分の目標に向かうものであって、集団の調和のためのものではありません。ただ、私は自分自身、筋トレを始めたことを誇りに思っています。実際、この数ヶ月で培った自信がなければ、このインタビューに応じることはなかったと思います。

ーKatherine: 筋トレ、そして毎日の日課を持つことが生活を大きく変えて心を健康にすること、本当に同感です。特にコロナ禍の今、大事ですよね。


人にしてもらいたいと思うことをする

ーKatherine: こうした転機を経て、【自分が大事にする価値観や自分を突き動かすモチベーションとなるものは見つかりましたか?】

私は2つの自分の核となる価値観とモチベーションを持っています。端的に、人助けと問題解決です。
1つ目は人助けです。「人にしてもらいたいと思うことは、あなたも人にしなさい」高校生の頃から、私はこの大原則に感化されていました。私はこの考え方を正しいと信じる一方で、それはまた問題をもたらします。他人を助けるために自分の時間と自分を犠牲にしてしまうこともあるんです。私自身、他の人が私にしてほしいと思うことをすれば、彼らは好意を返してくれるだろうし、こうした助け合いは広がるだろうと考えています。それが役に立ったこともあるんですけど、受け身になりすぎて、他人が助けてくれないと腹が立ってしまうこともあるんです。つまり、自分の幸せを維持するためには、自分が何を望んでいるのかをもっと伝える方法を学ばなければならないということに気づきました。そのためには他人に頼るのではなく、バランスを見つける必要があると思います。

2つ目は、問題解決です。私は、目に見えている問題に対して、文句を言ったり代替案を提案しなかったりする人を好ましいとは思いません。例えば、日常生活の中で、誰かが食事に行こうと提案していて、相手が「行きたくない!」と言っても、代替案を提案してくれなかったら、その発言に何の意味があるのかと思ってしまいます。「あれ、一緒に解決する案考えてくれないの?」ってね。私だけが解決策を考えるわけにはいかないので(笑)高校の部活でリーダーだったとき、自分だけが判断していては問題解決がうまくいかなかったんです。他者のアイデアや考えを取り入れるのって本当に大事だと思いました!何かを批判するなら、その人も自分の考えや意見を発言するべきだと思います。あと、私が勉強するMCCや心理学では、問題解決を多く必要とします。MCCは最近発見された分野で、歴史が浅いので、問題解決の方法自体、まだ多くありません。それが好きな理由の一つでもあるので、自分も他の人も一緒にこの分野の問題を解決していけたらいいなと思っています。

壇上から一歩身を引いて、人の話を聴くようになった

 問題解決への情熱は時間が経つにつれて変化してきたと思います。先ほども言いましたが、高校生の時には、他人の意見を取り入れずに、つまり自分1人だけでは問題を解決することができないことに気が付きました。昔は、リーダーとは誰よりも上にいる存在だと思っていました。高校時代、私はリーダーとして、他の人の意見を聞かずに、自分が持っている型に人をはめ込んでいたんですね。そのせいで、部活に積極的に参加する人がいなくなってしまいました。最近では、NYUのJCAの部長になりましたが、自分だけでリードするのではなく、部員の要望に耳を傾けるようにしています。個人的なJCAのビジョンも持っていますが、他の人が別で望むことに特段口出しはしたくありません。70名のクラブには、様々な経歴や目標、入会動機を持った人たちがいるので、みんなが幸せになれるように、みんなの考えを取り入れていきたいと思っています。それは無理かもしれませんが、私がトップである以上、会話を円滑にして、みんながJCAに来て良かったと思えるような環境を探し続けたいと思います。壇上から一歩身を引いて人の話に耳を傾けるようになりました。それが、より生産的な問題解決と協働につながると思います。

ーKatherine: それは本当に大事だと思います。自分のやり方は自分自身にとっては効果があるかもしれないけど、組織全体にとっては別問題ですよね。

夢や情熱は時間の経過とともに変化することがあるので、いつも自分の直感を信じて、今この瞬間にやりたいことを実践するようにしています!

ーKatherine: 【次に、学生として、普段の活動で役立った経験と、逆に役立たなかった経験もあれば教えてください。】

私は毎年夏にインターンシップをして、色んな仕事を試してきました。私はやってみないと自分の好きなことがわからないタイプなので、それぞれのインターンシップに共通するものはありませんでしたが、毎年夏の就活では、自分の直感を信じて、最終的に自分の役に立つことよりも、その時にやりたいことをやってみたんですね。

例えば、1年生の翌年の夏には日本の教育関係の会社でインターンをして、その次の夏にはTime Out Tokyoでライターと翻訳者として働いて、その次の夏にはAppleで営業インターンをしました。Time Out Tokyoでの仕事は楽しかったのですが、インターンを始めて1週間で、自分が思い描いていた仕事とは少し違うことに気付きました。この分野が何なのかは知っていましたが、その仕事が他人からどう見えるか、どう見えるかに気を取られすぎていて、自分の成長や自分のやりたいことを見つけることができませんでした。

こうした経験から、自分の好きなこと、嫌いなことがわかってきたのだと思います。仕事の経験を積んで、自分の興味のある分野を専門外でも評価できるようになったのですが、そのプロセスがあまりにも非効率だったので、うまくいかないこともありました(笑)

ーKatherine:私も研究プロジェクトで同じような経験をしました。自分の研究が全く好きではないことにすぐに気が付きましたが、それでも夏の間はプロジェクトを続けなければなくて。今思えば、この経験からはあまり成長できなかったかもしれませんが、自分の選択肢を絞り込んで、この分野は自分には向いていないのかもしれないと気づくことができました。

ありのままでいることで、結果的に自分が行きたいところに辿り着く

ーKatherine:【これまでの人生で挫折や壁にぶつかった経験はありましたか?】

私が経験した最大の壁は、2年前定期的に起きていたメンタルブレイクです。ブルックリンで友人と待ち合わせをしていた時、私はすでにNYUの2年生だったので、地下鉄がどのようなシステムかを把握していたんですけど、不幸にも、間違った電車に乗ってしまって、終点に着くまで全く気がつきませんでした。一緒に待ち合わせをしていた友人は家にいたので大したことではなかったんですけど、「何してるんだ自分」と思って、ホームに立って泣いていました。私は完璧主義者だから、何かが制御不能になると、思考を停止し、コントロールを取り戻すことが出来なくなるんです。負のスパイラルに陥ってしまう。それは私にとって最も辛い時期の一つでしたね。

高校時代は常に物事の上に立っていたので、たまに迷うことはあっても、多かれ少なかれ自分の人生をコントロールできていました。NYUに合格して、自分の勉強したいことを見つけるという明確な目標を持っていました。ただ、大学に入っても、状況がよくなった訳ではないように思えたんです。インターンを探さなければならないし、授業はどんどん難しくなっていくし、友達と会う時間もない。人生が自分の手に負えなくなって、いつも惨めな気持ちになっていたのを覚えています。

こうした経験を経て、人生は計画通りに行くべきではないことを自分自身がよく理解するための時間が必要であることに気づきました。常に物事を制御することができないことを認めることは実際私にとって難しくて、おそらく今後も障害だと思います。でも、筋トレ、何より自分に正直でいることの実践によって少しずつ克服できているような気もします。まだ始まったばかりで、その過程の途中ではありますが(笑)

ここで大学院の出番です。もし駅での出来事がなかったら、この3年間、同じネガティブな考えを自分に言い聞かせていたと思います。今は、ありのままでいつつ、自分を外に出すことで、たとえ完全にコントロールできなくても、自分の行きたいところにゆくゆく辿り着けることを知っています。もっと自分に正直になって、自分のやりたいことを省みるようにしています。

ーKatherine: めぐさん、自己発見とアイデンティティ探しの旅に関する貴重なお話、本当にありがとうございました。めぐさんの人生の中で成長がどのように起こったか、また一人一人がユニークであることを理解することの大切さについて伺うのは本当に学び深かったです。

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まとめ


 めぐさんの話を直接聞いて、私が学んだことは、自分を支えてくれる友人やメンターがいることが大切であり、その代わりに自分も周りを支えることができているということです。日本人でも外国人でも、色々な人にアドバイスを求めることで、考え方が変わることがあります。しかし、最も強力な教訓は自分自身が経験するものであるということを学びました。そのためには、新しいチャンスに対してオープンであり続け、これまでの自分の人生を批判的に振り返ることで、最高の教師である自己から学ぶことが大切だと実感しました。


おわりに


Roots and Routes プロジェクトでは、今を生きる社会人の考え方や過去の経験をお聞きして、若者の進路選択のヒントになる記事を作っています。
コロナ禍で先行きが不透明な世の中だからこそ、読者の皆さんに寄り添った記事にしていきたいと思います。これからコンテンツもお楽しみに!

HLAB公式サイト:https://h-lab.co/


今回のインタビュアー

Katherine
Wellesely Collegeの4年生
Alexander
Brown Universtiyを今年6月に卒業


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