外国人ラグビー選手の権利はどうなっているのか?

 昨日、ラグビーファンにはショックな記事が英文ラグビーニュースサイトに掲載されました。清水建設ブルーシャークスに在籍していたニコラスクラスカ選手を巡るものです。

 ご本人はインスタ等で既にアップしていたらしく、「何事かが起こっている」ことをご存じだったファンの方はある程度いらっしゃるようですが。


 英文なので、簡単にサマリーを和訳しました(他の選手に関する部分は省略してあります)。

(以下サマリー)

・編集部として、選手の待遇に直接影響する問題なので慎重に取り扱ってきたが、他のソースからも似たような話を聞いたのでニコラスクラスカ選手の記事を掲載することにした。以下は本人の文章(verbatim)。

・他の日本のチームと異なり、清水建設ブルーシャークスの外国人選手は、チームと直接契約するのではなく、Tokyo Athletic Unitedという別会社と契約する。これは清水建設が法的問題やスキャンダルに巻き込まれるのを防ぐため。この会社は四宮洋平元選手(訳注:関東学院大卒の大型ウイング。日本代表キャップ3)によって運営されている。四宮氏の肩書きはHigh-Performance Manager。もう1人、Chief Directorのニキタカヒロ氏がいる。

・東芝時のサラリーとは65%のダウンだったが、2019年の3月に清水ブルーシャークスと契約した(原文ママ)。その際、いいプレーをして翌年再契約すればサラリーは大きく上がる(significant increase)と約束された。契約時は、「税抜き」の金額を言われたが、契約後は半分以上の税金、60万円を負担するよう言われた。Tokyo Athletic United側からは、社会保険料を払わないことを提案されたが、それは代理人から違法行為と言われた。

・最初の給与受け取りの時、給与明細が付されていなかった。給与明細を要求したところ、四宮氏側からは、もし給与明細を要求するなら解雇すると通告された。自分は法的観点からの疑問を持ったが、奥さんが最初の子供を妊娠していて、母国のフランスから遠く離れていたのでその点には目をつぶることにした。

・最初のシーズンはいい成績だったので、2年契約と20%のサラリー増額の提案を受けた。当初の約束には満たない金額だったが、条件としては悪くないのでその契約を受けた。しかし、契約で合意した一週間後、四宮氏側が自ら提案した契約を拒否。サラリー増額を10%にすると通告してきた。また、住居費や航空券代などの詳細の中で、税金の取り扱いが不明瞭であったため、なぜこんな金額になるのか質問したところ、同じ質問をするなら契約更新を打ち切るとの回答。

・だまされたと感じたが、家族ともに日本での生活とラグビーが気に入っていたので、再び目を閉じることとした。

・シーズン終了後フランスに帰国したが、その間に新型コロナウイルスが流行した。チームからは「三日以内に帰国しなければ解雇する」との通告を受け、航空券を変更して急きょ来日した。

・奥さんが二人目のお子さんを妊娠していたが、日本での出産は経済的に難しいので、9月上旬から11月までフランスで出産に立ち会うことを計画していた。

・そんな中、日本のリーグがアジア枠を見直すという情報が入ってきた。自分は該当者なので、クラブの対応を知るために代理人を通じて四宮氏等に連絡したが無視された。打ち合わせの日程で合意したのに彼らは来なかった。

・3月16日、代理人より連絡があり、3月28日に失効するビザの更新手続きを四宮氏らが止めているとの連絡を受けた。現在、新規ビザの取得は難しく、これは移籍を阻止するためのものだということが数日後にわかった。

・奥さんが妊娠し、1歳半の娘がいるにも関わらず、10日間で日本を退去しなければならなくなった。ガス、電気、インターネット、電話、住民税支払いなどをその間にやらなければならなかった。

・その10日の間、毎日顔を合わせているにも関わらず四宮氏らはなにも説明しなかった。更に、彼らはボーナスの支払いを拒もうとしているのがわかった。

・例えば、上位4位に入れればボーナスを得られるはずだった。ところが、ニキ氏は上位4位に入った上でトップリーグのチームに1勝するのが条件だと言い出した。私は動転してコーチ、ビデオアナリスト、通訳、選手たちに確認したがみな上位4位が条件で、ニキ氏は嘘をついているといった。

・フランスに帰国する前に、彼らは(ニコラス氏の)契約違反を認める書簡にサインするよう要求してきたが私は拒否した。3月24日にパリにつき、25日に経験したことを簡単にツイートした。

・そのツイートが四宮氏らの耳に入り、私の代理人に連絡してきた。ボーナスを受けとりたかったらツイートを削除し、感謝のメッセージを書けと言うのだ。

・脅迫を受けながら、現在の世界情勢を考慮して私は諦め、見返りを得ることにした。

(以上)