自信をつけて進化が進むチームとやや停滞感のあるチームの戦い:ラグビーリーグワン スピアーズ対ヴェルブリッツ(2022年2月26日)
今日は江戸川陸上競技場でラグビーリーグワン スピアーズ対ヴェルブリッツ戦を観戦。どちらも観戦するのは3試合目になる。
実は今日は熊谷でワイルドナイツ対サンゴリアス、鹿島でアントラーズ対フロンターレという2つのビッグマッチが行われる日。
最初はどちらかに行こうと思っていたのだが娘の小学校の授業参観・保護者会の日と重なっていたので諦め、チケットを取っていなかった。
しかし授業参観・保護者会が中止に。「行けるじゃん」と思ったがもうチケットがほとんどない状況。
そこでツイッターのフォロワーさんから、「江戸川の「NISHIO "V" シート」の最前列が余っている(行けなくなった)ので譲っていただけるとの話が。
大変ありがたい話で、譲っていただいて観戦できることになった。
さすがのグラウンドレベルの最前列。凄い迫力だった。
途中までは接戦だったが・・・・
最終スコアは41-20(前半17-10)。全般的にはスピアーズが押していた試合だったが、前半は1トライ差で折り返し。後半もスピアーズが攻めていたが、ライオネル・クロニエがインターセプトからトライを奪って20-17と3点差に迫る。
しかし終盤にスピアーズが立て続けにトライを奪って突き放して最後は21点差の完勝だった。
後半20分くらいまで接戦でも、終盤突き放されるのは力の差のある対戦でよくあること。実際、この試合ではスピアーズとヴェルブリッツの、チームとしての戦い方の成熟度がはっきりと感じられた。
ダイレクトタッチやノットストレートなどのミスも多く、やや「ぶつ切り」感のある試合ではあったが。
攻撃の「幅」が狭いヴェルブリッツ
特に感じられたのは攻撃の「幅」の違い。実は今日のレビューのタイトルは「攻撃の『幅』の違い」としようとしたのだが、同じような題で前にもレビューを書いたのを思いだした。
改めて読み直したが、今日感じたことと全く同じだ。フォワード戦、ブレイクダウンでは互角。
しかしボールを持っているときのアタックの「幅」が小さく、ある程度継続はできるものの、決定的なゲインをなかなか得ることができずに、ブレイクダウンを繰り返すうちにボールを失ってしまう。キックも織り交ぜて攻めていくものの、バーナード・フォーリーやゲラード・ファンデンヒーファーに切り返されてむしろ押し返されてしまう。
奪ったトライは2つ。
しかしそのうちの1つはスピアーズが攻めているところのインターセプトから走りきって奪ったトライなので偶発的なものに近い。
もう1つは、ラインアウトからのモールによるもの。ただしこのラインアウトは、ダブルライン攻撃からバックドアのウィリー・ルルーを走らせてのビッグゲインが起点。これまで見た試合の中でヴェルブリッツはあまりダブルライン攻撃を使わない。今日もそうだったが、数少ないダブルライン攻撃が上手く決まったのがこの時だった。
しかし、基本的にはクラッシュしてブレイクダウン、と言うのが中心なので、ディフェンスとしては守りやすい。ブレイクダウンで絡んで球出しを遅らせ、きちんとノミネートすれば大きく突破されることはない。キックの有効利用を含め、クラッシュ以外の戦術を整備していかないと、今後も苦しい戦いが続くと思われる。
去年から正常進化を続けるスピアーズ
一方のスピアーズの攻撃はより「幅」が広い。クラッシュもあるし、ダブルライン、トリプルライン攻撃もある。この多彩な攻撃を支えているのがフォーリーと立川理道と言う2人のゲームメーカー。
時に入れ替わってフォーリーがバックドアの位置につく。
こうして縦にゲインを刻んでいくと、ディフェンスが中央に集まってくる(グルーピング)。そこでタッチライン際に立たせたウイングやフランカーにボールを一気に送り、ビッグゲイン。
そこからのペナルティや、内に走っているサポートランナーにパスしてのトライと言う形で、スピアーズは得点を重ねていった。キックも有効に使えており、着実にテリトリーを進めることができていた。
ディフェンスもヴェルブリッツのパワフルだがややもすれば単調になりがちな攻撃を着実に止め続けた。
スピアーズ、開幕からしばらくはややつかみ所がないチームと言う印象だったが、去年の戦い方を確実に進化させている。それに、ベスト4となったことが自信となっていて、自分たちの方向性が間違っていないと信じながら戦えているように見える。
今年はコロナの中止のために勝ち点がばらついているが、やはりチーム力的にはワイルドナイツとサンゴリアスが抜けている。このトップ2チームの争いに割って入ることができるチームはどこか。今の段階ではスピアーズが最右翼だろう。