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三笘へのパスを防げ!:川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ戦(5月30日)<1>

 今週末は3ヶ月ぶりに全く観戦のない週末。次の観戦予定は願わくばオリンピックと言いたいところだが。

 ラグビーの決勝を書き終えたので、観戦したけれどレビューをまだ書いていないのはあと3試合。

 時系列をひっくり返して、今日はその中でも一番最近やった5月30日の川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ戦を。さすがにこのカード、非常に白熱した試合だったので早くレビューを書きたくなったからだ。

 去年の2回目の対戦はアウェイだったが、アントラーズに新型コロナ陽性患者が出てしまったので、直前まで試合実施が危ぶまれる中での開催だった。しかもアントラーズはまさに陽性判定や濃厚接触者のために、この日の試合に出場した永戸勝也や町田浩樹を欠いての試合だった。それでもやはり素晴らしい試合になり、1-1の引き分け。

5月30日の試合はそれ以来の対戦だ。

4-2-3-1とのかみ合わせだったが

 スタメンは以下の通り。

 かみ合わせてみるとこんな感じ。

 フロンターレはいつもの4-1-2-3で、アントラーズは4-2-3-1。このかみ合わせだと、中盤が1対1の潰し合いになることがある。例えばマリノスとの対決がそうなった。

 しかしこの試合はそうはならなかった。フロンターレがボールを保持しているとき、アントラーズは4-4-2で守ったからだ。つまり前線の2人、上田と小泉が横関係になる。


中盤での圧力が弱かった前半のアントラーズ

 この2人は、2人でシミッチをマークするのでもなく、センターバックに激しいプレッシャーをかけるでもなく、センターバックとシミッチの中間的な位置に立つことが多かった。そのため、なんとなくプレッシャーが中途半端になり、シミッチに自由なプレーを許した。

 同時に、ピトゥカが、旗手をマークすると言うより三笘へのパスコースを塞ぐ位置に立つ。これはピトゥカじゃない場合もあるが、基本的に三笘へのパスコースを塞ぐことが強く意識されていた。その分、旗手へのマークが甘くなった。


 さらに、シミッチへのマークが曖昧だったのでシルバは田中碧とシミッチの両方を見なければならなくなり、田中碧へのマークも甘くなった。

 特に田中碧が最終ライン近くまで落ちてしまうと、誰がマークするか完全に曖昧になってしまい、山根と家長が高いポジションを容易に取ることができた。前半はその形から再三ゴールを脅かし、先制ゴールを奪うことになる。

 こう言う形で、アントラーズはフロンターレのインサイドハーフへのマークが甘く、ハーフスペースをほぼ自由に使われていた。その結果前半のポゼッション率64対36となり、フロンターレが優位に試合を進めていく。

三笘へのパスコースを塞ぐことを重視した?

 ただし、アントラーズは全く考えなしにそういう形のディフェンスを準備したわけではなかったようだ。フロンターレビルドアップ時のフィールド写真を見る限り、ボールホルダーと三笘の間のパスコースに必ず誰かが立っている。

 そう考えると、この日の前半のアントラーズディフェンスは、三笘を抑えることをメインテーマにしていたように思われる。

 実際、2分(登里から)、11分(旗手から)、14分(谷口から)、21分(登里から)には三笘へのパスをインターセプトしている。わずか20分あまりで4回というのは普通では考えられない数字だ。

 この日、三笘に対するディフェンスとしては、ドリブル突破を許さなかった常本佳吾が脚光を浴びたが、ディフェンスのストラクチャーとして三笘対策をしっかりと組み立てていたことがうかがえる。

 これは、ボール奪取マップを見るとよりはっきりとわかる。今日はこれくらいにして、次回、ボール奪取マップを分析してみる。

(続く)




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