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MWC20中止でもバルセロナへ、ファーウェイが唯一の発表会を実施

◆◆◆山根博士の「スマホ取材の裏側」Vol.105◆◆◆

■記事執筆情報はこちら【山根博士のモバイルネタ】

【1】MWC20は中止、ファーウェイの発表会を取材

例年2月は1年で最大級のイベントであるMWC(旧Mobile World Congress)の取材でバルセロナへ行きます。ちなみに私はいつも東京発香港経由ヨーロッパ(ロンドン入りが多い)のキャセイを買いますが、これが直前でも運賃は安め。大体10万円から14万円くらいなのです。

もちろん早めにカタール航空などを買えば6万円くらいで行けることもありますが、直前までスケジュールがどうなるかわからないのでギリギリまで買えないのです。昨年は直前にサムスンの発表会があって大変でした。

さて今年は別の理由で航空券がなかなか決められませんでした。新型コロナウィルスの影響です。MWC20 Barcelonaがまさか中止になるとは思ってはおらず、どうやってヨーロッパへ向かうかを考えざるを得ませんでした。というのもイタリアが香港からの空路を停止。万が一これが他のヨーロッパ諸国に広がると、香港からのキャセイでのヨーロッパ入りができなくなります。そもそもキャセイもフライトを運休してしまうでしょう。

ということでMWC開催の2月24日の14日前に香港を出ていたほうが安全だろうということで、1月下旬の旧正月のころから日本に来ていたのですが、一度香港に戻るのを取りやめて日本にそのまま滞在したのでした(なお2月11日はサンフランシスコでサムスン発表会でしたが、これも香港発ではなく東京発に変更)。

さて香港問題が片づけはあとはなんとかなると思いきや、MWC20がまさかの開催中止に。エリクソンやノキアなど大手企業がや続々と参加を取りやめたこともあり、最後はそちらに押し切られた格好のよう。ファーウェイとZTEは逆に最後まで開催をサポートしていたようですが、MWCも2月10日に「湖北省からのMWC来場禁止、中国からは14日以内の滞在の場合も同様にアウト」と決定。これで多くの中国企業が事実上参加できなくなりました。

ちなみに最後までMWCの不参加を表明しなかったのはファーウェイやクアルコム。クアルコムとしては2020年が「5G加速の年」であり、Snapdragonの5Gプラットフォームを搭載する端末が多数MWC20に出てくることから最後まで出展したいと考えていたのでしょう。一方ファーウェイも5Gインフラでアメリカの制裁にヨーロッパが反旗を翻しだしたことから、MWC20で存在をアピールしたかったのかなと。5Gインフラシェアはもしかしたら半数に達しているかもしれません。

まあ結局MWC20が中止で出展を予定していた企業は何もできなくなりましたが、ファーウェイは個別にMWC20前日の2月23日に端末の新製品発表会を開催予定でした。そちらもギリギリまで中止連絡はなく、果たしてどうするかと思っていたら2月24日に日にちをずらして開催決行となったのです。

ちなみに多くのライター陣がFIXの航空券を買ったりホテル予約をしていたためにMWC20が中止になってもバルセロナ入り。まあホテルで仕事すればいいのでしょうけど、日本の方々は普段の日本の取材もできなくなるということでやや踏んだり蹴ったりな感じ。とはいえバルセロナでゆっくりできるというのはなかなかないので、観光がてらに来るのはありかと思います。

そのファーウェイの発表会は、参加人数が例年の半分以下。本来ヨーロッパ向けの発表会という位置づけに変更したようですが、フリーランスの多い日本からの参加者が2桁超えということで急遽本社からもPR担当者が現地入りしました。そのおかげでリチャード・ユーCEOへのインタビューもできたので、ファーウェイ関係で記事数本が書け旅費の一部に割り当てられたのはラッキーなこと。お金のことを抜きにリチャード・ユーCEOから話を聞けたのは大きかったです。

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ちなみにインタビューでは、ファーウェイの独自のAndroid向けサービスであるHMSや、自社開発のHarmonyOSの熱い会について、ユーCEOは「あくまでもグーグル(GMS)が使えないから」という説明をしていました。つまり制裁解除となりGSMがOKとなれば、HMSにこだわる必要は無いという考えです。HarmonyOSについてもIoT向けに使われ、スマートフォンへの搭載は今は考えていないとのこと。Android OSのエコシステムに優位性があるからとのことです。

ユーCEOはどうしても発表会をやりたかったようで、14日前にすでに中国を出発済み。やはりサムスンが2月11日に発表会をやって成功しただけに、遅れを取るならともかくここで発表会をやらないと3月の「P40」(仮称)を発表する間に差を広げられてしまいます。しかもサムスンは折りたたみの新タイプを投入しましたし、メインラインのスマートフォンGalaxy S20シリーズは3モデルとも全5G対応です(国によっては4G版が販売)。

発表会はあらかじめステージで登壇したユーCEOのビデオを流すという今までにないやりかた。しかしあとからオフィシャルのYouTube動画を見るとかなりきれいで、これはこれで十分ありでした。しかし発表会だけでは物足りないはずですよね。しっかりと実機にタッチ&トライもできたので収穫はかなり大きかったです。

しかし改めて投入された折りたたみ式の「Mate Xs」は「Mate X」とほぼ変わらぬ形状で、SoCの向上と新UIが売りになるよう。発表会ではディスプレイ部分の強度が強くアピールされたので「ディスプレイ面も硬くなったのか」と感じたのですが、タッチ&トライ時の説明員からはMate Xとの差の話は聞かれず。でも触った感じではMate XsのほうがMate Xよりか硬く感じられたんですけどねえ。

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さてと、今月も更新がままならぬまま月末をむかえてしまいました。もう1本くらいかきたいところですが意外とバルセロナでネタを仕入れており記事執筆に追われています。ひとまず今回の分は全文無料公開。来月また頑張りますのでよろしくお願いします。

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