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クラシコムサロンvol.13を反芻する

今回、ブランディングに関するウェブセミナーの参加の機会があり、そこでインプットした知識とわたし自身にかけめぐった思考をアウトプットをしたく執筆をしている。

最初に断っておくと、わたしは今まで7年半法人営業一筋で、ブランドマーケティング未経験者である。(なので解釈に誤りがあれば指摘していただけるとありがたい。。)
ただ、今後ベンチャー企業に転職を控えているため知見を広げたいと思い、このウェブセミナーを受けることを決めた。
この記事の一番の目的は自分自身への知識定着としているが、同時にわたしのようなブランドマーケティング未経験者でも興味がある方や、件のセミナーが少し難しかった、、と感じる方にも初心者目線で説明を添えているので少しでも役立てばよいと思う。(もちろんセミナー受講できなかった方にもぜひ読んでほしい。)

クラシコムサロンvol.13について

まずはクラシコムサロンの紹介から。
これは㈱クラシコムという、ヒトが自分にフィットするライフスタイルに出会う機会を創出することを目的に、Webサービス・広告事業を展開している企業(「北欧暮らしの道具店」を運営)が主催するトークイベント。

普段はリアルでのセミナー形式をとっているが、7月27日に開催されたvol.13はご時世柄ウェビナーという形を取ったとのこと。テーマ、スピーカーは下記のとおり。

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音部氏、青木氏をスピーカー、菅原氏(以下親しみを込めてすがけん氏)をファシリテーターとして進行された。50分という限られた時間であったが、経営者たちの知恵と熱い思いが詰まったそれは濃密な時間だった。

が、ブランドマーケティング未経験者のわたしが業界トップを走る方々のお話をすんなり理解できるわけもなく、わたしは消化不良を起こしていた。
そんな中、stand.fm(音声プラットフォームアプリ)で幸いにもつながることができたファシリテーターのすがけん氏に、stand.fmのライブ配信を通して直々にセミナーを一緒に振り返っていただく会を設けてもらったのだ。(こんなに贅沢な機会が他にあるだろうか!)その会は、同じくstand.fmで知り合ったジュエリーデザイナーのまりかさんと二人で、質問者という立場で臨ませていただいた。それが8月13日のことである。

実はこれが事の発端で、わたしはnoteを始めるに至る。(振り返り会の際、この内容noteに落とし込みます!と見切り発車)


次の章からセミナー中に提供された3つのテーマで話題に上がったキーセンテンスの紹介にわたしの思考回路を添えてお伝えする。
※要約が目的ではないため、徒然ない文章にはご容赦いただきたい。

テーマ1.(問題提起) これからの日本を(あえて)悲観的にみた場合、ブランドマーケティングに起きることは?

まずこのテーマを問題提起としてすがけん氏が二人に投げかけた。わたしは当然、この前提のもと二人なりの解が聞けるものと思い答えを待っていたが、とんでもなかった。
青木氏:「そもそも、悲観的に考えられないんですよね…笑」
当時視聴していたわたしは目を白黒させてしまったのだが、ファシリテートをするすがけん氏も「リハーサルと違いすぎてギョッとした」と事後おっしゃていた(笑)。 それはそうだろう。
ただ、すがけん氏は付け加えて、「前提すらも疑問視して最上を求めていけるからこそ、よい経営者なんだ。」と。
わたしは問に対してしっくりくる解を与えられないとモヤモヤとしてしまう質なのだが、この振り返りの際、問に対して愚直に解を求めることばかりが最上ではない、ということを知ることができた。これはテーマとは少しずれるが、大きな価値だと思う。


さて、本題に戻る。
青木氏の「悲観的に考えられない」というのは、2つ意味があったように思う。1つは、現状を前提に組み込んだ上で思考するから。もう1つはコロナウイルスのパンデミックや人口減少といった所謂”悲観的な事象”を、様々な側面を持つ現象=消費者に様々な行動を起こさせる現象としてとらえるため、そこからチャンスを見つけられる。だからこそ悲観的ではなくポジティブにとらえられる、とのこと。

「現象と現象の間に消費者行動を入れる」
これは、そんな場面で出てきたセンテンスだったと思う。
例えばこの半年でリップの売上が落ち込んだ理由を「コロナだから」と大雑把に括るのでなく、「コロナの感染対策で、人がマスクをするようになり、また在宅ワークで人と会わなくなった。マスクに色がつくし、人に見られるわけではないので、リップをあまり使わなくなった。その結果リップの売上が下がった」のように具体的な消費者行動を現象と現象の間に落とし込みをすることが大切、という表現。
確かに、コロナだから...と現象や要因を大雑把にとらえてしまうと、もっと小さな人々の衝動や欲望を見逃してしまう。売上回復のための隙やチャンスがそこにあったとしても、みすみす逃してしまうことになりそうだ。
これができれば、状況が変化していっても的確に現象をとらえることができ、ブランドマーケティングにも適応させられるようになる。

「人と人との繋がりが断絶することで、ブランドが介在できなくなっている」
コロナ禍で起きている事象。多くのモノ・商品が”Social Presenceの中で必要なモノ=無人島ではいらないモノ”のため、自粛等で人との繋がりが断絶することがある今、危機に立たされているブランドがある。先ほどのリップの売上減少もその事例である。(人に認知されないのであれば、社会的に必要でないのでれば、それは不要だよね…となること。)
とは言え、人との接点が減った今こそニーズが高まっているモノもある。例えばわたしは家で料理をする機会が増えたので、せっかくなら見た目もいいご飯を食べたい!ということで、ちょっとイイ食器を購入した。
繋がりの中でなくても、自分自身をモチベートするため、リラックスさせるため等に必要とされるブランドへの注目が高まっていると感じる。

「デジタルに期待される役割が変化している」
「効率化<<<エモーショナル」
前述の人との接点縮小によって、デジタルの主戦場が変わってきている。今まではデジタルといえば利便性・自動化が大半の役割を占めたが、コロナ禍ではweb接客のようなサービスも出現し始め、よりエモーショナルな役割が重視されるようになってきた。

テーマ2.(解決策の模索) 1,000万人に1回ではなく100万人に10回選ばれることの重要性とは?

最初に、「1,000万人に1回選ばれること」と「100万人に10回選ばれること」は何を示しているか、わたしなりの理解を述べたい。
これはただ市場と消費を数値化したわけではなく、市場の背景・人々のニーズの変化にリンクしている。

「1,000万人に1回選ばれる」
メディアと言えばテレビほぼ1本だった過去、CMを流して大々的に認知してもらい、できるだけ多くの人に商品を手に取ってもらうことが戦略だった。情報リソースがテレビに限られているため、人々のニーズも画一的、つまり広めるが勝ちの世界。

「100万人に10回選ばれる」
日本の人口減少により市場が縮小しているため、1,000万人(という大きな市場規模の数字の例え)の前提が崩壊し始めている。加えて、メディアがテレビ・YouTube・Twitter・Instagram等々多様化していることにより、人々の行動・ニーズも多様化・複雑化している。このバラけた市場で生き残るためには1回ではなく10回選んでもらう(=リピートしてもらう)ことが必須。

1,000万人×1回=1,000万回=100万人×10回で、合計購入回数はかわらないものの、過去の1,000万人という前提条件をより現実的な数字にした時、スタート地点が100万人になる。そこで同じだけの回数選ばれるには、以前と変わらず1回の購入では足りず、10回リピートされなければいけない。
トークセッションで、上の仕組みがどのように語られたか、以下で具体的に紹介したい。
(商品の流れ)         ▼
認知→→→トライアル→→→リピート
音部氏曰く、マスブランドでトライアル(1回の購入)でペイする商材はほぼなく、利益を上げるにはリピートされることが肝心とのこと。つまり、新商品の開発コスト・広告コスト等の製品の原価だけでない+αのコストがあるため、リピート購入してもらうことでやっと利益が出るということ。

「ブランドマネジメント」

トライアルに繋がらない認知、リピートに繋がらないトライアルは無駄コストとなり企業を消耗させるため、
いかに正しい人(ブランドが解決できるニーズを持ってる人)に商品を届けられるかが大切。

「長くファンと付き合うために定番商品を磨く」
商品を届けるべき人にそれが届き、リピートやフィードバックを重ねることで、商品がより良くなる=プロダクトが成熟していく。
企業は得た利益を成長投資に回し、より良いモノを提供し続けることで選ばれるようになっていく。

愛されるモノを生み出すことで、手に取った人だけなくブランド自身も洗練され成長していく。素敵な関係性だ。
(もちろんファンに耳を傾けることをしたブランドに限られる)

テーマ3.(具体的な進め方) 今後のブランドやマーケターにとっての選ばれるブランドの作り方とは?

青木氏が述べていたのだが、恐らく多くの方が知りたいであろう「強いブランドが満たしている条件」をご紹介したい。

強いブランドが満たしている3つの条件
1.売り方がうまい
2.売るプロダクトがイケている
3.そのブランドをやる動機が良い(はっきりしている)

商品そのものがいいモノで、広告や販売方法も良くても、3つ目の、そのブランドをやる動機やPurpose(存在意義)がしっかりしていないと長く愛されない。

「消費者理解」
例えば、消費者を”30歳主婦の女性”とペルソナ化することは、しばしばマーケティング事例で見られるが、これは本当の意味で消費者を理解しているとは言えない。その人がどの自我(妻として?母として?)で、どのような心情で、どのようなライフスタイルの中でそれを選んでいるか。ブランドのPurpose(存在意義)はその消費者のどの自我にフィットしているのかを考え抜き、見極めるのが大切。

売る動機、存在意義、事業する側のアイデンティティなど様々な言葉で説明されていたが、すがけん氏は、このコアが洗練されていれば、極論ブランドが変化しても消費者は離れないと言う。

消費者のニーズに応え続け、成長し続けるために、常に存在意義=原点に立ち返りながら、その想いに寄り添うようなよい良いモノを生み出し磨き上げることが、選ばれるブランドを作り上げるのだと思った。

終わりに

セミナーの中でも無限大の広がりと可能性を見せた今回のトピックをわたしにまとめ上げることは難しいと理解している。そのため要約やセミナー内容全般を求める方は、クラシコムサロン公式の記事をお待ちいただきたい。

今回、ブランドマーケティング・経営のトップを走る方々の思考に触れることができた。二段上の目線で仕事ができるといいとは言うが、数段上の目線を垣間見るのもきっとわたしの血肉になるだろう。

結びに、ブランドマーケティング未経験者のわたしの拙い表現をお読みいただいた方に感謝し、筆を置く。




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