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ディフェンスのキーワードは「中を固めて外から打たせる?」 〜11月を振り返える〜

この記事は川崎ブレイブサンダースAdovent Calendar 2018の第7日目に寄稿するものです。

こんにちは!フォアリュッケンと申します。川崎ブレイブサンダースのアドベントカレンダーには初参加となります。よろしくお願いいたします。

さて、川崎ブレイブサンダースはここまで19試合を終え11勝8敗で中地区の2位につけています。

ここまでの戦いを皆さんはどのように感じていますでしょうか。

私は、なかなか波に乗り切れない時期もあった中でよく勝ちを拾っているなという印象を持っています。

今回のnoteではそんなブレイブサンダースの11月の戦いをデータを見ながら振り返っていこうと思います。ちなみに10月の戦いはこちらのnoteで振り返っております。

明日から始まる12月の戦いに向けて、このnote が少しでも観戦の足しになればと思っています。


目次
1. ファジーカスの復帰はやはりチームを変えた
2-1. 失点数が増加した11月のディフェンス
2-2. 数字をもって守り方の変化を追ってみる
2-3. おまけ 「同じグラフを別の角度から眺める」
3. 12月に向けて



1.ファジーカスの復帰はやはりチームを変えた

10月を5勝5敗で終えた川崎が11月に6勝3敗の成績を残せた要因は間違いなくオフェンスの改善です。この改善をもたらしたのは10月の振り返りでも書きましたが「ファジーカスのスタメン復帰」でしょう。このことを裏付けるデータをご紹介します。

10月はオフェンスの数字が良くありませんでした。特にファジーカスのプレータイムが短い1Qの平均得点の低さはかなりのものでした。

実際、ファジーカスが初スタメンを飾る琉球との第2戦の前の9試合では、1Qの平均得点が11.4点でした。それがファジーカスがスタメンに復帰してからの10試合では19.3点と大きく改善されました。

これによって1Q終了時の成績もファジーカスがスタメンでない9試合が3勝6敗だったのに対し、スタメン復帰後の10試合は6勝3敗1分と大きく変化しました。

増田林太郎さんによれば最終的に勝利したチームの73.9%が1Q終了時にリードしていたとあり、最終的な勝敗に少なからず影響を与えるとされる1Qの成績が良くなったことは11月の成績に見事に結びついたといえるでしょう。


ファジーカスのスタメン復帰」によって1Qでチームとして点数を重ねられるようになり、追いかける展開が少なくなったことで安定して勝利できるようになったのだと思います。これが11月に貯金を3つ作れた1番の要因といっても過言ではないでしょう。(もちろん、ファジーカスとともにスタメン起用されるようになった藤井の存在も忘れてはいけません。)



2-1.失点数が増加した11月のディフェンス

オフェンスの数字が改善されたことにより、6勝3敗と貯金を作った11月でしたがディフェンスの数字はどうだったのでしょうか。

10月の平均失点→70点
11月の平均失点→77点

と平均失点を見ればディフェンスの数字はやや悪くなっているということがわかります。

では、平均失点数が7点増加した要因は何なのでしょうか。

それは「3Pによる失点の増加」です。

10月と11月を比較すると、2Pによる失点数は43.6点で変わらないものの、3Pによる失点は10月が17.1点・11月が22.7点となっています。11月の平均の失点数が7点増加したうちの5点が3Pからの失点でした。ちなみに、残りの2点はFTからのものでした(10月9.5点・11月11.3点)。

それでは3Pによる失点数およびFTによる失点数が微増にはどのような理由が考えられるのでしょうか。

私が思うのは「富山戦を境に、極端に中を固める守り方になっていった」という理由です。

川崎が極端に中を固めて外から打たせる守り方をしているということは先日の栃木戦で解説だった佐々木クリスさんが言及していました。また、11月26日放送の「熱血解剖Bリーグ」の中でも取り上げられていました。

私がこのことを感じるようになったのは、富山戦からです。一方でその前の琉球戦や大阪戦はむしろ中をやられているなと思っていました。具体的には、並里や合田・畠山などにドライブから簡単にゴール下まで切り込まれてそのままレイアップされるというシーンがとても印象に残っていました。

この2カードを経ての富山戦だったのですが、富山にはスミスがいました。彼に対応しようと思えば中を固める必要があります。川崎はマークマンだけではなく他の選手が積極的にヘルプに行くことでスミスをどうにか抑えようとしていました。

そして、この守り方をこの後の試合も継続していきました。具体的には、北海道戦でのドブラスに対して何度もダブルチームに行く場面や後述する東京戦のGAME1とGAME2の東京の攻め方の変化が挙げられます。

11月にはこのような経緯による守り方の変化があったと考えます。その背景には「スミスへの意識」があったように思います。その結果として、3Pからの失点が増えたのではないでしょうか。



2-2. 数字をもって守り方の変化を追ってみる

それではここでそれを検証してみようと思います。「富山戦を境に、極端に中を固める守り方になっていったのではないか!?」ということを2つのデータでもって見ていきたいと思います。

1.相手の3Pシュートの本数が富山戦前よりも後の方が多い。

外から打たせるようになっているということは3Pシュートの本数が増えることが予測されます。

2.総得点に占める外からのシュートによる得点の割合が高くなっている。

外からのシュートというのは3Pシュートだけではありません。ペイントエリア(以後PA)の外からの2Pシュートもある程度の距離からのシュートとなります。これらのシュートによる得点が増加していれば、中を固めて外から打たせるという守り方になっていっているということが予測されます。

まず、相手チームのシュートの内訳から見ていきましょう。

グラフが表しているのは、千葉戦〜大阪戦までの12試合とホーム東京戦〜栃木戦までの6試合の3Pシュート・2Pシュートの割合です。数字は1試合平均のシュート本数となっています。

シュート本数の平均を見ると富山戦後は3Pシュートが2本ほど多く打たれている一方で2Pシュートは4.6本ほど抑えています。

次に対戦相手の得点の内訳を見てみましょう。

このグラフは、総失点の中でそれぞれのシュートによる失点がどのくらいの割合を占めているかを表したものです。富山戦前の12試合でいえば、ペイントエリア内の得点が約半数を占めています。一方で、富山戦後の6試合はペイントエリア内の得点の割合が11%ほど低くなり、アウトサイドからのシュート(PA外の2Pシュート+3Pシュート)による得点の割合が最も高い44.5%になっています。

2つのグラフから読み取れることは「富山戦を境に『極端に』と言えるほどではないが中を固めて外から打たせる守り方に若干なってきている」だと考えます。


「極端に」と言い切れない要因は3Pシュートの本数も2本ほどしか増えていないところにあると思います。なぜなら、3Pのシュートが2本増えたからといって失点数が増えるかというとそういうわけではないからです(3Pは3本に1本入ればいい方なので)。

ただ、7%ほどアウトサイドからの失点が増えていること、ペイントエリア内の失点が11%ほど低くなっていること、そしてFTの得点が4%ほど増加していることを踏まえると「中をより固めるようになった」ということはある程度言えるのではないかと思います。

なぜなら、これらのデータがファウルできる距離で守れているということを示唆するからです。

中にスペースがあれば、ドライブしてくる相手にヘルプができずファウルもできないままレイアップをされてしまいますが、固めていれば1人外されてもその次がすぐヘルプできます。すると、相手に接触する可能性、すなわちファウルが起こる可能性が上がるというわけです(ファウルの数は富山戦前の1試合平均が12.8・富山戦後が15.3でした)。

ファウルが増えれば、ペイントエリア内で直接ゴールに入れられることは減り、FTが増えることが考えられます。

また、ファウルできる距離まで中を固めていれば、外で待っている選手にフリーで打たれる可能性が上がり、アウトサイドからのシュート成功率が高くなるでしょう。

以上のことから、守り方の変化は「極端」ではなく「若干」であるとするのが妥当であると考えます。次のグラフを見てもらうとそのことがより見えてくるのではないでしょうか。

このグラフはそれぞれの試合のペイントエリア内での失点の割合を小さい順に並べたもので、黄色が富山戦前・が富山戦後となっています。ペイントエリア内でやられなかった試合のベスト3を富山戦後の3つが占めているもののその他の3試合は真ん中にあることが見て取れると思います。

こちらはアウトサイド(PA外の2P+3P)からの得点の割合です。緑の3つが右側にありますが、最もアウトサイドからの得点の割合が高かったのは大阪との第2戦ですし、4番目には三河戦があります。

最後の2つのグラフを見ても「富山戦を境に、中を固めて外から打たせるという守り方になった」というのは若干かなという感じがします。



2-3.おまけ 「同じグラフを別の角度から眺める」

ここで最後に2つのグラフを見ていただきたいと思います。


グラフは上下ともに先ほどの失点割合のものです。ただ、1つだけ異なる点があります。それは、それぞれの棒の色分けです。赤色が勝利した試合で青色が敗戦を喫した試合になっています。

2つのグラフを見ると「中で決められるよりも外から決められる方が勝率が低い」ということが分かります。特筆すべきはペイントエリア内からの失点の割合を40%以下に抑えた試合に2勝4敗と負け越していることです。

また、同じチームと2試合行う節を見てみると1試合目より2試合目の方がペイントエリア内からの失点割合が低くなっています。

ここから、川崎の守り方に対して、事前のスカウティングや1試合やってみた後で「外から攻める」ことが明確になる傾向があるといえそうです。

特にそれが印象的だったのがホームでのアルバルク東京戦でした。GAME1に敗れた東京はGAME2で明らかに攻め方を変えてきていました。GAME2では、ドライブで中に切れこむプレーやカークのポストプレーは外を空けるための囮という意識が強く、キックアウトが多くなったと感じました。結果、3Pの試投数は17本から25本に増加し3Pだけで36pt叩き出し勝利を収めています。

その次の栃木戦も中をやられた後、そこに対応しにいった結果外を渡邊・遠藤にやられるという展開になりました。

以上を踏まえると、2勝4敗だったペイントエリア内からの失点の割合の40%以下という数字は「川崎が中を抑えた」のではなく「相手が中からシュートを決めることをある程度放棄した」ことによるものだといえそうです。

数字だけ見ると、中からある程度決めさせた方が勝率が上がるといえるかもしれません。つまり、中をやられたらそのまま得点まで行かせてしまうことが必要になるかもしれないということです。

外からの失点が増えている要因の1つには、中をやられた時にそのままシュートまで行かせないようにオーバー気味にヘルプに行って、空いた外を簡単に使われることが挙げられます。

このような場合に、外を捨ててオーバーヘルプに行くべきか、ヘルプに行かないでそのままゴール下でやらせるべきかという判断を適切にし続けることが求められていくと思います。



3. 12月に向けて

12月は10試合中8試合が同地区対決となります。ですから、私は前半戦の山場の1ヶ月になるのではないかと感じています。

その中では、3試合ある三河との戦いはポイントになるでしょう。桜木・バッツのインサイドに対して中を収縮させれば外で待っているのは金丸やサザランドなどの3Pシューター達です。外をケアし過ぎれば桜木・バッツにそのままやられてしまいます。それに対してどう対応するのか注目です。

ただ、個人的に最も注目しているのは唯一のインターカンファレンスとなる名古屋戦です。名古屋は3Pシュートの試投数、成功数、成功率いずれもリーグでNo.1のチームです。名古屋の3Pの得点は全体の36.5%ほどを占めています。データ上は川崎の守り方に最もはまるチームである名古屋に対してブレイブサンダースがどんなバスケットを展開するのか今から楽しみです。



拙い上に長い文章でしたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

明日はysmaster007さんによる「神奈川ダービー 開幕」です。




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ありがとうございます!!!狂いたまえぇぇぇ!!!!
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スポーツ観戦を趣味としているものです。レノファ山口の試合のプレビューと振り返りを定期的に書いています。 不定期で観戦記なども書いています。

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