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<鑑賞記録>父と暗殺者(the Father and the Assassin) / ナショナル・シアター

面白かった。舞台美術が綺麗だったし、転換も良く練られていて良かった。史実に忠実で、歴史の勉強にもなって良かった。若い頃から最期までが、約2時間半で描かれていて、内容は盛り沢山。

ガンジーの暗殺者 ナトラム・ゴドセの話。ガンジーに傾倒していた彼が、右翼の活動家になり、遂にはガンジーを暗殺して死刑に至るまで。ゴドセは、3人の兄がいたが、いずれも早くに亡くしていた。「男の子を狙った呪いがかけられているのでは」と恐れた両親は、男として生まれたゴドセを女として育てることにする。という嘘みたいなホントの話から始まる物語は、ガンジーとの出会いや、徐々に右翼思想に染まっていく姿、刑務所での様子などの心情描写が丁寧で良かった。所々、『典型的なサイコパス』として描いているように思うシーンもあったけど、実際にそういう人だったんだろうか。そうじゃないなら、もう少し、『普通の人』でも良かったと思う箇所がいくつか。要所要所で、ゴドゼ役が観客に直接話し掛ける演出が効果的だった。そのおかげで、彼の気持ちを身近に感じられるので、徐々に常軌を逸していく彼の姿が余計虚しく映るのが良かった。タイトルの『父』とはガンジーのこと。

思い出すほどに、良い作品。もっとお客さん入ればいいのに、ニッチなテーマだからなのか、少し寂しめの客席。

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