見出し画像

グッバイ・君もおけパも僕じゃない

あんたたち!!!時代はおけけパワー中島よ!!!!!!!!!
まあいきなり言われてももしかしたらわからない方もいるとは思うんですが…。
真田さんという方が描かれているオリジナル作品「同人女シリーズ」 に名前だけ登場している、「オタクの憧れの同人作家こと綾城(あやしろ)さん、と仲がいい人」。それがおけけパワー中島である。

その軽やかで頭にこびりつくネーミングセンス、そして"いる、こういう人!!!!"と思わせる秀逸な実在性……オタク女たちは自分のオタク人生の中の何かのスイッチを押されたかの如く「私にとってのおけパ」「おけ島は私」とおけけパワー中島という存在に何かを重ね合わせて語り合った。
本編中におけパはまだ姿は登場していないのに…なぜオタク女たちの心におけパは「いる」のだろう…。

同人女①においてのおけパは、憧れの作家綾城さんにお近づきになりたい主人公七瀬から見た存在として描かれる。
自分は綾城さんからフォローバックされないというのに、綾城さんはおけパの小説を読んで感想まで述べている。七瀬は綾城さんの作品何もかもを読んでいて、私こそおけパより綾城さんの作品を愛しているというのに…。
七瀬は綾城さん愛をこじらせてブロック寸前(好きで苦しむくらいなら全てを破壊というオタク特有の謎暴走)まで行くが、綾城さんは実は七瀬の作品を読んでくれていた、という救済ED。

同人女②、この作品のおけパが読者であるオタク女たちの何かを決定的に刺激したと言えよう。
主人公友川は綾城さんの書くA×B作品のファンであったが、綾城さんは突然別作品である「KTG」にハマってしまい、A×Bとは疎遠になる。綾城さんにKTGを布教したのはおけパであった…。
「綾城さんファンのKTGクラスタは私に感謝してもええんやで」というお調子パンチが友川の心に火をつける。友川は最高のA×Bを書けば綾城さんが戻ってくると信じ(オタク特有の謎理論)小説を書きまくるが、暴走の果てに綾城さんへの匿名怨嗟メッセージを送りかけた寸前で留まることができた。一方そのころおけパは友川のA×Bを読んでおり、綾城さんに友川の作品をおすすめする、という救済ED。

同人女③、一昔前のジャンル「アスカレ」にハマってしまった主人公は何としても7年前に発行されたという綾城さん(かつては虚崎さん)のアスカレ本が読みたいと願い、KGBも真っ青のネットストーキングパワーを駆使し、綾城さんの現在の活動ジャンルと名前を突き止める。
イベント会場で「アッ…よく考えたら人違いだったらどうしよう…」と(今更)正気に戻り、その場を離れようとしたときに綾城さんがたまたま主人公のアスカレグッズに目を止め、事情を聞き本もデータも手元にはないが友人のおけパなら持っている…と言ってくれる。おけパは友人の7年前の50ページの小説コピ本をスキャンpdf化し送ってくれるという驚異の善性を見せつけ読者を圧倒した。

この同人女シリーズの素晴らしいところは「なんか見た覚えのあるややこしい関係性や感情」を描きながらぱっきりとフィクションとして全てをまとめ上げているところだ。本当に素晴らしい、どこか清涼感のあるフィクションなのである。
綾城さん的作家も、おけパ的存在も、嫉妬で暴走する七瀬も謎理屈暴走する友川もネットストーキングする女も、似た誰かはいてもフィクションなのだ。
だというのに「おけパは私なんだ…!」「私は七瀬なんだ…!」と己の感情がフィクション人物たちに巻き取られていく状態、ほんとに作品の持つ力がスゲーしほんとにオタクがヤベー。

特に同人女②更新時点でトレンドにも入ったおけパ旋風のすさまじさは、女オタクがジャンルという村で暮らしており、そこから優秀な人材が流出することの苦痛について身に覚えがありすぎるためであろう。

マジで「あるある」なのだ。こんな話何回私のweb拍手に来てるかわからん。私は別に書きたいときがあったら書くし書かなったらそれまでだろ…!?と思うのだが、そう簡単に行かないのがオタ心というものだ。

おけパ憎悪勢から罪として挙げられる「綾城さんファンのKTGクラスタは私に感謝してもええんやで」発言も、おけパの「内輪的激おちょけムーヴ」でしかないと思うのだが…。まずジャンル移動のやるせなさ、納得できない怒り(この辺が作品で描写されてるのが巧みだなあと感じる)、そこに見つけた怒りの矛先でしかないのだ、おけパ……。

同人女シリーズは女オタクの関係性のエモさが…と話題になっているのだが、今のところ「関係性」がはっきりと見出されたのは綾城さんとおけパぐらいのものであろう。
どれも作品のラストで綾城さんからの認知・反応というトロフィーを獲得して巨大暴走感情が救済を得ているものの、
①からして主人公は綾城さんとおけパの関係性を外部から観測して勝手に暴走した「無関係な人」である。②は「匿名メッセージで感想を伝えた人」。③は「ネットストーカーだったがたまたま好意的に受け止めてもらうことができた人」。
綾城-おけパ間に築かれた関係性がどうこう以前に①~③までほぼ正当なコミュニケーションを図っていない。
なんだか非常に不健全な気がするが、これが恐ろしいことにかなり“Real”なのだ。そこに現実の女オタク界隈(漠然とした言い方だが)の不健全さがある。

「神作家に認知されたくない」「神作家は描き手とじゃないと仲良くならない」「マシュマロの感想に私だけ反応がもらえないのはどうして」……。めっちゃ見たことある!!!!Yeah,めっちゃ不健全!ウキウキなTL希望!!!!!!(不成立)(阿鼻叫喚)
おけパで紛糾する女オタク達を見て、どちらかというとタイムラインの男性陣は「ピンとこない」感じであった。(もちろん「わかる」という男性もいた)これは男性向け同人界隈の風潮が結構女性向けと異なっているためであろう。

このツイートをした後、私のweb拍手に来た匿名メッセージを紹介する。

女オタク下げツイ要らないです

ちゃんちゃん…。(エンディング突入)って感じだ。オタク間の巨大感情を迸らせて大乱闘お気持ちブラザーズする光景がみんなの心のキャンバスに解像度高めで描かれていることがヤベーし、「クゥ~~~~人間……面白!!!!」と思うこともあるし、いやよく考えたら疲れるのは事実じゃないのか…。
自分の知らないところで読者が"愛"のあまり熱暴走を起こしブロックしたとして、自分から見えるのはブロックされた画面だけなのだ。徒労感…。

恐るべきことに私がおけパの話をすると毎回私が匿名メッセージで怒られている。おけパはフィクションだが俺もお前もノンフィクションだぞ!?!?!?!?!?!?!?!ドラマチックじゃねえ。

だから私が言いたいことは…同人女シリーズに現れる「実在性」はフィクションとしてのすばらしさを担う要素の一つであり、現実を重ね合わせて楽しみ続けてていいのかよ…!?ということです…。

ていうかフィクションで「クソデカ感情」が萌えるのとは全く別で、あてずっぽうの巨大感情は現実においてはわりとたぶん……迷惑です。
これに関しては現実をフィクションとして昇華してしまうオタクの悪癖が…あるのかもしれません…。

もう一通、“凄ぇ”匿名メッセージが来たのでご紹介しますね。(DJ)

肘樹さん
おけパの話ですが、私は分かります経験あります。
「何繋がり?なんで?」って思って勝手に嫉妬したことがあります。
もう7年位前ですが、私は当時同人初心者でした。
綾城さん(仮)のCP感に憧れて表現したくなり掻き立てられて、私は初めて表現するためん筆を取りました。
その時、綾城さんにはおけパ(仮)がいて
綾城さん(仮)とおけパ(仮)すごく仲が良くて、勝手にリプ欄をチェックして毎日毎日何で?????って思ってました
両者会ったことがありますが、お二人の見た目に共通点はなく
創作物もCPは同じでも方向性は違って、なのになんで?????
…と。
ありがたいことに、綾城さんと私はお互いの家にお泊まりするほど仲良くなれました。
ですが、それでもおけパと綾城さんの方が私の目には仲良く映りました。
私の方が食も、仕事も、洋服も、綾城さんと好みが近いのにどうして一番仲良しになれないのか嫉妬してました。
結果、ごじらせまくった私のせいで綾城さんとの関係は破綻してしまいましたが今となっては幼稚な嫉妬心と勝手な劣等感で申し訳ない気持ちでいっぱいです。
綾城さんからしたら、別におけパも私もきっと優劣なんかなかったと冷静になった今では思ってます。
神の唯一無二になりたかったんですよね、、、、、、なんでそんなクソデカ感情持ってたのか、そしてそれで攻撃してしまったのか本当に悔やんでいます。この後、綾城さんは私のせいで筆を折、ジャンルを移動してしまうのですが
その時めちゃくちゃお前のせいでやめるんだぞ(名指しこそされませんでしたが)といった事をSNSで言われてしまい
その時私、最っっっっっっっっっっっっっっ高に興奮したんですよね、やっとこの人の中で私が、私で明確に刻まれたことに
きっとネタとしてでも悪口でも、私のことを簡単に忘れないだろうなって
めちゃくちゃ歪んでんなって自分でも思います。
今は、もうそんな事を思う事も無くなりましたが…って何のお話だろう、自分語りすみません
色々刺さりますな、最近の同人女話。猛省。

もう、ネタであってくれぇ~(シュルルルルポン)としか言いようがない。刺さってアイタタしてる場合じゃねえ!!自覚があるげだが多分そんなに反省はしていない。
仮にこれがRealの話だったとして、一創作者に筆を折らせた人間が(仮にも)創作活動をしている赤の他人たる私のweb拍手に匿名で懺悔に来ている、この地獄の構図こそ「事実はオリジ漫画より地獄なり」であろう。え~ん…。
人が人と仲良くなるのに明確な、納得できる理由なんてないよぉ~…。

「絵がうまいから」だったら私の方がうまいのに…って思うかな?
「話が面白いから」だったら面白くないのに…って思うのかな?
「同級生です」だったら振り上げたこぶしの行き先がないのかもしれない。それ自体が「仲の良さに理由を求める」こと自体が理不尽だと、「私がおけパになれない理由」を求めることのおぞましさ、おそろしさだと思うのですが…。

だって俺もお前もおけパじゃねえ!地球には76億人いるのに、おけパ条件を満たしても俺たちはおけパにはなれないんだよ…!

本当に…本当に謎なんですけど…誰かの特別になりたいって…私はよくわからなくて……私が「私は誰かの特別にはなれないな(その人には自分のあずかり知らぬ世界があって、それぞれの中で色々なその人の顔が使い分けられているのだから)」と前提として思っているからなのですが…

よく「親友が結婚する、旦那に嫉妬して苦しい、私の方が彼女を理解している」って苦しみもメッセージでもらうけど「そんなに理解していると思えるほどの友情を築いててすごくね?」って思うし…。

アッ…これって…私がコミュニケーションに踏み込むことを棄権しているから……特別になれるはずがないと思うことで人を遠ざけ自分の心を守っているから…なのでしょうか…!?!?!(悲しいオチやめてください…)


でもさ…こいつの仲良し天下一番星、獲りてえ!!!!!!!!!!!!!!って情熱も、なんでこんなアマと仲良しなのよ、ギィーーーーー!!!!!!!!!って怨念も、“在る”んだよな…。偽りのない感情だよ……。それもわかる、本当にわかるよ。わかるんだよ…。
それをわかったうえで、不健全かも?という視点をもって、数歩遠ざかったところで、元気な君が好き…今は遠くで見てるよ…(SMAP)していたいかな…というのが私の考えです。

俺もお前もおけパじゃなく、綾城じゃなく、七瀬でも友川でもなく…。
俺とお前の、誰かとの関係性を築きたいよな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!閉廷~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そしてこれほど多くの人の心を突き動かす真田さんの作品は本当に素晴らしい…それが…Realです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?