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私たちは”普通”という概念に囚われすぎている。【アーモンド】を読んで気づいた「愛」の形

「大学を卒業したら就職する」

「社会人になったら3年は続けるべきだ」

就職前に幾度となくこんな言葉を耳にしました。

こんな、誰が決めたのかわからない”普通”という概念に振り回されて私たちは生きています。そして、世間一般の”普通”から外れると、「あの子は変わっているね」とかちょっと特異的な目で見られるのです。

今深刻ないじめ問題も、同様に「他の人と違う」というだけでそのターゲットにされることが多い状況です。

そんな現代社会の問題と、”普通”ではない2人の少年のストーリーを描いた本が、今回紹介する【アーモンド】。

あらすじ

この本は韓国の作品を翻訳したもので、写真にもあるように2020年本屋大賞1位を獲得した今話題の書です。(翻訳部門)

表紙の男の子のイラストのインパクトも絶大だが、何より帯に書いてあるストーリーに衝撃を受けて手にとりました。

扁桃体(アーモンド)が人より小さく、”感情”がわからないユンジェ。目の前で祖母と母が通り魔に襲われた時も、ただ黙って見つめているだけだった。だが、ある出会いが彼の人生を変えていく。


人間の感情を司る機能 扁桃体

そもそも、なぜ「アーモンド」という題名なのか?

全くわからず手にとった私は、人間の機能についての新たな知識をここで一つ得ることになりました。

本書の題材である 人間の感情 の中枢機能を持っているのが、”扁桃体”。

扁桃体は脳の左右にある神経細胞の集まりで、「何かを見たり聞いたりするときに、それが生存に関わる重要なものであるかを一瞬で評価する」という機能を持っています。

つまり、好きなものには「好き」、嫌いなものには「いやだ」という感情が発生し、それによって行動が変化するのだが、その”感情”をつくりだす中心的働きをしているということです。

そして、その神経細胞の形がアーモンドの形に似ていることから、アーモンドとも呼ばれています。

本書の主人公ユンジェの母は、生まれつき”感情”が分からユンジェがそのままだと「周りから孤立する」ことを心配し、”普通の子”に見えるよう様々な教育をします。

しかし、それをどこか冷静に受けているユンジェの姿をみて、私は「親子間のコミュニケーションのズレ」と母の「強い期待」を感じました。

ただ、自分が母親と同様の状況に置かれた際、どうしただろうかと考えると、その場ですぐに答えを見つけることはできませんでした。


普通ってなんなのか。みんなそれぞれ違って当たり前。

本書に出てくる2人の少年は”普通”ではないと思われるが故に、他の子供達から酷い扱いを受けたり、相手にされず避けられて生きています。

”感情”が分からず、母と祖母が目の前で刺されているのを表情変えずにみていることしかできなかった ことから、怪奇の目でみられるユンジェ
そして、物ごごろもつかない頃に両親と別れ、不良少年となったゴ二。

それぞれ正反対の2人ですが、ユンジェが 誰も近づこうとしなかったゴ二の心を理解しようとする姿は、人との向き合い方を考えさせられるものがありました。

今まで感情がわからなかったユンジェが、感情豊かで自分とは正反対のゴ二と出会い、「ゴ二に向き合う」ことで得られたもの。


その結末を見たときに、

当たり前だけど人は一人一人みんな違って当然だと

だからこそ、相手の事を知ろうと歩み寄り、コミュニケーションをとることが今の自分にできる一つの「愛の形」なのではないかと思うのでした。


そしてふと、以前ある人が言っていた「人と向き合うことを諦めないこと」がモットー という言葉が思い出されたのでした。


最後に

最近本を読むことが増えているけれど、こんなに胸がそわそわしてもどかしい気持ちになりながら駆け抜けた本は初めてでした。

それくらい、現代社会に強く訴えてくるものがあり、読みながら何度も考えさせられました。

自分の考えをまとめるのはまだ時間がかかりそうですが、何度も読み返してその度に自分なりの答えを探していきたいと思いました。



ぜひ皆さんものぞいてみてください。

https://www.shodensha.co.jp/almond/

一生勉強、一生青春

ではでは、今日も素敵な1日でした。








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