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キッチンコンプレックス

なんでもかんでもフライパンひとつでつくる癖をやめたい。そう思いながら5年が経ってしまった。

10年以上暮らしたアパートは、1Kロフト付きの古い部屋だった。キッチンには電熱式の小さなコンロがひとつきり。温度調節など出来たものではなく、火力は0か100かのみ。夏は火の回りが早すぎ、冬はあたたまるまで時間がかかった。それでも、長く暮らすうちにコツをつかんで、焼き物や炒め物だけでなく、じっくりコトコト系の類まで、電熱コンロとフライパンでわりとつくれるようになった。

いまだに当時の癖が抜けない。
2口ガスコンロがあるのに、フライパンひとつでなんとかしようとしてしまう。だってなんとかなるんだもん。

そもそも、手持ちの鍋が少ない。フライパンの他には、小さなミルクパン、ホーロー鍋、ドリップケトル。キッチン用品も少ない。
食器も、歴代のパンまつりディッシュ(割れにくくて丈夫)でまかなっていたので、おおむね白一色。グラスはすぐ割るので一切持ってない。調味料も最低限。

カトラリーやキッチングッズなど、いろいろ集めていた時期もあったけれど、使わないものや古いものは整理してしまってから買い足していない。

このすかすか具合、キッチン周辺が不十分な気がして、若干のコンプレックスが拭えないのだ。お鍋やキッチンツールが揃ってるとか、ぎっしりつまったスパイスラックとか、憧れる。出来るか出来ないかでいえば、料理は出来ると思われたい。自炊頻度が気まぐれなので、そもそも持たざるものではあるんだけど。

ミニマリストと言い張ろう。
どのみち、好きなものや使いたいものでなければ置きたくないのだ。


ここ最近の涼しさで、お味噌汁のおいしさに目覚めた。かぼちゃとか紅あずまとか、お出汁に溶けたほくほくの甘みが震えるほどしみる。

フライパンでつくるお味噌汁は、美味しいんだけど、やっぱりしっくりこないのだ。沸くし。

ちょうどいい片手鍋を探しに行こうと思っている。マットな質感の白で、かわいいやつ。



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